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漁火

本物は見たことがない。自然と一体になった不思議な光景で美しい。北原ミレイの舟唄が好きだった。演歌はあまり得意ではないけどテレビでよく聞いていた。一度船で祖母の家に帰ったことがあった。8時間ぐらいかかった。母は早々に寝てしまったが一番安い船室は雑魚寝だった。もちろん寝れずに一晩中起きて暗い海を見つめていた。その時遠くに星のように光る何かを見た。多分あれが漁火だったのかもしれない。翌朝港に着くと朝ご飯の呼び込みが何人かでていた。何処の店も美味しそうな匂いがする中私達は乗り継ぎのためひたすら走っていた。それ以来船で帰ったことはない。