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【#表現の自由を守る参院選2022】

 2022年の第26回参議院議員通常選挙(6月22日公示、7月10日投開票)に向け、与野党を問わず「表現の自由」を掲げる候補者を応援するために開始された超党派のハッシュタグ運動。
 この選挙では、与野党に史上かつてないほど「表現の自由」を掲げる候補が続出した。

 その原因は、
・2019年の第25回参議院議員通常選挙で、表現の自由を全面に掲げた山田太郎氏が54万票という大量得票で当選したこと。
・2021年の第49回衆議院議員総選挙で、ジェンダー路線を重視し過ぎた野党(特に立憲民主党)がその目論見を外し、議席減少につながったこと。
・幾多の「炎上事件」によって行き過ぎたジェンダー論の弊害が社会的に共有されつつあり、その最大の被害者ともいえるオタク文化が、年長者の想像以上に若者に浸透していることが認知されてきたこと。
 などであろう。

 表現の自由を重視する政治家が増えることはもちろん良いことである。
 ただし、それだけに票割れによる共倒れを危惧する意見もあり、大本命の赤松健候補に票を集中させるべきという声もSNS上では見られる。そのため他候補の支持者と議論になる場合がある。
 またSNSの性質上、どうしても全国的な知名度で勝負している比例代表の候補者が話題となりがちであるが、選挙区候補者も参加している。

投票の仕方

 参議院議員選挙は、選挙区制と比例代表制の2種類の制度での投票を同時に行う。
 1枚目2枚の投票用紙が配布され、1枚目に選挙区候補者の名前、2枚目に比例代表候補者の名前または政党名を書く。表現の自由というイシューは、党を挙げて賛同または反対という構図になりづらいため、2枚目に政党名ではなく個人名で、「表現の自由を守ってくれる候補者名」を書くことが重要となる。

 本ハッシュタグ運動で推されている主な候補者は以下の通り。

自由民主党

赤松健(@KenAkamatsu

 本ハッシュタグ運動の大本命とも言える人物。
 オタクの人は「赤松健って、あの赤松健?」というかもしれないが、その赤松健である。『A・Iが止まらない!』『ラブひな』『魔法先生ネギま!』などのヒット作を持つ現役プロ漫画家として著名。
 実は10年来にわたって、児童ポルノ法改正問題・「非実在青少年」問題などでロビイングを続けてきた筋金入りの「表現の自由」を守る活動家であり、日本漫画家協会常務理事・「表現の自由を守る会」最高顧問でもある。
 本人はその動機を、過去の表現規制問題でもちばてつや・里中満智子といった漫画家が立ち上がってきたことを挙げ「私の番が来ただけのこと」と述べている。

 ラブコメの多いほのぼのした作風のイメージと裏腹にその政治的手腕は本物で、実際に漫画・アニメ文化に幾多の功績を残している人物である。

 また現在、国連で議論されている「新サイバー犯罪条約」の危険性について、候補の中でもいちはやく警鐘を鳴らしている。

ふじすえ(藤末)健三(@fujisue

 平成24年に第三次野田改造内閣で総務副大臣を務める。
 科学的根拠のない「ゲーム依存症対策」を掲げたゲーム規制に対抗する。またコンテンツ産業振興、フリーランス支援や、暗号資産の法的基盤を整備するなど、経済面でオタク文化を支える政策を掲げている。

 新型コロナ禍で2020年に一時中断したコミックマーケットの再開に尽力した功労者である。

立憲民主党

くりした(栗下)善行(@zkurishi)

 反自民・野党支持のハッシュタグ参加者のかなりが第一の「推し」としている人物。野党側の本命とも言える。
 実際に都議会議員として「不健全図書」指定の問題に取り組んでいた第一人者であり、規制反対の姿勢が本物であることは疑いえない。

 要友紀子氏とともにAV新法問題に取り組んでおり、女優をはじめとする当事者のヒアリングを実施。
 本多平直議員追放問題などで「行き過ぎたジェンダーに乗っ取られた」とも言われる立憲民主党の、内からの変革を志している。

 またインボイス制度の反対、NFTアート関連の法整備、イベント会場費の減免など、オタク文化を経済面で支える政策を重視。
 他にブラック校則問題、自動車税負担の軽減などに取り組む。

要友紀子(@kanameyukiko

 セックスワーカーの健康と安全のために活動する団体SWASH(Sex Work And Sexual Health)代表。著書に『セックスワーク・スタディーズ』(日本評論社)など。
 AV新法の成立を受け、6月22日という公示日当日のタイミングで急遽立候補した。性産業への差別撤廃を掲げ、元セックワーカーによる国際的な議員連盟を構想している。

