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【ひつじが週報】200529-200604

●200529

2ヶ月の沈黙を経て営業を再開。なので日報も再開。

おやすみ期間中は必然日報も書けずにいて、ひっさびさの更新で言葉がなかなか出てこない。2ヶ月のブランクでこれなんだから三井寿が失った2年間の途方もなさが伺い知れる。ポカリスエットを片手に「俺はなぜあんな無駄な時間を……」と当時を振り返ることのないよう感覚を取り戻していきたい。

再開に際してさまざまな方から「おめでとう」と言っていただいた。ただお店を開けただけで果たしてこれがめでたいかどうかは正直怪しいものの、ありがたい言葉は素直に受け取るべき。ありがとうございます。

開店早々近所の方が顔を見せにきてくれたけど、長らく人と会っていなかったので久しぶりの知った顔をみてちょっと感動してしまった。目を見て対話できることの嬉しさよ。向こうもどうやらそうだったようで、ひとしきり話した後に「なんだか正月みたいでめでたいですね」とポツリ。

思えば正月だってただ明けただけでめでたい。お店だってそれでいいのかもしれない。開けましておめでとうございます。

今後ともどうぞよしなに。


●200530

お店を開ける可否については未だになんとも言えず迷いどころではあるものの、それでも「明日も」と言える今日があるのはありがたい。その明日が実際やってくるのはもっとありがたい。

そんな気持ちで迎えた再開二日目。

おやすみ中何度かお店が開いてるか確認するために前を通っていたという方が「前を通ったら開いていたので」とふらっと顔を見せに寄ってくださった。ずっと店の前に立って様子を見ているわけではないので、そうやって知らない間に気にかけてくれてる方がいることは直接話を聞くまでわからない。わからないけど、何かの拍子にそれがわかったときはとにかくうれしい。

そうやって気にかけてくれる人が一人でもいるかもしれないと思える限りはなるべく扉を開けれるようにしておきたいし、ひっそりしていた間にもちらほらとお店の心配をしてくださった方がいて、そのおかげで少なくとも今は「一人でもいる」と迷わず思える状態でいられる。ありがたいなあと思う。

席数を減らしたり時間短縮したりはあくまでこちらの都合なので、それを受けての動く動かないはそれぞれの判断に委ねられている。もっともらしく書いたが、別にそれはこの状況下に限らずいつだってそうなのである。大事なのは今どう人事を尽くせるか。まだ歩み寄れるかもしれないし、来店という形に捉われない別の何かを用意できるかもしれない。可能性に満ち満ちている。そうやって微調整を繰り返していく中で、いつかお互いの都合が噛み合う瞬間がきたら、そのときにまたいろんな人たちと再会したい。なんてことをうすぼんやりと考えた。

●200531

三日目にしてようやく徐々にお店での感覚を取り戻しつつある。遅い!

昨日一昨日となんだか妙に浮き足立っていて、牛乳を買い忘れていたり牛乳を買い忘れたままなことを忘れたりしていたが、もう牛乳も買ったので安心安心。ただそれも氷山の一角で、お店の中にはまだ誰かから言われるまで忘れられたままの何かが眠っているはず。少しずつ思い出していきたい。できれば誰かから注文される前に思い出していたい。

2ヶ月をかけて手に入れた朝方の健康的な生活はこの数日であっという間に露と消えたけど、体の調子はすこぶる良く頭の回転も良好。ぱらぱらとご来店された方とそれぞれの過ごした数ヶ月と、今後それぞれが過ごすであろう数年先までの未来の話をする。昨日も似たような話題でお互いの想像力をぶつけあっていたし、たぶん明日も、その先もしばらくは話題にあがるんだろうなと思う。

明日がどうなってるのかもわからないような状況でも、あえてものすごく未来を想像したいし、そうやって思い浮かべた明るい(明るいことがだいじ)未来に少しでも近づくようにしていきたい。

みたいな話だったり、あつ森(あつまれ どうぶつの森)に出てくるちゃちゃまるの話などをした。あつ森はやったことないけどちゃちゃまるは知ってるからちゃちゃまるの影響力はおそろしいと思う。(ちゃちゃまるはかわいい)

●200601

お店に度々通ってくれてた学生が、社会人になってはじめて来店してくれた。

その子が新社会人になった四月頭時点ですでにひつじがは長期休暇期間に突入しており、以降再開するまでずっと来たくても来れない状況だったとのこと。そう言われると再開してよかったと思うし、照れる。

