ジョージ・レイコフ「不変性仮説」より

「先ず、因果関係における原因は(タルミーもその運動力学の研究で述べているように)メタファ的には力として理解されている。従って因果関係というものは全てのメタファとは無縁で意味論的に分解不可能な概念である、というようなことはない、ということがある。
 次に、因果関係における原因の理解に用いられるメタファが一つしか存在しないにもかかわらず、それが他のメタファと組み合わさることによって複雑で多岐に渡る因果関係のイベントの種類を生み出す結果となっている。従って、因果関係が絡むイベントの構造はすべて同じだ、などと考えることはできない、ということがある。それらイベントは因果関係における力がイベント、被動作主、属性、などのいずれにかかるか、といった単純なことがらに関してでも異なっているのである。」

ジョージ・レイコフ「不変性仮説 抽象推論はイメージ・スキーマに基づくか?」杉本孝司訳、坂原茂編『認知言語学の発展』ひつじ書房、2000年、41〜42ページ。

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