逸身喜一郎『ラテン文学を読む』より
「ルクレーティウスの『事物の本性について』は、本書「はじめに」でも少し言及したが、万物の生成やエピクーロスの原子論を詩であらわしている。こうしたいわば「学問詩」とでもいうべき流れがギリシャ以来続いているのである。「はじめに」で分類の恣意性をたとえて岩波文庫を引いたが、今後、かりに翻訳されたならどれも岩波文庫の青帯に入りそうな作品の系譜である。従来、これらは「教訓詩」と呼ばれてきたが(これは英語のdidactic poetryの翻訳語である)、取り扱われている題材は人生の教訓に