見出し画像

「一緒に冒険をする」を読んで

「いま一緒に生きている冒険」という場をきっかけに、考えたことや思い出したことをnoteに綴っている。

わたしにとってのはじまりである、2015年の奈良県立図書情報館での「ひとの居場所をつくるひとフォーラム」は、思えば大変に太っ腹なイベントだった。

3日(+前夜祭)のフリーパスに加え、このフォーラムをベースにした書籍が書き下ろされ、参加者の元に後日送られてきて、ぜんぶで3,000円。

夢のようだ。

東京から奈良への往復旅費(途中息子を預けるために実家を経由)と3日分の宿泊代もかかるので、経済的にもありがたかった。

フォーラムの記録についてはこちらに書いた。


参加特典の書籍については、執筆が遅れているという西村佳哲さんのメッセージが弘文堂経由で何度か届いたのちに、3年後の今年の4月についに発刊された。それが「一緒に冒険をする」だった。

発刊に際しては、本屋さんでない個人でも新刊を売ることができる機会を提供してくれていたのが、ナイスだった。

https://www.livingworld.net/blog/essays/1804_newbook/#more-14168


ちょうどその直後に一箱古本市に出る予定だったので、実際に5,6冊仕入れて、手売りしてみたらとてもよかった。買ってくださった本の一節を音読してお渡しするというプレゼントをつけていたので、この「一緒に冒険をする」を買ってくださった方にも音読をお贈りした。


わたしはこの本を2018年12月30日にようやく読み終えた。売っていたし、人に勧めていたが、自分ではぜんぜん読み進められなかった。

友人とアフタートークをして、あの時間が自分にとってどのようなものだったのかを見てもらいたくなり、フォーラムの参加記録をまとめ、同じマガジンに束ねることができて、なにか「気が済んだ」ようなところがあり、本に手をつける気持ちがわいてきた。それまでは、本をひらいては「ああっ...今は読めないっ...」という激しい感情がわき、あの時間や空間を冷静に見つめることができなかったのだ。


年末の帰省の新幹線の中で読みはじめた。

内容はフォーラムの採録をベースにしながらも、きれいにされすぎず、端折られすぎず、フォーラムの前後の時間の行き来を丁寧にガイドしてくれていて、とても心地好く読み進めた。この本に参加することを歓迎されているようだった。場をつくるときにそのように運営、進行する感覚は自分も大切にしているけれども、書籍でもそれが実現されていることに驚いた。フォーラムのガイドであり本の著者である西村さん自身のグルーヴが感じられた。

そうそう、場はやはりひらいている人の楽しさや、これ・この人をシェアしたいんだ!という熱がうれしいんだよね!!


今読むと、当時は拾いきれなかった言葉の重みや語る人の切実さがひしひしと感じられて、身震いする。

あの時、既にわたしは、前に立って話している方々も、旅の途中であるとわかっていたけれども、それでも状況や事実としては、まだどうなっていくかわからない自分と比べると、遥か先をゆく先輩のように見えた。

今読んでみて、あのときにはなかった強い共感を覚えている。


未読の方がいらしたら、手にとる機会があるとよいなと思う。
生きること、働くこと、人と関係することの、大切なことがたくさん入っている。


フォーラムから5年。

「あの場であの特別な経験をしたわたしは、5年を経て今このようです」と言えるようになった。この5年の道のりとリンクさせながら、味わいながら読むことができて、それがうれしい。

大切な経験を時間をかけて味わってゆくことの貴さも感じている。

わたしに起こっていることをすべて佳きものとして受け取る。

そのように生きていきたい。