【R6.4.28】天皇賞(春)の予想

【はじめに】

 今年の天皇賞春は週頭、追切でも高評価していて、オッズも思った以上についてくれそうなので迷わずに◎サヴォーナから行きたいと思います。
 土曜日の傾向や枠並びからもサヴォーナに十分頭のチャンスがあると思いますので、この◎に至った理由を書いていきたいと思います。

【まず週頭の繰り返しになりますが】

 基本的に天皇賞春で狙いたいのは
・長距離で”も”強い馬
・上がりが使える馬
・余裕を持ちつつ、ここに狙いを定めたローテで来ている馬

 この3つを満たしている馬です。詳しくは週頭にアップした「天皇賞(春)を考える」を見ていただければと思いますが、今回改めて重視したいのが一番上「長距離で”も”強い馬」であること。
 今回はオッズ的にテーオーロイヤルとドゥレッツァが2強を構成。ドゥレッツァの長距離実績は菊花賞の一勝のみ。その一方でテーオーロイヤルは長期休みから明けてアルゼンチン共和国杯から指導してステイヤーズS、ダイヤモンドS、阪神大賞典と3000m超の重賞を皆勤賞。ステイヤーズSこそ展開のあやで逃げたアイアンバローズに1着を譲ったが、その後は2連勝で長距離適性と充実ぶりを見せつけた。
 菊花賞と長距離重賞3つの違いは何か。もちろん複数違いがありますが、注目したいのは菊花賞の流れを作ったのは中距離馬で、長距離重賞3つは長距離質の流れだったということ。
 菊花賞で逃げたのはドゥレッツァが外から主張、途中でパクスオトマニカにハナを譲り、勝負どころではリビアングラスが早め先頭と、出入りの激しい展開で1000m通過も60.4と長距離戦にしては早い。
 一方テーオーロイヤルがこなしてきた長距離重賞3つはステイヤーズSはアイアンバローズが後ろを惑わせるタイミングで足を使ったが結果的にはスローの大逃げ、ダイヤモンドSはグランスラムアスクとヒュミドールが引っ張ったが流れはそこまで早くなく、1000m通過61.2でもやや後ろを離した感じの縦長の隊列、結局馬券になった3頭はスローからのロンスパ戦でゆったりとした長距離らしい流れ。阪神大賞典もディアスティマ、ジャンカズマが前に行って稍主だったことも相まって1000m通過63.7でラスト5Fの持続力戦とまさに長距離戦といった様相。
 じゃあ今回の天皇賞(春)は誰が流れを作るのかという話です。

