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あとがき。

 この度は「月のウサギに罪はない」をお読みくださり、ありがとうございます。

 初めから読み続けて下さった方々、頂くスキがとても励みになっておりました。途中から読み始めて下さる方、1話だけでも読んでみようと覗いてくださる方もいらして嬉しかったです。
 この記事には話を作る上で気をつけた点など書き留めました。読めるところまで読んで頂ければ嬉しいです。

(一話目→ https://note.mu/hiyokodou/n/nc8c83d15cae5
(八話目→ https://note.mu/hiyokodou/n/n7056cbe7c30f

テーマのようなモノ

 主人公たちがそれぞれの恋の終わらせる話です。なので「恋」というより、「どういう人で在りたいか」が書きたくて作った話です。
 強いひとはみんなを守る、だけど強いひとを誰が守るのか?そういう問い掛けを頭の片隅に置きつつ書き進めました。

タイトルの件

 恋の終わりは未練が残ったり深く傷付いたりするけれど「最初は思いが通じ合っていて笑い合っていたのなら、最後だめだったからって思い出全部を悲しいものにしなくてもいいんじゃないか」という気持ちを込めて、このようなタイトルをつけました。

 

できあがるまでの変遷

 「軽妙なテンポで恋の話を書こう」、という試みで出発したものがたりなのですが、私は小説を書くときは、「いつか会えたら」や「夜の魚」のように仄暗さが漏れ出してしまいます。なので、この話もスタート地点は軽快とはおおよそほど遠かったです。

 初稿のタイトルは「無関心になりたい」で、「愛するのも憎むのも辟易だから無関心になりたい」というメモ書きが残っていました。…凹む。

 最初は霧島さんの一人称で書き進めました。一旦3000文字で仕上げたのですが、なんとなくしっくりいかなくて、佐々くんの一人称に切り替えたところ、5000文字になりました。
 この時点では(2)から(5)にあたるエピソードは存在していませんでした。小さなエピソードを継ぎ足しているうちに、最終的に文字数が16000文字まで増えたのでした。

試み

 原稿用紙50枚分の話を分割して投稿したのは、話が常に動いているかを確認するためです。結論から述べると、(2)は描写が間延びしてる印象でした。

 常に小さな起承転結をちりばめるように気をつけたかったのですが、一枚のファイルで文章を書くとそういう意識が頭からすっぽり抜け落ちます。「はじまりのキス、終わりのキス」は1500文字前後で話を区切ってくっつける方式で書き進めたので、「月のウサギに罪はない」よりも読みやすい気がします。
 
 

イメージカラーと物語のキーになるもの

 月がキーになっています。佐々くんの至らなさの象徴です。イメージカラーは月明かりと霧島さんのコートの色である白と、夜の色である黒です。
 黒はこころの闇ではなく、影の部分とか隠れている部分とか裏側という意味の黒です。こころの見えてる部分を白、見えていない部分(隠しているのではなくて)を黒に割り振ってる感じです。


主人公たち

 佐々くんは真面目で仕事熱心です。友人知人が困っていたら優しくするのは当たり前、という裏のない子です。ちょっとツメが甘くてちょくちょく下手を打つけれど、会社ではそこも含めて可愛いがられています。
 霧島さんは肩肘張らない性格で、人の「盾」になりたいひとです。「格好いいおじさん」を目指していて、身につけるモノは渋好みです。

 ちなみに、霧島さんは似た形の白いコートを数着持っていて、こまめにクリーニングしてます。携帯灰皿もこまめに洗っています。多くても日に5.6本吸う程度のライトスモーカーです。会社の喫煙室には椅子も灰皿も置いてありません。壁紙が黄ばむのでガラス張りです。

 霧島さんにとって「白は男をかっこよく見せる色」で、カッコいい象徴です。お父さんの白いシャツ姿に幼い頃から憧れていて今に至ります。お父さんはご健在で仲良しです。夏はクールビズで白いシャツ、冬は白いコートをまとってご満足です。

 いつもおつきあい頂き、本当にありがとうございます。イラストと漫画が主な活動ですが、テキストでもまたお会いできれば幸いです。


 最後になりましたが、わたしはいまとある方にご助力賜り、『書くこと』を学んでいる真っ最中です。なんというか、国語の勉強をやり直してる感じです。 
 登場人物たちが見ている景色が読み手に見える文章になっているのか、こころの動きは誤解なく伝わっているか、曖昧な表現に逃げていないか、登場人物たちの感情の動きに私の思い込みが入り込んでいないかなど、学ぶことばかりです。

 なによりも、誰かと一緒に創っている感じがして愉しいです。noteの方々はよくコラボをされていますが、こういう気持ちなんですかね~(*^_^*)
 

 今年は短編をあとふたつは書きたいです。書くのがもっと上手くなれるように、私自身も愉しめるものづくりを模索していきます。

お読みくださり、ありがとうございます。 スキ、フォロー、励みになります。頂いたお気持ちを進む力に変えて、創作活動に取り組んで参ります。サポートも大切に遣わさせて頂きます。