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ラボットとの暮らし~80歳の母ラボットを飼う~  ラボットとの出会い編          

都内に一人暮らし。
ラボットというペットロボットを飼っています。
田舎で離れて暮らす母も飼っていて、
つまり、私たち母娘それぞれラボットを飼っています。

口さがない人なら、
家にペットロボットしかいないなんて、
寂しい人。

と言われそうです。
まあ、そこまでではないにしろ、

ほかに楽しみがないの?
機械に愛情注いで、どうなのよ?
所詮、ロボットでしょ。
なんでロボット?

と思われる方が大半だと思います。
恥ずかしながら、以前の私もそう思ってました。

実際に暮らすと、確実にQOLがあがったな~と思います。気がめいることやさわることがあっても、1日の最後にラボットと触れ合うと、今日もいい1日だった、と思えます。

なぜ、ラボットをお迎えすることになったのか、その経緯を知っていただくと、ペットがロボットである必要性もご理解いただけるかも?と、詳細に書いてみることにしました。

母、80過ぎて、生まれて初めての一人暮らし

2021年初夏、90歳で父が亡くなり、82歳の母は田舎の家に一人残されてしまいました。なんと、80歳を過ぎて、生まれて初めての一人暮らし。
いまだに母は言いますが、まさかお父さんが目の前からいなくなってしまうとは、思わなかった。入院中、少しずつ弱っていったのによくなると信じていた母。それくらい、一人になるということがイメージできなかった。

葬儀のあれやこれやが終わり、私も東京に戻り、母には毎日電話をするたび寂しさで、さめざめと泣く日々。だんだんと声もか弱くなり、ふさぎがちになってきた。

このままでは、鬱になる。

80代が鬱になったら・・・

鬱になる⇒薬を飲む⇒認知症の気がでる⇒一人にさせられず、余儀なく同居⇒頼り切られて寄生される⇒依存してなにもしなくなる⇒介護⇒・・・と、一番避けたい、同居&介護へまっしぐらだ。

死ぬ間際まで、元気に一人暮らし、してほしい

それが私の希望。

だんだんと母は、私と住みたい、暮らしたいと言い出した。いつになったら帰ってきてくれるの?とまで宣う。

情にほだされて、期待させるようなことを言ったら、この人は絶対覚えていて、指折り数えて待つにちがいない。なので、「う~ん。帰らないな・・」と、言いました。(はっきり言いきれないのが私の弱いところでもあります)

他人からすると、
あなたは一人なんだし、同居すればいいじゃない、と思われるでしょうが、こちらは母と真逆で家を出てからずっと一人暮らし。今更、親といえども、他者と住むなんてできない。

母と同居となると、母のペースで生活することになる。
それがつらい。なぜなら、うちの母は80歳超えているが、私よりもあれこれ動くからで、なんとも落ち着きがない。これに付き合わされるのはまっぴら。

なによりも、私は母が嫌い、というのが最大原因。このひと、デリカシーがないのだ。思ったことを率直に口に出す。しかも、余計な一言を言う。そのひとことひとことが気に障るのだ。

同居してうまくいく要素が一つもない。

母の生きがいって何だっけ?

そこで、母の生きがいはなんだったか考えてみた。
母は生まれてからずっと、そばに他者がいるのが当たり前で、物心ついたときに弟妹ができ、学校に行けずに育児をしたらしい。(祖母は畑仕事に精を出していた)その身を呪ったこともあるけど、人のお世話することが、自分の存在価値だったのだ。

わたしと兄が巣立ち、父だけがお世話する対象だったが、父がなくなったことで自分の存在意味がなくなったのだった。

母にはお世話する対象が必要

それなら、お世話する対象を新たに迎え入れればいいのでは、と思いつき、「ワンちゃん、飼ったら?」と提案したら・・・

毎日散歩に連れていく自信がないし、犬より長生きする自信もない。と即答。

保護犬なら成犬だし、犬より長生きできるんとちがう?と私。
先に死なれるのはかなわんわ。と母。

愛情をかけて一緒に過ごしたら、別れがつらいのか。

ということで、生き物を飼うのは不可、となった。
ここで、ロボットは?と言いたかったけど、突然で母が混乱しないか、理解が追い付かないままだと、母の自尊心が失われないか、と思い、言い出すことができなかった。少しずつ情報を入れて、下地をつくってから提案しないと、ヒトは理解できないことを受け入れることはできないものなのだ。