ほかにも今年新卒の知り合いが数人いるけど、どの子も入社早々イレギュラーな状況で奮闘している。当時のんべんだらりと新卒を迎えた自分と今とでは状況が違いすぎるので助言できることもほとんどないけど、元気にやってる様子を知れるだけで安心する。なんだろうかこの親心……

お店をやってないときにもたまにメッセージなどで近況報告をしてくれる子がいた。来店する以外の手近な報告手段があるありがたみを感じるし、いかに手段があっても使われなければ意味はないのでわざわざ報告しようという意思を持ってくれる子らがいるのがなによりもうれしい。これからも元気な顔(そうじゃないときもあるだろうけど)を見続けられるように、まずは自分自身がずっと元気であらねばと若さを前に奮い立つ。大学生やクリエイターなど、この日の来店者は全員20代。そりゃ父性も芽生えるわ。

●200602

もともと予約をしての来店は滅多になかったが、再開後はその日の状況を確認しつつ事前に来店の時間帯などを連絡してくれる方が増えた。席数を減らしたとはいえ予約しなければ満席で入れないようなお店でも状況でもないので、完全にこちらへの気遣い。ありがたいし助かる。

そうは言いつつこの日は珍しく5席が埋まり、一瞬満席に。席数を減らすと満席感を得られる確率が増すことを学んだ。なんだ満席感って。そのうちお一人はお酒が飲めない方だったのでソフトドリンクを飲まれていたが、後の4名は全員同じお酒を、今夏ひつじがをあげてゴリ押ししているちんぐを飲まれていた。

夏上々という名前の通り、夏にロックやソーダ割でさっぱりと飲むのが美味しいこのお酒。見た目も涼しげでいい。好き。もう好き。なんだけど、去年はこのお酒を取り扱ってる酒販店を見つけらないまま夏を越してしまった。幸いその後見つけはしたものの、夏上々を夏に出せなかったことが悔しく、「来年こそは……」とハンカチを噛み締めていた。

そんな一年越しの執念が神に通じたのか目の前のお客さんの感情を揺さぶったのか、再開から数日で1升瓶が一本あいた。再開以降決して多いとは言えない来店率、その中で決して多いとは言えない焼酎党の比率にもかかわらずの快挙。素晴らしい。でもこのお酒にはそれだけのポテンシャルがある。むしろこれから暑くなるにつれてもっとどんどん人気はでるに違いない。

みたいな気持ちでいるので、「何かオススメは?」と質問されようものならまず間違いなくこのお酒を勧めてくる可能性が今しばらくは高いと思われます。ご来店を予定されている方はどうぞご注意を。でもほんとオススメです。

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●200603

静水(ひと気が少なく、静かな水曜日)。

お店を再開するちょっと前に、先に営業を再開していたご近所にあるお店の方から「水曜日と木曜日はとにかく暇よ!」というおそろしくもありがたいけどやっぱりおそろしいお言葉を頂戴していた。

なのでいつも以上に何かあってもと身構えつつ、万が一にも暇だったときのために読む本も用意して震えながら開店した。そして予想通りの凪。ただそうなる可能性を事前に聞いているといないでは精神衛生に与える影響も段違いなので、あらためて先達の言葉のありがたみを思い知った。

とはいえ現時点ですでに「静水」という言葉があるように、このような状況下に限らずとももともと水曜日は暇である確率が高い曜日なのである。今はstayhome推奨というわかりやすい要因があるとはいえ、本当にそれだけが原因なのかはきちんと見定めなければなるまい。

そのために実績を収集する毎日。データは嘘をつかない。

●200604

先達の言葉によればこの日も静かになることが予想された。

結果から言うと「昨日よりは……」といった感じ。黒いものでもより黒いものと比較すれば白く見えなくもないというか、まやかしの安心感を抱いてしまってよくないぞと自分の頬を張る。

この日は来られた方と一緒に、今の新しい生活様式がしっくりこないので新しい新しい生活様式を考えましょうよなんて話をしていた。名称に「新」がつくとさらに新しいものが現れたときに呼び方ややこしくなるのでよくない。

お店を開けて一週間が流れるように過ぎた。

おうちで過ごしていたときは1日が途方もない長さだったので、あらためて久しぶりにひつじがの時間軸(バグっている)を体感できて嬉しい。このまま1ヶ月2ヶ月すぎてあっという間に年を越している気がする。上半期のんびりし過ぎたので、下半期でもろもろ取り返さねば。なんて意気込んでまだ1ヶ月弱残ってる上半期を棒に降らないようにせねば。

来店者の男女構成とか年齢層とか休業前とこの一週間では明らかに違っていて。そりゃ当時と今で状況も環境も違うんだからそうなるのもおかしくはないけど、その違いの理由を探すのが今はたのしい。