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ふらっと沖縄③〈海辺のひとり夜〉

ひとり旅に出たくて、でも出られずにいた大きな理由のひとつが「お化けが出るから」である。友達に言っても笑われる一方だけれど、なかなかの大人になってからでも、こわいものはこわいのだ。

瀬底島から戻り、友人に宿まで送り届けてもらった。午後2時前、昼寝してもいいし、ビーチに出てもいいし、のんびりごろごろ過ごそう。心が重くなるような予定が何一つないのは素晴らしい。

旅行の決め手は宿だった。海のすぐそばで寝起きしたい。どういうところに泊まりたいかをWebでさがし、たどりついたのがここだった。お一人様OK、天井の高いツインルーム、海まで徒歩1分、オーシャンビュー。この宿を軸に、日程から何からすべてを決めた。

ホテルだと、海側にバルコニーがあるオーシャンビューが多いけれど、ここは部屋の入り口側。部屋の外にテラス用テーブルと椅子が置かれており、バルコニーの如く充分なスペースが取られている。両サイドに仕切りもあるため、プライバシー対策も万全。目の前が通路になっており、他のお客さんがたまに通るけれど、往来がさほど多いわけでもないので、椅子に座って思う存分にくつろげる仕様。

ゆるゆると荷ほどきをし、着替えを済ませ、ちょっとだけのつもりでベッドに倒れこむ。寝不足が一気に爆発し、夕暮れを見届けずに夜8時まで眠った。

すっきりした頭で、食堂といった風情のアットホームなレストランで夕食。

テラス席で、真っ暗な海を眺めながら、ゴーヤーチャンプルーともずく酢。ちょっと疲れた胃にちょうどいい。湾の遠くでまわる灯台の灯りや、漁船らしき船の明かりをぼんやり見ながら、ゆっくり食べる。風がゆるく吹いて、蒸し暑さを軽くしてくれる。海辺で食べるごはんは、いつだって嬉しくて美味しくて幸せだ。

猫が多く、ごはんを食べていると寄ってくる。かわいい。


部屋に戻り、テレビをつけると、特捜警察24時的な番組を放映していた。波音が響いてくる中、自転車泥棒が追い詰められていく様を観るのはとてもシュールだった。

シャワーを済ませ、買ったばかりのパックを貼り、テラス席で気が済むまでくつろいでから初日は就寝。


お化けとか忘れてた。

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