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感じるままに、歌詞とみるエヴァンゲリオン

シンエヴァを映画館で2度観て来ました。

95年生まれの私は、TVアニメ版はNetflixでかじっただけの、エヴァ初心者と自負しているので、ココで細かな考察を晒したりはしません。(そもそも分からないところがまだまだたくさんあります)

気になったこと、気づいたこと、気に入ったことをゆる〜く綴りたいと思います。

異論は大いに認めます!

映画に限らず、全ての芸術は作り手の意図が一つの正解ではありますが、観た人がそれぞれ感じたこと、その全てが正解だと思うので。

少しだけ。

最初にシンエヴァを観に行った日は、夜中に脳が覚醒してしまい、ぐるぐるとひらめきと疑問が頭をめぐって眠れなくなりました。深夜2時にベッドから這い出て、まとまらない考えをノートに書きなぐる始末。

ほんの少しだけ、語らせていただけるとすれば、カヲル君のことを最後まで理解できなくてもどかしい…。

碇ゲンドウと対の存在、もしくはゲンドウ自身という見方もありますが、するとその存在の原理がよけい難解に、、、。生命の書って…? わたしのオツムでは処理できなくなったのでこれ以上は言及はしません。(出来ません)

が、そうだとしたら、ユイもゲンドウもエヴァも存在しない世界で、レイとカヲルが二人で居られる。というのもなかなか良いエンドですよね。


そして、アスカはいつからクローンだったのか。

眼帯をした目にL結界浄化無効阻止装置?の棒を入れていることや、レイがクローンであるという理解があり、初期ロットと呼ぶようになったことなどから、劇場版Q以降、3号機の実験とニアサー後の空白の14年の間に何かあったんだなと推測。
アニメ版の”惣流・アスカ・ラングレー”が元という説もありますが、劇中で「式波タイプ?!私のオリジナルか」との発言がありました。

レイが 碇ユイ → オリジナル → 初期ロット という流れだとして、
惣流・アスカ → 式波・アスカ(オリジナル)→ シンエヴァのアスカ、ということでしょうか。

ただ、幼少期の描写があることや、ネルフの外でも形状を保てることなどからも、レイとは作りの異なるクローンのようですよね。構成要素というか。

「トリガーとなるクローンを生成すること」が3号機の起動実験の目的だとしたら…。恐るべし、ゲンドウ!という感じですが、しかしアスカは初期の段階からあまり寝つけていないような描写がありました。Qではかなりクマが出来ています。一方で、シンエヴァのレイは寝癖をつけているシーンもありました。
(「おはようって、何?」のとこ、めっちゃかわいい。笑)
クローン云々ではなく、不眠はアスカの個人的なモノなのかなぁ、、????

でも最後、眠れたみたいで良かったですね。(?)


ヒロインたちの〇〇波縛りも気になりますが…この辺にしておきます。

安野監督にひとつだけ質問できるとしたら、『マリは赤い大地を歩く時、防護服を着るのかどうか?』を聞きたいです。


Beautiful Worldとエヴァ

劇場版のエンディングといえば、宇多田ヒカルさんの「Beautiful World」ですよね。改めてじっくり聴いてみると、物語とシンクロする歌詞に胸が熱くなります。

It's only love
もしも願い一つだけ叶うなら
君の側で眠らせて 
どんな場所でもいいよ
Beautiful world 迷わず君だけを見つめている
Beautiful boy 自分の美しさ まだ知らないの

まずはサビです。
なんとも純愛の歌だなと思っていたらなんとも純愛の映画なんですわ…。

言いたいことなんか無い
ただもう一度会いたい
言いたいこと言えない
根性無しかもしれない
それでいいけど

でも歌って不思議で、いろんなシーン、いろんな人の感情に当てはまるものです。

ゲンドウの、ユイを想う気持ち。
全てのストーリーは、愛する妻ユイにもう一度会うため。

一方で、"boy"から連想されるのは、シンジ君でしょうか。母ユイの、子を想う気持ちにも重なります。

僕の世界消えるまで会えぬなら
君の側で眠らせて どんな場所でも結構
Beautiful world
儚く過ぎて行く日々の中で
Beautiful boy
気分のムラは仕方ないね

