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貯金は悪、消費は正義

おはようございます。🐤

今日も今日とて、ファイナンシャルプランナー1級をめざす私が、お金について学んだことや自分の考えをお話していきます。

今日のお話は、「貯金」と「消費」、そしてその是非についてです。一般的には貯金は正義、浪費は悪と言われていて、それはたぶん絶対に正しいことです。きっと。

しかし、社会全体で考えると実は貯金なんてしてもらったら困ることの代表で、稼いだお金は早く使ってほしいのです。

「そんなアホな」と思われる方にはぜひその理由を見ていただいて、「ほほう、そうなんだ」と思っていただくことを目標に文章を作っていきます。このことを知ったうえで政府の経済政策を考えると、なるほどと思えることが多くなるかもしれません。

貯金は悪、消費は正義

社会全体の経済を考えるうえで、必要以上の貯金はしてほしくないというのが通貨の管理者の思いのはずです。たぶん。

🐤 なお、通貨の管理者(=日本銀行)と、税金を扱う政府とでは微妙に考えが違うかもしれません。

言いかえると、お金は可能な限り個人の手元にあるのではなくて、みんなが消費しながら社会に循環している方が健全な経済だといえます。

  • 個人が貯金をすればするほど

  • 企業が貯蓄すればするほど

  • 銀行が貸し渋りをすればするほど

消費は減り、経済は冷え込み、失業者が増え、犯罪が増え、みんな不幸になっていきます。(悪循環)

逆にいうと、

  • 個人が消費をすればするほど

  • 企業が人件費や設備投資に支出をすればするほど

  • 銀行がどんどんお金を貸すほど

消費は増え、経済は活性化し、収入が増え、犯罪が減り、みんなが幸せになります。(好循環)

このような私の考えを聞いてみなさんはどう思いますか?
きっと「個人」と「企業」については真逆の考えではないでしょうか。

つまり、「個人は貯金をすべき」だけど、企業は貯蓄をせずに給料をどんどん支払い、設備投資もして、経済を活発化させることが望ましいと考えるのではないでしょうか。

個人の消費なんて微々たるものだから、経済に影響はないだろうと一瞬考えてしまうかもしれません。ところがどっこい、個人消費は日本全体の消費の約55%程度を占めます。企業の消費よりも個人消費の方が多いくらいです。

日本 | 個人消費(対GDP比) | 1980 – 2023 | 経済指標 | CEIC (ceicdata.com)

要するに、個人の消費は日本の経済にめちゃくちゃ大きな影響を与えるのです。だから、企業が貯蓄をしない方が良いのと似た理由で、個人も貯金をしない方が良いのです。

それでも、貯金をしない方がいいなんてどうしても納得できないし、将来が不安すぎます。それに、私のこの意見を真に受けて、みなさんが貯金をあるだけキャバクラに使い果たしてしまって、明日から生活ができなくなっても困ります。

だから、この矛盾をどう解決していけばいいのかについて考えていきたいと思います。

貯金が悪い理由

私は複雑な問題に出会った時、いつもシンプルなモデル化を試みます。経済はとても複雑なので、世界にたった二人の世界を考えてみます。

うさぎさんとたぬきさんは2人暮らし、毎日の生活を協力しながら暮らしています。普通は2人暮らしだとお金のやりとりはないかと思いますが、お金は感謝の数値化だと考えてください。

うさぎさんは2人分の木の実や野菜をとり、2人分の掃除や洗濯をします。
たぬきさんは2人分の魚や肉をとり、2人の家を作ってくれます。
お互いが自分の得意なことをしていて、お互いのためになっている、とても良い関係です。

もちろん、この2人の仕事の量を計るのに数値化は必要ないし、ましてやお金なんていらないのです、お互いが自分のできることをやって暮らしていけているのですが、ちょっとそれは置いておいて、お互いの1日の仕事にたいしてコインを支払うとします。

2人の全財産は、それぞれコイン3枚ずつです。つまり、お互いの1日の仕事の価値はコイン3枚です。

さてここまでいいでしょうか。長々と説明してきましたが、要するにうさぎさんはたぬきさんに1日の仕事として肉と魚、そして家のメンテナンスをコイン3枚で委託しているということです。

つまり、うさぎさんの1日の収入はコイン3枚、支出はコイン3枚ということです。

ここで、うさぎさんが将来のことを心配し、1日にコイン1枚ずつを貯金したらどうなるでしょう。具体的には、たぬきさんのサービスのうち、肉を買うのをやめるなど一部を節約するのです。

1日目は、うさぎさんはお肉をがまんしてコインを1枚残し、それを貯金します。
一方でたぬきさんはこれまでどおりのサービスを受け、うさぎさんにコインを3枚支払います。たぬきさんの収入はコイン2枚なので、全財産がコイン2枚になりました。

