手塚治虫「アドルフに告ぐ」を読みました。

手塚治虫作品といえば、「ブラックジャック」ぐらいしか読んだ覚えがなく、それも中途半端に読んだだけで結末も覚えてないのです。
しかし、ここ近年【コテンラジオ】や【大人の世界史チャンネル】を視聴していて、少しだけ読まずに大人になってしまったなぁと心に引っかかっていました。
読めるのなら、「火の鳥」「ブッダ」「アドルフに告ぐ」を読みたいけど、古い漫画だし読める場所あるのかなと思いながら、調べることもなく過ごしていました。

そしたら、まさか図書館に「アドルフに告ぐ」があるなんて驚きました。
全然関係ない本を借りに行ったのに、偶然目に飛び込んできた「アドルフに告ぐ」。読むのはいまだ!と感じて全巻借りてきました。

読み始めて感じたのは、〝内容がきつい〟ということです。事実(もちろんフィクションですが、その時代にあってもおかしくない)だろうしデフォルメもしてないと思うのですが、目を背けたくなる内容でした。絵も生々しいというか久しぶりにしんどかったです。若い頃の方がこういうジャンルのものは平気だった気がします。
親になったからなのか、世の中のメディアからこういう描写が排除されてきたからなのか、読んでるとメンタルがしんどい。

この本は3人のアドルフを通して、戦争を描いた作品です。
もちろんヒトラーの時代の話だとは知っていましたが、あとの2人のアドルフの人生の方がリアルに心にささります。日本という国に産まれるとユダヤ人に対する迫害の歴史は、感情的に理解できません。
いまだに、ファンタジー作品でさえユダヤ人の方が金貸しとして描かれて、迫害をうけてる設定が出てきます。日本でもナショナリズムとしての差別はあると感じていますが、宗教的な差別は理解しづらいです。
戦争のはじまりも終わりも、結局はないんでしょう。
だから、戦争をなくす方法がわからないんでしょう。
島国に住んでいる私には、同じ国に言葉の通じない人がたくさん住んでいる、国民として住んでいるなんてことが想像つきません。でも、もし太平洋戦争後にアメリカとソ連での日本分割論が実行されていたら、日本にも内戦のようなことが起こった可能性はあったのでしょうか?

ナチスだって民主的選挙で選ばれた政党だということ。これはきちんと理解しないといけません。政治の暴走を許すのは、国民です。
きちんと選挙権の与えられた意味を考えていきたいと思います。

本の最後は、歯痒かったです。
戦いは終わりませんでした。
そして、今も現実に続いています。
まさか、今の世界的ニュースにつながる終わりになるとは、図書館で何度も通ってた通路で、あの日目に留まったのは、今読むべきだと本に呼ばれた気がしました。

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