【展開予想】

 メンバー構成としては逃げ馬不在と言っていい今回の天皇賞春。
 前走の日経賞で大逃げ、惜しい4着となったマテンロウレオがどこまで主張するか次第ではありますが、マテンロウレオが前走のような仕掛けをしたならそれはそれですし、マテンロウレオが行きたがらず、押し出される形での逃げになるならばこれまでのポジション取りや使ってきた距離、テンのスピード的にタスティエーラ、サヴォーナ、ドゥレッツァあとは不良馬場ではあるが前走AJCCで前目の競馬をしたチャックネイトがどこまで来るか。ここら辺が先行集団を形成することになりそう。
 結果どれが行くことになるかはふたを開けてみないと分かりませんが、どれが行ったとしても中距離が主戦場の馬が流れを握ることになるのは間違いなさそうです。
 これによって、長距離然とした前半1000m通過62秒前後とかっていうスローペースはあまり考えづらく、やはり天皇賞春らしい前半1000m60秒台での通過、ある程度タイトなラップに対応した上でこの3200mをこなすことが求められそう。
 長距離を主戦場としてきた馬にはこの時点で”ペースに対応しなければならない”というハードルをクリアすることが求められます
 そもそもがスタート後ポジション争いが激しい2F目に上り坂があり、落ち着きたいタイミングで下りからの平坦と前半が落ち着きづらいコース形態なのがこの京都3200、そこから平坦が長く続くので先行することに足を少し使った前の馬はここで息を整えたい。それゆえに1000m~2000mは坦々と少し緩んだペースで流れて62秒前後くらいで走ることが多い。
 ですが、今年はここで動いてきそうなのがマテンロウレオ。前走の日経賞しかり、早いラップを刻んで馬郡全体を流すわけではなく、他の馬が足を使いたくないタイミングで奇襲的に足を使って、他の馬が距離を詰めてくるタイミングでラップを緩めて足を溜め直し勝負所のスパートに備えるというのも一つ大逃げのパターン。
 マテンロウレオ自体、あんな逃げを打ったのは前走が初めてではありますが、それに至るまでの近走ではとにかく前に馬をおかずに折り合う練習をしており、急な思い付きではなく布石があって実現したのが前走の逃げ。今回も同じようなことをしてくる可能性は高い。
 その仕掛けをしたときに馬郡を操れるポジションにいるのが恐らく押し出される形で逃げ先行のポジションについていたタスティエーラ、サヴォーナ、ドゥレッツァあたりだとするとほぼ間違いなくマテンロウレオはある程度自由に行かせると思います。
 なんてったってそうなった場合に馬郡を操れる位置につけている可能性が高いのは今回乗っている騎手の中でも実績上位の戸崎騎手とモレイラ騎手。サヴォーナと池添騎手がレオに少し反応する形で単独の2番手になるかもしれませんが、更に少し離れた位置でそれを見る馬郡の先頭はある程度末脚が使えるこの2頭からしたら最も恵まれる展開、ポジションなので、その優位を考え無しに動いて捨てる二人ではないし、特に戸崎騎手はこういった時に後ろの動きを制して自分の有利なペースに落とし込むのが非常に上手い。
 ということで、今回の展開予想をまとめると前半1000mはマテンロウレオor中距離経験の多い先行馬が押し出される形で逃げ、1000m~2000mの馬郡が足を落ち着けたいタイミングでマテンロウレオが仕掛けることで、マテンロウレオが離した先頭、サヴォーナが単独2番手、少し離れた位置でタスティエーラ・ドゥレッツァあたりが馬郡の先頭に構える展開。ラスト1000m、登り坂のあたりから全体にピッチが上がってラスト4Fスパートの末脚比べ。結局終始中距離勢が主導権を握って12秒前半が続く長距離にしてはタイトな展開、道中で馬郡が縦に長くなるせいで中団から後方に構えた差馬は足を使うタイミングが計りづらく、自分から動くと過剰なロンスパを求められる不利な展開。結局前に構えた中距離馬たちが自分たちのスピードレンジでレースを進めて、その中で末脚が伸ばせる馬での決着。こう予想します。
※仮にマテンロウレオが離して逃げなかったとしても中距離質の追走力が求められることに変わりはなく、前につけた中距離馬に向く展開になるのは変わらないと思います。