2日目も、うさぎさんはコイン1枚を貯金します。
たぬきさんはうさぎさんのサービスを全て買いたいのですが、お金が2枚しかないので、泣く泣く木の実を買うのを諦めました。これまで美味しく食べていたものが食べられなくなりました。たぬきさんのQOL(暮らしの満足度)が少し低下しました。二人の収入はともにコイン2枚、全財産はうさぎさんが4枚、たぬきさんが2枚です。

3日目、うさぎさんの2日目の収入がコイン2枚になったため、これ以上貯金することはできなくなりました。その代わり、全財産はコイン4枚と少しお金持ちになり、何かあったときにも1日分ではなく、約2日分の蓄えができています。

また、うさぎさんもたぬきさんも、せっかく2人分の能力があるのに、それぞれ肉や木の実が余ってしまいます。いつまでも保存できれば良いのですが、消費できなければ腐ってしまうだけなので、ただ廃棄処分しています。

2人とも、この先ずっと暮らしの満足度が減ってしまいました。これは、うさぎさんが2枚のコインを貯金したために起こってしまった悲劇です。

2人の世界を考えてみましたが、世界の経済もだいたいこんな感じです。世の中の人がそれぞれ収入の10%を毎月貯金して、それを誰も使わなければ、毎月世界で流通するお金の10%が減って、その分の経済は小さくなり、収入も減ってしまうのです。

🐤 もちろん、貯金といっても銀行に預けていると、銀行がそのお金の一部を勝手に誰かに貸し出すなど有効活用してくれるので、同じような結果にはなりません。また、会社に投資する(新規株の購入、もしくは社債の購入)とその会社が有効活用してくれるので、経済は円滑に循環します。
ただし、証券会社を通じて取引する一般的な方法で株式や投資信託を購入するのは、直接企業にお金が渡っているわけではないので、購入者のお金が有効活用されるかどうかは、売り主のお金の使い方によります。

解決策

2人の世界での解決策は簡単で、貯金をやめて、その日受け取ったコインは次の日にすべて使うことです。

他にも解決策はいくつかあります。

  • 物価を下げる(1日分のサービス料金をコイン2枚にする)

  • 物価を下げない(貯金の分だけコインを新しく発行し、日々のコインのやりとりを3枚に戻す)

ただ、うさぎさんの気持ちもわかります。将来の生活が心配ですよね。万一ケガしたり、病気で何日も仕事ができなくなったら収入が止まってしまい、ごはんが食べられなくなったり、身の回りのことができなくなってしまいます。

その時の備えとしては、お金だとなかなか足りないので、たぬきさんと互いに助け合う契約することが解決策の1つです。

他にも、子どもを作って、自分の老後の面倒を見てもらうことも一つです。

これを私たちの社会にあてはめると、次のようになります。

  • 物価を下げる

  • お金を発行する(日本銀行)

  • 貯金をしにくいしくみを作る(金利、税制)

  • 国の制度を利用する(社会保険、生活保護)

  • 民間の保険に加入する

  • 親戚やご近所などと関係をつくる(コミュニティ)

  • 子どもをつくる

では、もうちょっと具体的に説明していきます。

その1:金利

みんなが貯金をしてしまって、社会に流通するお金が減ってきたら、貯金をはたいてお金を使いたくなるような政策を発動します。

その1つが金利の引き下げです。

例えば、預金金利の引き下げです。銀行の金利が高くて、お金を預けていたらお金が増えるという状態では、「ちょっと欲しいものがあっても我慢して預金しておこう」となります。逆に金利が低いと、買い物にまわす心理が働いたり、そのお金を投資にまわしてお金を増やそうとします。

また、金利が低い時には住宅ローンを組む人が増えます。設備投資のために借金する企業も多くなります。

そうすると貯金が減り、借金は増え、社会に流通するお金が増え、景気が良くなります。

その2:税制

もう一つは税制です。税金は公共施設を作ったり公共サービスを提供したりするための財源という役割の他に、経済をコントロールする役割ももっています。

そもそも税金には消費を大きくする方向に動かす力があります。どういうことかというと、税金は「売上-経費」にかかるものなので、経費が大きくなると課税対象の額も小さくなります。だから経費=消費を大きくしようとする力が働くのです。

他にも具体的な例をあげていきます、例えば証券税制です。

有名なのはNISAで、庶民のための小額投資を非課税にする制度です。これにより投資の額を増やして貯金を減らす方向に誘導するものです。

株式や投資信託に投資をする人が増えると、そのお金が直接に企業に届くわけではありませんが、株式の新規発行をした時に資金が集まりやすくなり、設備投資をしやすくなります。また、企業自身も株を保有しているので、株価の上昇は好景気につながります。

次に相続税です。貯金を貯めこんだまま人が亡くなった時、そのお金を子が引き継ぐと相続税を支払わないといけません。このルールは、貯金をなるべく減らして、不動産を購入したり、投資や消費にまわしてもらうように促す効果があります。

