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癌になった宗教2世の母の抗がん剤治療1回目の話


関東が梅雨が明けを迎えて数日の7月25日
母の抗がん剤治療第一回目が始まった。

抗がん剤治療には個人差があるらしく、どうなるかわからない状態で、本人も周りも不安のまま今日を迎えた。

前日、母はというとあっけらかんとした様子で、明日の抗がん剤治療に向けて色々と部屋を整理したと言っており、辛くなるであろう治療の中で、少しでも癒されたらとメルカリで、母の好きなEXILEのATSUSHIのポスターを買った。

出品者の方に事情を話し早めに送ってもらうとこの様なお手紙と共におまけのポストカードもつけてくれて、親子揃ってとても感動をした。

出品者さんからのお手紙

人って暖かい。
EXILEのファンの方ってオラついてて近寄りがたいイメージを持ってたけど、そんなこと思ってた私が情けないくらいに優しいんだなと思った。
心が少し楽になった気がした。

ポスターと手紙に大変喜んだ母は
「ATSUSHIファンはどこにいるかわからない…盗まれない様にしなきゃ…」
と同担拒否オタクなことを言って、大事そうに鞄にしまう。
抗がん剤の影響で髪も抜けるかもしれないということで、ベリーショートにした母はこざっぱりとして、小さくて年齢のわりに幼い顔が更に若く見えた。

叔母の春絵さんから明日は治療後、何があるかわからないから、吐いた時用のエチケット袋やアルコール除菌シートを用意しといてと言われて、鞄に詰める。
さらに前日の日に不安すぎて持病の躁鬱が爆発した私は、泣き叫びながら夜を徘徊するなどして、バリバリの精神病患者ムーブを起こし、メンタルに不調を迎え、仕事を早退し心配でなかなか不安が拭えず寝付くことが出来なかった。

そして25日当日、認知症になった反町隆史を介護する夢を見て、心地よさから起きれなかった。
何というポンコツな娘なのだろうか。

昼前、春絵さんから電話があり当初の時間より、数時間も早く治療が終わりそうと電話が来た。
しかし、躁鬱の薬の影響とタイミング悪く生理痛まで重なり、更には夢に反町隆史が出てきて起き上がれなかった私は、母のことを心配しながら布団に包まった。

夕方になり、お腹が空きのそのそと布団から出ると治療を終えた母から電話が来た。
きっと、きつい治療だったに違いない。
心細く帰ってきてくるかもしれない。
用意して行かないとと寝ぼけた頭で思い、緊張と申し訳なさで電話に出ると
「いや〜〜〜なんかめちゃくちゃに元気!」
と開口一番に言われる。
抗がん剤打ちたてほやほやの癌患者のセリフとは思えない。

「大丈夫なの?」
と聞くと「眠さはあるけどね今のところ大丈夫!それよりあんたの方が心配よ!」
と癌患者に心配されてしまった。
chu♡躁鬱でごめんである。

どうやら話を聞くともう既に帰宅した母は、(ポンコツの娘ですまない)
当初、聞いてた治療方針しと違う治療をされた様で、不安になり元医療従事者の母の姉(もう一人の叔母)・綾香さんに聞いたり、担当医や看護婦長さんやケースワーカーさんに話を聞いてたらしい。

担当医曰く、半年前にインスリンを打つほどの糖尿を患った母のことを心配し、抗がん剤の影響で免疫力が下がった時に健常者の人一倍、感染症リスクが高くなる為、当初の予定と違った治療を今回したのことだった。
医療費の事も低所得世帯の我が家のこと考え、担当医は全て計算し、またケースワーカーさんとも相談し、高額医療制度の範囲内でやってくれたそうだ。

ATSUSHIのポスターの出品者さんも含め、母はやはり人に恵まれている人だなと思った。

電話越しからでもわかるくらい明るく語る母の声を聞いて、ダメな娘は安心して眠気が増す。
そんな娘を他所に
「なんだかね、お腹も空いたし今から自転車かっ飛ばしてスーパー行くから!」
なんてカラカラと笑う母に抗がん剤ってハイになる効果でもあるのかと思った。

そう言って電話を切り、ぼやけた頭で母の為に医療用キャップでも買ってやるかと思いネットを開いた。
いい時代になったもんで、癌患者さん用の医療用キャップは可愛いらしいものが、種類豊富に安価で取り扱われてるから驚く。

そういえば母に何か純粋な気持ちで物をあげるのはいつぶりだっけなんて考えて、可愛らしい花柄のターバンのような医療用キャップを買った。


後日、母に渡したら「MISIAみたい!」と喜んで身につけるとくるくると回りだす。子供である。
ATSUSHIのポスターを綺麗に段ボールに貼り付け壁に貼り、「ATSUSHIと2ショット撮って!」とスマホを渡してくる。やっぱり子供である。

ATSUSHIのポスターとの2ショット

抗がん剤治療から数日が経ち未だにこれといった副反応も出てない母は、嬉しそうに「やっぱり仏様に念じてるお陰ね〜こんな楽な闘病生活遅らせてもらって感謝ね」と零した。

神仏のお陰なのか母の強力的な陽気パワーのせいで、抗がん剤がいい感じに中和されたのかわからないが、嬉しそうに笑顔で語る母を見て、癌になってもやっぱり神仏の力を信じないと自分を鼓舞できないのかなと少し複雑になりながらも、母のNK細胞よ、もっと働けよと心の中で母にエールを送った。

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