もしも願い一つだけ叶うなら
君の側で眠らせて

ラストのサビを聴いて、あーやっぱゲンドウかなぁ!?なんて。

楽しい〜〜〜!!笑


そして、この曲はその都度アレンジされ使用されており、今回のシンエヴァのエンドロール、ラストのラストにも流れます。

この“Da Capo Version”、曲の入りこそスローな感じですが、サビの部分なんかは前よりも力強く聴こえませんか?ビートというかなんというか…。

まるで、決意をかため、ひとつ大人になった、劇中のシンジ君を表しているよう。
ジャケットのイラストも、真っ直ぐこちらを見つめるシンジ君が印象的です。


One Last Kissとエヴァ

今回のシン・エヴァンゲリオン劇場版の主題歌、「One Last Kiss」。
“キス”という単語に、TVアニメ版の、ミサトさんの“大人のキス”を連想する方も多いのではないでしょうか。

初めてのルーブルは なんてことはなかったわ
私だけのモナリザ もうとっくに出会ってたから
初めてあなたを見た あの日動き出した歯車
止められない喪失の予感

出だしのこの表現。愛しさと切なさが、いきなり押し寄せて来ませんか!?

私はなんとなく、綾波レイを想像しました。
ゲンドウ目線にも、シンジ君目線にも捉えられます。
とくに、『初めてあなたを〜』からの部分、なんて切ないのでしょう。出会った瞬間、喪失への運命が始まっているんですね、、。

「写真は苦手なんだ」 でもそんなものはいらないわ
あなたが焼きついたまま 私の心のプロジェクター
寂しくないふりしてた まあ、そんなのお互い様か
誰かを求めることは 即ち傷つくことだった

さらに2番の同じメロディー部分です。

ずっと、「お母さんの写真は無い」と言われてきたシンジ君を思い起こさせます。

そして『誰かを求めることは即ち傷つくこと』という歌詞。
「序」の劇中、リツコがシンジ君を“ヤマアラシのジレンマ”に擬えるシーンがありますが、まさしくソレですよね。

もう分かっているよ
この世の終わりでも
年をとっても
忘れられない人

は〜〜〜これも登場人物みんなに当てはまってしまいそうなとんでもねぇリリックです…。

スゴイのが、軽率に『この世の終わり』とか言うと、普通の曲なら冷めてしまうと思うんです。そうならないのは、宇多田さんの慈悲深い歌声と、エヴァの世界観とが、綺麗に重なって、描き出されているからでしょうね。

Oh oh oh oh oh…
忘れられない人
Oh oh oh oh oh…
I love you more than you'll ever know

結局は、愛なんです。『I love you more than you'll ever know』なんです。笑


Voyager 〜日付のない墓標〜 とエヴァ

こちらはエンドロールではなく、クライマックスのシーンで挿入歌として使用された曲です。

衝撃でした。

だって歌詞がバッチリハマり過ぎていて、書き下ろしだと思っていたのです。
しかしそうではなく、松任谷由実さんの楽曲を、綾波レイの声優さんがカバーして歌っているもの。

この曲はもともと、「さよならジュピター」(1984年)という特撮映画の主題歌だったらしい。

特撮と言えば、庵野監督のルーツ、というような位置付けでしょうか。私は後から得た知識も多いのですが、シンエヴァのラストのシーンは、その随所に特撮の現場を彷彿とさせる演出が施されていました。

急に背景がスタジオのようになったり、シンジとレイの会話中に映写機で投影するような場面は、初見では全く意味がわかりませんでした。笑


そんな奇跡のマッチ度に震え上がったのが以下の歌詞。

傷ついた友達さえ
置き去りにできるソルジャー
あなたの苦しさを 私だけに
つたえていってほしい
忘れない自分のためだけに
生きられなかった 淋しいひと

林原めぐみさん(レイ)が歌われているということからも、ユイの視点で、ゲンドウのことを歌っているように思えてなりません。

私があなたと知り合えたことを
私があなたを愛してたことを
死ぬまで死ぬまで誇りにしたいから

亡き加持さんや、息子を想いながら、シンジ君に全てを託し、死を覚悟してヴンダーに乗り込んだミサトさんにも、重なる部分を感じます。


さらにこの”日付のない墓標”という表現。
タイトルのみで、歌詞中には出てこないのですが、エヴァの劇中にもお墓参りをするシーンは度々描かれていて、キャラクターたちの過去と、現在の心をつなぐ、貴重なシーンです。


過去の楽曲とこんなにシンクロすることってあるんですかね、、?すごい。
「さよならジュピター」もどんなお話なのか。ぜひ観なくては、と思います。



映画の主題歌に起用され曲が売れる、というのはよくあることですが、その曲を耳にして映画のワンシーンを思い出す感覚って、きっと誰もが経験したことがあるのでは。

「映画は総合芸術」とはよく言ったもので、その挿入歌やエンディング曲も含め、全てがその映画を創る大事なパーツなんですね。


\次はあなたの街も旅してみたいです/