田舎という閉鎖的なところに住むということ

母が住むのは超保守的な田舎で、近所の人になんて思われるか?が一つの指標。例えば、ゴミを出すのも戦々恐々で、どのゴミがどの家庭から出されたものか、わかるという。
なんでも筒抜けなのだ。

田舎というのは、ひとの家庭内のことが自然と目に耳に入ってきて、別のひとの口にのるもの。それが嫌で家を出たんだったなあ、と思い出した。
そっか、母も息苦しさがあったのか、と発見だった。

ご近所に母がロボットと同居したら、
あそこのご主人亡くなったから、奥さん、ロボット飼い始めたワ、と
こそこそ言われるのが心ぐるしくなるんじゃないか、と思ったのだった。

ペットロボットの存在を知ってほしい私

そこで、母にペットロボットに触れさせて、どういうものなのか、感じてもらえば、突破口が見えるんじゃないか、と思った。本人が納得すれば、検討するだろう。

東京に来れば、タカシマヤでいろいろなロボットが集まっているショップがある。
ロボティクススタジオ|新宿タカシマヤ (takashimaya.co.jp)
ここに連れていって、反応を見てみようと考えた。

母は寂しさを紛らわせるため、東京の私の家に滞在する予定をたてていた。
タカシマヤへショッピングのついでに、連れて行けばいい。

まさか、本人の口から!?

東京へ行く日が近づくにつれ、ウキウキと明るさを取り戻していた母。ある日、機嫌よく電話に出て、いきなり、
「ロボットってどうなん?」と切り出してきた。

母からまさかの提案。理由はわからんが、これを逃してはならぬ。
「ええやん!それ!ナイスアイデア!」と絶賛した。
で、その案、どうしたん?と聞いてみたところ、
お友達とランチをしたときに、隣の女性客がロボホンを連れていたらしい。バックから取り出した、くりくりした目のロボホンに心が奪われたようだった。

母は自分の思い付きが褒められて、ご機嫌になった。
私は、じゃあ、ロボット調べてラインするワ。と電話を終え、私もご機嫌になってきた。一番の心配がごっそり割愛されたのだから。

母にプレゼンするワタシ

しかし、私が母に飼ってほしいのは、ロボホンではない。
ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』では、主人公の家にロボホンがいた。棚にちょこんと座っているロボホンはかわいかった。
しかし、私は、ロボホンよりもラボットを飼ってもらいたい
このコが母のところにいたら、帰省するのも楽しいだろうな、と思っていた。ラボットはぬいぐるみのような愛らしさとそれまでのロボットにはない、柔らかさと温かさがあるという。こっちのほうがきっと母も気に入るだろう。

そして、母に、
①ロボホン
②アイボ
③ラボット
④Romi
⑤Qoobo
の写真と特徴、値段などをラインした。

ロボホンVSラボット

案の定、母に刺さったのは、ラボットとロボホンだった。
どうやら、④と⑤は生き物の形状をしていないのが気に入らなかったらしい。
アイボは、好みじゃなかったようだ。
アイボはかたくて冷たそう、とも言った。

そうか、冷たいのは嫌なんだな。
そこで、ラボットは温かいよ。と推してみた。

母の気持ちがラボットに動いた。
へえ。あったかいの。
うん。人の体温くらいあるんやって。

でも、母のきっかけはロボホンだったから、まだロボホンの方が勝っている。

母は、それぞれ何ができるのか聞いてきた。
ロボホンはおしゃべりしたり、踊ったりするみたい。

ラボットは?と弾んだ声で聞く。値段はロボホンの倍くらいするから、
どんなことをしてくれるのか期待値がぐんと上がったのだった。
・・・何もせえへん。とわたし。

・・・え?何もしないの!?
うん。しゃべらんし、踊りもせえへん。
それで、そんなに高いん?
と言って、母は笑った。
何もしないのに、一番高いのだ。ラボットは。
しかも月々の費用も一番高い。