 20年来、一貫した表現規制反対派で、2001年に発足した規制反対グループ「連絡網AMI」の主要メンバーの一人であった。

 AV新法の他に、風俗店の防災対策の師匠になっている風営法の改築制限緩和、犯罪被害に遭った風俗業従事者の匿名報道化などに取り組む。

国民民主党

たるい(樽井)良和(@tarui_yoshikazu

 国民民主党は政党としては珍しく党を挙げて「表現の自由」に親和的であり、代表の玉木雄一郎氏も2021年、コミケ99でそれを宣言している。中でも力を入れているのがこのたるい良和氏。
 経営者・起業家としての経験が豊富で、ゲームショップや漫画専門店、大手ゲーム会社での企画の経験もある、オタク文化に親和的な人物である。

日本共産党

仁比聡平(@nihi_souhei

 日本共産党は2021年10月に「漫画やアニメ、ゲームなどのいわゆる非実在児童ポルノ」規制を掲げ、AV新法に際しても「実際の性交を伴うAVを正面から規制する法整備を進める」と明言した。
 そのような急進的な「規制派化」が進む同党にあって良心とも呼べる人物と考えられている。実際に2014年6月、児童ポルノ法改正について参議院法務委員会での反対討論で「今後も表現物に対象を拡大することはあってはならない」と発言している。

 ただし、かつては自民党が表現規制を押し通そうとしており、左派・野党がいわば規制反対を叫ぶという形が定番であったが、現在はその構図が逆転している。かつての「規制反対のヒーロー」達が見る影もなくキャンセルカルチャーの尖兵と化していることも少なくない。
 仁比氏は積極的に規制派に転じた形跡はない。
 しかし2014年というタイミングは本ハッシュタグで押されている他の人と比べ、やや遠い過去の話である。現在ツイッターで規制やキャンセルカルチャーの関連用語を検索しても、積極的な反対の発信をしていない点に若干の不安が残る。「#表現の自由を守る参院選2022」「#表現の自由を守る約束」等のハッシュタグも自分から使用してはいない。
 共産党の中から表現規制反対の議員を選びたいという人ならともかく、単に「野党」という括りで選ぶなら、他の政党の人のほうが安全かもしれない(これは私見である)。

日本維新の会

松浦大悟(@matsuuradai5

 LGBT当事者であり、BL規制などにも反対を貫いてきた人物。
 といってもトランスジェンダリズムのような抑圧的な反差別運動には与せしておらず、近年のフェミニズムによるキャンセルカルチャーに批判的である。もちろんBL表現の自由は支持しているが、より広い表現の自由を支持している点でいわゆる【BL無罪】論者とは異なると考えられる。

 過去の主張だけではなく現在も積極的に表現の自由を支持する発信を行っている。

石井みつこ(苗子)(@ishii_ishin

 2016年から「マンガ論争」の取材を受け表現の自由について発信している。

 また維新の会は左派色が薄いこともあってか、党自体もこうした方向に親和的である。

 石井氏自身、最近でも【『月曜日のたわわ』日本経済新聞全面広告】事件において、表現の自由の立場にたった意見を公言している。

れいわ新選組

大島九州男(@oshima_kusuo

 2019年の著作権法改正案に係るダウンロード規制(いわゆるスクショ違法化問題)で活躍した議員。

 現在でも表現の自由派議員を自任しているが「#表現の自由」というシンプルなタグを用いることが多い。

 表現規制問題以外では、医療や動物福祉の強化・消費税廃止・被災地復興支援等に取り組む。

都民ファーストの会

荒木ちはる

 選挙区(東京都)の候補者であるため、2枚目の比例の用紙には名前を書くことができないので注意。
 香川県のゲーム規制条例を受け、東京都で同様の規制(一律の時間規制9が行われないように、議会質問で小池百合子都知事から回答を得た功労者である。

 以上が本ハッシュタグ運動で推されている主なメンバーであるが、公的に固定されているものではなく、「この人も!」と個人的にSNS上で推薦され、ハッシュタグが付けられることもある。
 ただし、その根拠となる功績・発言が2010年頃かそれ以前の者である場合には注意が必要でる。特にジェンダー論や反差別運動の急進化により、特に左派系の人物は規制反対派からむしろ規制派に立場が逆転しているケースも多いからである。

 上記で紹介しなかった各候補者の最新の見解については、エンターテイメント表現の自由の会(AFEE)が、全候補者に表現の自由にかんするアンケートを募っているので、参考にされたい。


参考リンク・資料:

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