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みえるとかみえないとか

推薦図書というハッシュタグを見かけて、ふと思いついたのがこの本。
いや、絵本かよって拍子抜けした人もいるでしょうか。
私は、本屋さんに行くといつも絵本コーナーに立ち寄ります。
ちょっと不審者?(笑)
不思議と、絵本は忘れていたことを教えてくれます。
読書は好きだし、小説もそうでないものも手広く読んでいますが、この本を胸を張って全国民への推薦図書としたいです。

ヨシタケシンスケさんはご存知でしょうか。
話題で人気のある絵本作家さんなので、聞いたことがあったり本屋さんで見かけたりしたことがある人も多いはず。
ほんっとうに全部面白いんです。(感想うっす!)

これとか

これとか

どの作品も子供向けに作られているのはもちろんですが、きっと子供が読んだらなんの違和感もなくお気に入りの一冊に仲間入りするだけなんだろうなぁと思います。
子どもの頃に抱いていた疑問、当たり前に思っていたこと。
それって大概、大人になると暗黙の了解的に考えるのをやめてしまうこと。
思っても言わないことが大人みたいなところってあるよね。良くも悪くも。
いちいち考えてるわけにいかないからそれでいいんだけど、ハッとさせられます。

今回紹介する『みえるとかみえないとか』は、簡単に言えばコラボレーション作品です。その本がこちら。

『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 伊藤亜紗・著

絵本のサブタイトルとしては「ちがいをかんがえるえほん」
目の不自由な人の世界ってどんな感じなんだろうという興味から作られた絵本ですが、障がいという枠に囚われていない作品だと思っています。
もちろん、子供向けの絵本なのでポップで可愛く、クスッと笑えます。
でも、私はとあるページで心臓が掴まれた気分になりました。

からだの とくちょうや みためは のりもののようなもので、
「その のりものが とくいなこと」は かならず あるけれど、
のりものの しゅるいを じぶんで えらぶことはできない。
そのひとの ほんとうの きもちや くろうや したいことは、
やっぱり その のりものに ずっとのってきた
そのひとにしか わからない。

これを読んでみたあなたは、どう感じましたか?
もしまだ世間を知らない幼い子供だったら。
きっとなんの疑問も疑いもなく、「ふむふむ」と読むかな?
思春期の中高生だったら。
「あー、わかるわぁ。深いわぁ。まじそれな。」って感じ?

これを読んだ当時大学4年生だった私は、まだまだ自分の未来に悩んでいた頃でした。
柔らかい印象をうける平仮名の文字の羅列の中で、強い否定の言葉が衝撃的でした。

「乗り物の種類を自分で選ぶことは出来ない。」
この言葉を見た時、不意に息苦しくなって、言葉にできない気持ちになりました。
大切なみんな、一人ひとりに伝えたくなった。
乗り物は残念ながら変えられないけど、自分で乗りこなすしかない。
あなたはあなたでいいし、そんなあなたが大好きで大切だから。
でも、案外みんなうまく乗りこなしてるんじゃない?
なぁんて。

「その人の本当の気持ちや苦労は、その人にしかわからない。」
これは、私の人生における教訓です。
人の気持ちなんてわかるわけがない。そんなの当たり前。
だからこそ相手を思いやり、気持ちを考える価値があるし面白いよね。

子ども向けの作品だけど、子供だけに向けたものではないと思いました。
これを読み聞かせる大人たちにも向けられたメッセージかなぁと。

人間誰しも、目に見えた基準で評価されるような優劣なんてないはずのに、自分にないものを羨望してしまう。
書いている私も例外ではないです。
でも、”私だから”できることもたくさんある!
ちがいを羨むより、ちがいを楽しんで個性を自分の物にできるようでありたい。

そんなことを考えさせてくれた一冊です。

みんなに読んでほしいなぁ。

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