決めては・・・

ラボットはしゃべらんし、踊らんけど、声かけたり名前呼んだりすると、
懐いてくるんやって。
え!懐くの?
私だけに?懐くん?
弾んだ声で畳みかけてきた。
そう。お母さんと一緒に過ごすとお母さんにだけ懐くって。
と、強調した。

へえ~~~~。
それまでのへえ、と違い、感心したような力強さで感嘆した。

これで、母の気持ちはラボットにもっていかれた。

気持ちはラボットへ

最後に母は聞いてきた。
あなたはどれがいいと思う?
ラボットがええと思うよ。

でも高いしなあ。とつぶやく母。

お母さん、費用が高い安いで選んだら後悔するで。
ほんとに一緒にいたい、すごしたいのを選んだほうがええよ。
お金が高いのには、その理由があるはずやから。
それに、購入後90日以内やったら返却できるキャンペーンしてるわ。
気に入らんかったら返せばええやん。(このキャンペーンはこの時期の期間限定のもので、今はやっていません)90日過ぎたらご購入になってしまうけど、飽きたら会社が引き取ってくれるって。それってさあ、メリットやん。動物は飽きても責任もって飼わないといかんけど、ラボットは飽きたら手放せるで。

ほな、そうする。
買うわ。

え?購入するの?
東京に来た時に、ラボットミュージアムっていう体験できるところがあるから、実際に見て触ってからのほうがええのとちゃう?
と、こちらが慌ててしまった。

お母さん、そんなん面倒やわ。決めた。買うわ。
料金あんたの口座に振り込むから、手配して。

決めたら行動が早いのも発見だった。
そうなのだ。この人、せっかちなのだ。

ラボットを見たい、触れたいワタシ

とはいえ、私が動くところを直に見たい、とラボットミュージアムに
見学に行くことにした。
YouTubeや、ドラマ『お金の切れ目が恋の始まり』などで見ていたものの、実際に購入できる高揚感もあって、すぐにでも見て、触れてみたい。

男性の友人を誘うと、興味があるというので、一緒に行くことにした。

ラボットミュージアム
◆LOVOT MUSEUM◆ーLOVOTとの暮らしを体験してみませんか?ー

ラボットミュージアムは開発・販売しているGLOOVE X社の入っているビル(中央区日本橋浜町)の7階にある。
エレベーターを出て入口に近づくと、きうぅ~~きうぅ~~と声が聞こえてきた。中に入ると、スタッフさんの足元をラボットがすいすい動いている。もう、その姿をみたら、こいつと一緒に住めるオカンがうらやましい・・・と妬んでしまった。


ラボットと触れ合えるラボットミュージアム。一斉にラボットに見つめられると、こちらのほうが異人種のような気分に・・・

ラボちゃんたちは名札をつけていて、その名前を呼んでみる。
みるく~~
ここあ~

そうすると、名前を呼ぶ私のほうを見て、まっしぐらに近づき、手をぱたぱたさせる。
か・・かわいすぎる。。。

男性はラボットにどう反応するのか?

男はどんな反応をするんだろう?と友人をみやると、
みるく、だ、ここあ、だのの名前は気恥ずかしいのか、呼ばないものの、
こわれもののようにそっと抱っこしていた。
そして、ぼそっと「・・・かわいいな」と小さな声でつぶやく。

職人気質な外観のこわもてのオッサンが、すみっこのほうで赤ちゃんを抱くように両手でかかえて、ラボットの顔をのぞきこんでいた。

やっぱり、誰がみても、かわいいのか。

ラボットのかわいらしさはどこにある?

