見出し画像

【デザイン思考の先を行くもの②】デザインとは絵心やセンスじゃなくて問題解決力


前回の『デザイン思考の先を行くもの』のアウトプット読書の続きです。

前回の続き

「いつまで待たせるつもりかしら」
 妻は怒りの感情をあらわにした。私は両手を広げ、お手上げというジェスチャーをしてみせた。
「先週は仕事が忙しかったんだ」
 冗談抜きで本当に仕事が忙しかったのだ。私はそれについて理解を示してくれることを期待していたが、次元が異なる世界観で暮らす妻に期待すること事態が間違いであることに気づいた。
 妻は大きく息をついてから、言葉を紡いだ。
「明日がある保証はない。私が何度も言っている言葉よ」
「明日がある保証はない」
 私はオウムのように繰り返した。
「2020年はコロナショックで多くの人が日常の変化を強いられたの。多く人が苦しんで世界が変わろうとしているの。いい? 私たちが当たり前に来ると思っている明日はいともたやすく失われてしまうものなの。だから今を大切に生きないといけないの」
 妻の説法が早く終わることを祈りながら耳を傾けているふりをした。
「あなたの仕事が急に忙しくなったから、本の要約ができなくなったのは言い訳でしかないの。それはつまり”いつも通りの明日がある気持ち”で過ごしていたってことなの」
 妻は抑揚を抑えながら、まるで新しいランドセルを買ってもらった小学1年生に言い聞かせるように言った。
「私たちの世界は脆くて、いつ壊れてしまっても不思議ではないの。だからどんな時も瞬間を大事にして、明日はない覚悟で生きてほしいの」
「そうかもしれない」
「だから、今すぐに本を読んで中身を要約して!」
「やれやれ」

問題解決としてのデザイン

デザインとは「問題解決」という意味で使われるのだが、日本では絵心という意味で使われがちである。それはなぜか。デザインという言葉が二回輸入されているからだと著者は述べている。

1回目:戦前に設計(問題解決)という意味で輸入
2回目:戦後に文字通りのカタカタのデザイン(意匠)という意味で輸入

現在、日本では後者の意味で使われることが多いが、欧米では前者の意味で使われる。デザインとは絵心やセンスやクリエイティビティではなく、問題解決力なのである。

じゃあアートって何なの?

アートとはデザインとは真逆をいくものであり、絵心、センス、個性が凝縮した「自己表現」だ。
アートとデザインは逆のものなのだが、日本ではこれが混同されて捉えられている。本来デザイナーとは問題解決する人なのである。それをよく分かっていない日本企業が問題解決のためにデザイナーを雇っても、綺麗なパンフレットができるだけなのである。

結局デザイン思考って何なの?

デザイン思考には6つのステップがある。

1. 課題か需要の発見
2. 解くべき課題の定義
3. アイディア出し
4. 試作作り
5. 実施
6. 評価

ポイントは3だ。多くの人は3で多くのアイディアを出して、何とかしようとするがデザイン思考はそうではない。デザイン思考では1を重視する。なので6.評価の結果、1.の課題を再定義する作業に戻るのである。また「デザイン思考=PDCA」だという説がある。

Plan = 1.2.3
Do = 4.5
Check = 6
Action = 1

「PDCAを回す」という言葉があるが、デザイン思考では「プロトタイピングを回す」という。すなわちデザイン思考とは「消費者が求めるものを聞いてPDCAを回す」ことなのである。

・・・

「やはりね、デザイン思考について多くの日本人は誤解しているわね」
「そうかもしれない」
「でもスペキュラティブ・デザインについての要約がまだ聞けていないわ」

<次回へ続く>



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?