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攻撃のための守備 〜J2リーグ第31節 東京ヴェルディ vs レノファ山口FC 振り返り簡易版〜

2019年Jリーグ第31節 東京ヴェルディvsレノファ山口FCの試合は,東京ヴェルディの勝利となりました。今回はその試合の簡単な振り返りです。

この試合のプレビューはこちらです。


この試合で山口に得点の匂いが強くしていた時間帯は,岸田が投入された後から75分ぐらいまでだったと思います。これが私の認識です。ヴェルディを押し込んだ上でセカンドボールを拾い波状攻撃を仕掛けることができていました。岸田の決定機が生まれたのもこの時間でした。

なぜこの時間帯が良かったのか(これはあくまで私の主観かもしれませんが)。その答えのヒントとなるプレーを見つけたのでそれを紹介したいと思います。ポイントは長崎戦の振り返りにあります。

この記事に書いたどの部分がヒントなのか。それは「守備」です。山口が良かったと感じる時間帯にはいい守備がありました。それが72分20秒からのシーンです。ヴェルディがボールを保持した直後の守備はあまり良いとは言えないかもしれませんが,河野が近藤に下げてくれた後からの守備が良かったと思います。

この場面で山口は5-3-2のシステムを採用しています。岸田と宮代の2トップに三幸,池上,山下の3人の中盤です。

河野からパスを受けた近藤は山本にボールをつけます。山口としてはこのスペースは使われたくないので右から三幸がプレスをかけることでなんとかボールを下げさせることに成功します。そして山本から上福元にボールが渡ります。この時に宮代が山口の右サイドに展開させないようなコースを取りプレスをかけます。これで上福元は山口の左サイドの方に展開しました。上福元から梶川,梶川から小池と渡り小池が河野に落とそうとしたところでパウロがボールをカットしました。

このボール奪取のシーンの良かったところをまとめると,まず自分のポジションにたってからコースを限定させるプレスでスイッチを入れ,それに全体が連動して限定した先でボールを奪い切ることができたことです。自分たちの右サイドに展開させないようにプレスをかけながら左サイドにきっちりスライドして待ち構えた上でボールを奪い切ることができたシーンでした。

長崎戦で書いたのは,ビハインドの状況でボールを奪いたいからといって闇雲に奪いに行っても悪い状況が続くだけだということでした(このまとめ方はあまりにもざっくりしているかもしれませんが)。ボールを奪って攻撃したい時こそチーム全体で正しい場所に立って連動して奪いに行く守備がなければなりません。なぜなら広大なフィールドを11人でプレーするサッカーというスポーツにおいて,ボールを奪うためにはいかにスモールフィールドを作る必要があるからです。そのためにはどこかのスペースを捨てる必要が出てきます。だからチームの連動が不可欠なのです。

それができたのが72分20秒からのシーンだったと思います。こういったプレーができると良い攻撃にもつながります。得点の匂いがするような良い攻撃の裏には1つの良い守備がありました。

4点のビハインドを背負っている状況ではありましたがこの時間帯のプレーは次に繋がるものだったと思います。結果的には1点も返せずに敗れたわけですが,チームとしてはこの時間帯のプレーを続けることができるかどうかにフォーカスすればよいと思います。それが難しいことなのだと思いますがそれだけだと思います。

なかなか勝てない状況が続いている中で先制されてしまうと気持ちが先行してしまうかもしれませんが,そんな時こそチームとして良いポジションに立って連動したプレスをするということが挽回のポイントの1つであると改めて実感した試合となりました。


今回は簡易版ということでこれまでとなりますが,最後までお読みいただきありがとうございました。
次は愛媛戦のプレビューです。そこでまたお会いできたら嬉しく思います。


*文中敬称略

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