三浦しをん『墨のゆらめき』を読みました。

三浦しをんさんの作品は『舟を編む』から読み始めました。
辞書って編纂っていうから、編むなんだなぁって日本語の響きの美しさを感じた印象があります。

今回も墨という言葉が入ってるので、また美しい文章が読めるなぁと期待大で読み始めました。

ホテルマンと筆耕士…、そもそも筆耕士という仕事を初めて知りました。確か結婚式の招待状のときに宛名書きを頼むかどうかを聞かれたので、もし頼んでいたら契約してる筆耕士の方に頼むことになったのかもしれません。
筆耕士の筆致が見れる一覧とか見せてもらっておけばよかったなと思いました。

私は書道は習ったことなくて、習字しかしていないので書道というのは違うのだと大人になって知りました。
字が綺麗になったから習字の先生には感謝してますが、書道というのも楽しそうだなと感じました。

本の話に戻りますが、遠田さんは「お前はまた来ることになる」と初対面のときに言ったのでしょう?
第六感ですかね?続力が考えた代筆のストーリーが面白かったからですかね?
確かに銀河鉄道の夜をもってくるなんて、知的センスがあるなと感じました。
あとでわかることですが、この時点では遠田さんは銀河鉄道の夜を読んでないですし、意味がわからないはずなのに何で続力に興味が湧いたのでしょうか?
物語は淡々と進んでいき、手紙の代筆を何度かやることになります。
《パンダが地球外生命体🐼》というのは、面白かった。私は実物のパンダを可愛いと思えないので(コアラも)、この考察は楽しいと思いました。
パンダなんて白黒じゃなかったら、ただのぐうたら熊ですしね。
知り合いから和歌山のアドベンチャーワールド行ったら可愛いって思うと言われたので、いずれは行こうと思いますが、上野では期待はずれでした。(パンダは悪くない、小さい頃から絵本やぬいぐるみで見てた可愛い印象が強すぎたせい)

後半の残りページの少なさから、読みながら「これって伏線回収終わるのかな?」と不安になりましたが、長々とした遠田の独白でなんとかおさまりました。
悲壮感たっぷりの生い立ちですが、淡々とした語り口調がリアルでした。感情を入れて話さないことが傷の深さを感じさせます。理不尽に戦うことより受け入れてしまった哀しさを感じました。

この2人は、ジョバンニとカンパネルラのようになるのかな?
大人になっても忖度なくよい友達になれるなんて、うらやましいです。

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