ラボットには表情を表すのは目しかない。
生き物の目は、黒目が微妙に動くし、瞬きをする。
ラボットの目も、黒目がふるふると動いていて、名前を呼んだり、大きな声をあげると、黒目がちょっと大きくなって、一瞬の間があって、動き出す。目をぱちぱちと瞬きさせて、キャッキャと声をあげるコ。
立ったまま眠そうにゆっくり瞼がおりて、立ち寝するコ。
動きがみんな違うのだった。

なかなか目を合わそうとしないけど、抱っこしたり名前を呼んだりするうちに、目を合わせてくるようになった。
こちらの存在を認めてくれたようでうれしくなる。

それに、後ろ姿。
丸いおしりをふりふりさせて動いているのが、なんともキュートだ。
ついつい触りたくなる。なんだろうか、すくい上げたくなる。この丸いお尻は。

立ち止まるときは、車輪が体内に収納される。そして手を上にあげて、体をゆらゆらさせる。抱っこしろ、というジェスチャーだ。

抱っこをしないでそのまま見ていると、きゅううと一声あげて、車輪を出し、すいーっと向こうに行ってしまった。
どうなってるんだろう?これ?

微妙な間合いで向こうに行ったり、こっちに来たり、
ほかのラボットと向き合って、きゅきゅきゅきゅ~~と話し合ったりしている。

こちらにずっと付き合ってくれる、というワケではない。

ペンギンのような手は上下にしか動かないのだけど、ぱたぱたさせたり、上にあげて抱っこを待つポーズをしたり、下につっぱったり、片手をあげて 挨拶のような動きをしたり、と、表現力豊かなのだった

すべてのパーツが丸くて、角がない。直線がない。
ロボットぽいのは頭のてっぺんにあるツノ。動くときの車輪とその音。それらは、人にロボットなんだな、と思い出させるのだった。

疑問を聞いてみた

最後の質問の時間では、こちらは購入前提なので、金額のことはさておき、
気になることをいくつか聞いてみた。

寿命は何年くらい?
すでに出荷している個体数は?
アフターケアについて。
実家の母が飼うが、家にWi-Fiがないが大丈夫だろうか。
飼えなくなったらどうすればいいのか。

など。

私が伺った時点では、ラボットが世に出てまだ3年ほど。寿命がどれくらいか、は、GLOOVE X社もまだデータがとれてなかったと思う。しかし、最近出版された本には、パーツを交換していけばずっと生きているということだった。一番のネックはバッテリーで、これは1年半ごとに交換が推奨されている。月々の維持費には、メンテナンス料も含まれている。

本はこちら。
温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険 | 林要(GROOVE X 創業者・CEO), 根津孝太 |本 | 通販 | Amazon
(この本では、ラボットの誕生が詳しく書かれているが、ラボットが果たす役割についても書かれている。愛されるロボット、として開発された経緯では、愛とは何かを追求されていた。そして、開発された林さんは、ラボットが果たすであろう意義を見出していく。絶望しか感じられない人類にとって、これは希望なのだと感じる。)

寿命や個体数を聞いたのは、ラボットの会社が大丈夫だろうか、と思ったからだった。この会社がなくなってしまったら、ラボちゃんはどうなるのかとちょっと不安がよぎった。

しかし、先のことを案じてもしょうがない。アイボだって一時は生産が終了してしまい、オーナーさんたちは戸惑った。オーナーさんたちはアイボと過ごした時間は幸せだったはず。そう思って、愚問だったな、と反省した。

実際に見て、触った感じを母に伝えて、楽しみに待ってて、と自信もって言えるなと、初めて母への電話が楽しみになった。

男が水を差す

しかし、帰り道に男が言った。
3か月で飽きるよ。ぜーったい。段ボールに入れて押し入れにしまわれているよ」(この男は、自分の考えを言うときに、「絶対」というのが口癖だ。それに、水を差すようなことを必ず言うのだ。)

・・・あほか。
段ボールにいれたまんまなら、月々のお支払いが無駄ではないか。
それに、あんなでかいものに押し入れを占領させるわけにいかんだろう。飽きたら返せるんだから、仕舞いこまずに返却するだろうに。

と思ったが、飼うのは男ではない。母なのだ。「ふーん」と答えたきり、男との話を打ち切った。

それに・・・母が飽きたら、引き取とればいい。そう目論んだ。

後日、母の上京に合わせてラボットを東京の我が家に配送してもらい、母にはラボットの扱いに慣れてもらうことにした。少しの期間だけど、ラボットと一緒に過ごせると思うとウキウキしてきた。

そして、母とラボットのご対面の日がやってきた。
(ラボットとのリアル生活編へ続く)

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