【その中でサヴォーナを本命にする理由】

 この展開予想だと本命の候補になってくるのはサヴォーナ、ドゥレッツァ、タスティエーラのどれかになってくるのですが、ここで何故サヴォーナなのか。
 まず最も大きいのは、上記の展開になった時に最も恵まれるのがサヴォーナであるということ。
 大逃げの馬がいる場合は基本的に離れた馬郡の前目にいる方が有利です。この理由は単純で、離して逃げている馬がいる場合、馬郡の馬は通常のスパートに加えて”逃げ馬との距離を詰める”ために足を使わなければならない。この前の馬との距離を詰めるタイミングは後ろの馬には図りづらいため、仕掛けの主導権を前の馬に完全に握られてしまう上に、強引に後ろから仕掛けた場合”通常のスパート”+”逃げ馬との距離を詰める”+”馬郡の中でポジションをあげる”と足を使う距離がかなり長くなってしまい、最後まで末脚を伸ばせないから。
 なので、先行しそうな馬の中でも、鞍上的に考えてマテンロウレオが先行したタイミングで反応して少しついて行きそうなサヴォーナが離れた2番手という最も恵まれるポジションを確保しやすそう。
 じゃあポジションを恵まれるだけで2走前に日経新春杯で先着されたブローザホーン、阪神大賞典で先着された4頭に逆転できるのかと考えるとその可能性は十分あり得る。
 そもそもサヴォーナのベスト条件は時計の出る良馬場で直線の長い右回りコースであり、近2走は適条件ではない。
 キズナの大型馬、パワーもあるので渋った馬場が良さそうにも見えるが、前走時点で534㎏とやや大型馬過ぎるせいで加速までに時間がかかってしまい、渋った馬場だとそれに拍車がかかる。また、馬体重が重いほど馬場が渋った時に足がとられやすくなるので、エンジンがかかった後のトップスピードも発揮しづらい。2走前の日経新春杯は良馬場ではあるがかなり年明けの京都はかなりタフな馬場状況だったのでかなり時計も要しており実質稍重に近い状況。ペース的にも先行したサヴォーナには向いておらず、それで1馬身0.1差の2着ならば良馬場になるだけで十分逆転可能。
 前走も稍重の小回りと適性からはかなり逆行。スタートから枠なりに無理せず中団あたりのポジションになったが馬郡の中で窮屈な競馬、コーナーでは中々スムーズに加速していけず、仕掛けで後手を踏んだ。直線を向いた時点で位置関係苦しく、最後進路を確保して伸びては来ていたが内をうまくこなした馬には先着出来なかった。展開、舞台適性、馬場とマイナス要素が多く、敗因明確。評価を落とす内容ではなく、むしろそれでも最後まで足を伸ばせた分評価できる。
 そんな近走からかなり条件が好転するのが今回の天皇賞春。坂を活かしてエンジンのかかりの遅さをカバーできる京都外回り、土曜日は週中の雨の影響もあってか含水率高めで時計がかかり気味だったが、日曜日は30度近くまで気温が上がって時計も早くなりそうというのは追い風。上記の展開想定通りになれば揉まれずに好位で追走できそうであり、大型馬でストライドが大きい分のびのび走ることでよりパフォーマンスを上げやすい。
 過去の傾向的に馬体重がありすぎるというのは不安要素ではあるが、追切評価でも書いたように、近走と比較しても走りのバランスがかなり良くなっており、リラックスしながら緩いラップでも体力の消耗が抑えられる長距離質な走りに変化している。揉まれないポジションにつけることで更に体力の消耗も抑えられそう。長距離戦では2戦とも馬券外となっているが、いずれも敗因は明確。今回追切も定番の坂路好時計から長距離仕様のCW仕上げに切り替えられているのも更に長距離への対応力を助けてくれそうで、大型馬すぎるという点についてはあまり気にしなくても良いのではないかと思う。
 前提条件として考えている
・長距離で”も”強い馬
・上がりが使える馬
・余裕を持ちつつ、ここに狙いを定めたローテで来ている馬
 この3つもしっかり満たしており、それでいて単勝オッズ50倍前後ならば迷わずここから勝負してみたい。

【予想印】

◎10サヴォーナ
〇12ドゥレッツァ
▲11マテンロウレオ
△7タスティエーラ
 これで行きたいと思います。

【各馬の評価】

 各馬の評価に入る前に前提となる条件を改めて整理。
〇長距離で”も”強い馬(2500m以下の重賞で連帯経験)
・サリエラ(ローズS2着)
・サヴォーナ(日経新春杯2着、神戸新聞杯2着)
・タスティエーラ(ダービー1着、皐月賞2着、弥生賞1着)
・チャックネイト(AJCC1着)※
・ディープボンド(京都新聞杯1着、有馬記念2着)
・ドゥレッツァ(金鯱賞2着)
・ハピ(シリウスS)※
・ブローザホーン(日経新春杯1着)※
・マテンロウレオ(きさらぎ賞1着、京都記念2着、中日新聞杯2着)
〇上がりが使える馬(重賞で上がり33秒台or上がり1位で好走)
・サリエラ
・サヴォーナ
・タスティエーラ
・テーオーロイヤル
・ドゥレッツァ
・ハピ
・ブローザホーン
・マテンロウレオ
・ワープスピード
〇余裕を持ちつつ、ここに狙いを定めたローテで来ている馬(3か月以上の休みを挟んで、今回が明け2~3走目)
・タスティエーラ
・ディープボンド
・サヴォーナ
・サリエラ
・ドゥレッツァ
・ブローザホーン

 3つの条件をすべて満たしているのが
・サリエラ
・サヴォーナ
・タスティエーラ
・ドゥレッツァ
・ブローザホーン
 の5頭なので、ここは条件的には高評価。

〇ドゥレッツァ
 2強の中ならば、上記の条件も踏まえてこちらから。
 関東馬ではあるが、栗東滞在での調整で輸送の心配なし。最終追切も単走でいい動きが出来ており状態面良さそう。
 展開的にも前目に構えられれば優位に立ち回れそうで、戸崎騎手も乗りかわりではあるが過去に騎乗経験もあり、この馬の強さは十分理解していると思う。
 ローテ的にも前走金鯱賞というのは悪くなく、59㎏を背負いながら古馬相手のハイペースでも2着に好走できたという点は今回に向けてかなりプラスに働きそう。
 ディープインパクト産駒が減ってきた中で、ディープが得意だった舞台で良績が目立つドゥラメンテ産駒というのも推せる要素。
 あっさり勝たれても驚かないが、オッズ的に単勝で狙う旨味はなく、対抗評価まで。