「あの世にお金を持っていけないから、生きているうちにみんな使っちゃいましょう」作戦です。

贈与税についても同じで、ただ贈与するだけなら相続税と同じように税率は高くなりますが、そのお金を人生の三大支出である「教育費」「住宅費」にあてる場合は税率を下げたり非課税にしたりします。

また、日々にかかる生活費を贈与する時には贈与税はかかりません。これも日々の消費を小さくしないためのルールです。

また、新しい事業や環境への配慮など、お金になりにくいけど推進したいことも税制で一定のコントロールをすることができます。例えば耐震化、省エネ、バリヤフリーの住宅には一定の税制優遇や補助金があったりします。その分野の産業育成にもつながります。

その3:国の制度を利用する

そして、最後に社会保険や生活保護などの、いざという時のための保障制度です。これがないと安心して消費することができないので、めちゃくちゃ重要な部分です。

うさぎさんがお金を貯めようと思ったのも、自分に万一のことがあった時のためでした。万一の時のための備えは褒められるべきことで、これは経済の現実がどうあろうが、絶対に消えない心理だと思います。

一方で貯金が経済にとってあまり良くないことは、なんとなくわかってきました。

ではどうすればいいかというと、社会全体で「万一のことがあった人」を支えるしくみづくりです。

これは大昔からあることで、経済活動がなかった原始時代から、人間は群れで生活することで、現役世代が老人や子どもの生活を支えてきました。

現在では国が老人や子ども、そしてなんらかの事情で働くことができない人を支えるしくみがあります。それが健康保険や年金、介護保険などの社会保険であったり、生活保護制度です。

仮に貯金ゼロで、万一のけがをしたとしても、このような社会保険などの国の制度を活用することで、なんとかなります。もしもなんとかならなかった時は、最後の手段で生活保護という、生きていくだけの最低限のお金は国から支給されます。

このようにして、できるだけ貯金を減らそうとしています。

親はなぜ貯金しなさいと言うのか

長々と「必要以上に貯金をしてはいけない」「消費は正義」だという理由を説明してきましたが、こんなに社会全体が「貯金をさせず、消費を促す」ためのルールを明確に作っているのに、なぜ親は子に「貯金しなさい」というのでしょうか。

それは戦前から戦時中にかけて、国中のお金を集めて戦争の費用としていたからです。郵便貯金をそのまま国が戦争に使っていたのです。

借りたお金を返すため、国はお金をたくさん発行します。ズルいですよね、チートとしか言えない。だから戦争があると世の中のお金が増えて、お金の価値が減り、インフレになります。

ネットで拾った、たぶんピース大阪の展示

また、高度経済成長期には郵便貯金の定額貯金(定期預金)の金利が7%台だったこともありました。このような時代は、確かに数字上は預けていれば増えるということもありました。実際に10年で倍になるくらいの利率を味わったことがある人は、そのことがなかなか忘れられないでしょう。

100年以上にわたる郵便貯金の金利推移をさぐる(不破雷蔵) - エキスパート - Yahoo!ニュース

もちろん、そのような金利以上に経済は発展していたため、株式投資をしていれば軽く10倍にはなっていたことは知っておかないといけません。貯金が正義の時代なんて国によって作られたまぼろしで、ほんとうは無かったのです。

日経平均の歴史と過去の出来事から見る株価の推移 (ig.com)

まとめ

というわけで、貯金は悪、消費は正義ということを5000文字以上もかけて説明してきました。最後まで読んでいただいた方には、ほんとうにお疲れさまでした。

私たちはつい「貯金しなきゃ」と考えてしまいますし、それは個人レベルでは正しいことです。

しかし、国全体や社会経済のことを考えると、必要以上に貯金をするのではなく、社会のために消費をした方が良いことも確かなのです。

ギャンブルやキャバクラなどに使うのは浪費で、悪だとみなされがちですが、競馬や宝くじなどの収益金は確実に社会貢献のために使われていますし、固い会社員がパチンコやキャバクラに使ったお金は、従業員のお兄さんお姉さんたちに渡り、会社員の代わりにパーッと景気よく使ってくれます。

そうやって浪費や消費をして、最後にはみじめに死んでいくというのも一つの生き方であり、社会に存在する意味でもあります。

もちろん、そうじゃなくて、投資にまわしたり高い保険商品を買ったりして、老後に備えるというのも一つです。

私は80歳まで、いや体が動く限り働き、富裕層からたくさんお金をいただいて、そのお金を社会に配るような動きができたらいいなと考えています。貯金は1 BTCあればいいかな。

というわけで今日の内容は以上です。あまり真に受けていただいたら困る内容なのでなんと言っていいかわかりませんが、とにかく働きましょうみなさん、ダイエットと消費はライフワークです。

それではまた、FP~(@^^)/~~~


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