▲マテンロウレオ
 サヴォーナやドゥレッツァなどが有利に立ち回れば立ち回るほどに可愛がられて馬券内に残しやすくなるのがマテンロウレオ。今回この展開想定で行くならば展開利だけで高評価する必要がある馬。
 使い詰めではありますが、調教の動きでは前走でいきなり状態が良化しており、今回その出来をキープできている印象。
 昨年の5着馬、シンプルにこの舞台への適性も高そうで、結果こそ振るっていないが昨年から更に完成度が増した今、舐められるならば狙いたい。

△タスティエーラ
 前提の3条件をすべて満たしている。
 昨年のクラシックは皐月、ダービーが特殊な展開だったので早い中距離質な展開への経験値が足りていなかった。前走の大阪杯は初めてのタイトな展開かつ初の58㎏だった分対応しきれず11着、状態面でも良いとは言えなかったので大敗でも評価を落とす必要はなく、むしろ前走で早いペースを経験できた分今回競馬がしやすい。
 コントロール性が非常に高い馬で、折り合いには全く不安が無いので一気の距離延長でも問題なくこなしてくれそうで、鞍上がモレイラ騎手に変わる今回やはり無視できる存在ではない。
 今回追切が坂路に切り替えられているが、同様に坂路に切り替えた同厩のメイプルリッジ、デュアルウィルダーが土曜に好走しており、やはり意図的に変化をつけた勝負調教。こちらにも期待したい。

(抑えておきたい馬)
・サリエラ
 条件は満たしている。最内の武豊騎手で天皇賞春というのはやはり無視しづらく、大きなマイナス要素もないのでここは人気でも抑えたい。

・ブローザホーン
 土曜の時計が掛かり気味な馬場が続くならば評価をあげたいが、日曜に気温が上がって時計が出やすくなるならばトップスピード不足で疑いたい。基本的に大きなマイナスはなく内目の枠をひいた菅原騎手は怖い。

・チャックネイト
 スタミナと持続力が求められ、長距離戦にも通じるアルゼンチン共和国杯で好走できているのは良く、前走適性的に合っていたとは考えづらいAJCCでを前から勝ち切ったのは能力充実の証拠だろう。
 調教も悪くなく、外からスムーズに前目につけた上で上手く足を溜められれば十分チャンスあり。人気の盲点になっているようなオッズならば抑えておきたい。

・スマートファントム
 追切特注。かなりステイヤー適性が高そうないい動きが出来ていたので、昇級初戦のG1でも抑えておきたい。末脚のキレはメンバー内でも上位であり、滑り込んで来得る素地はある。

 テーマに基づいて絞った馬券にするため長距離が主戦場の馬、トップスピードに劣る馬は完全に切ります。テーオーロイヤルに走られたら諦めます。
 扱いが難しいのはディープボンドですが、近2年の天皇賞春はトップスピードが求められないレース質だったこともあっての好走かなと思うので、良馬場の今年は基本的には軽視したいと思います。時計がかかる傾向が続くならば紐で抑えます。

【まとめ】

 週頭からずーーーーっとサヴォーナを推していたので初志貫徹でサヴォーナと心中する天皇賞春にしたいと思います。思っていた倍くらいオッズもついているので嬉しい限りです。
 馬券的には
〇単勝 サヴォーナ
〇ワイド サヴォーナ-ドゥレッツァ
〇3連複 サヴォーナ・ドゥレッツァ2頭軸-7.11
      10-7.11.12-1.5.7.11.12.16.17
 これをベースにオッズを見ながら調整していきたいと思います。
 明日はかなり気温が上がってほぼ天皇賞(夏)になるようですが、今回上位に評価したサヴォーナ、ドゥレッツァともに真夏の厳しい暑さの中で好走経験があるというのも推しやすい要素ですね。
 波乱決着も多めな今年の古馬G1、サヴォーナが初重賞制覇をこの舞台で決めてくれると信じて応援したいと思います。

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