前日、家族で博物館へ出掛けた。
昼になったのでごはんを食べようと、私と息子で券売機に並び、夫が席を取りに行くことにした。
しかし、パパが離れてしまうことに気付いた息子は、ぱっと私の手を放し、
「パパ～！！」
と追いかけていってしまった。

その日は平日で、しかも11時、店内はまだ空いていたので、まあいいかと列に並びつつ息子を目で追っていたら、

別の男性の席に行っていた。

慌てて
「それは違う人だよ！！」
と走り寄っていくと、ちょうど男性の奥様も席に帰ってきたところだった。息子は奥様、私、男性、の順で見回すと、事態に気がついたようで、見る見るうちに目が潤んできた。

あ、これは泣くなと思ったら、息子、静かにぽろぽろと涙を流し始めた。

普段、嫌なことがあったときには「うわあああああん」みたいな泣き方をするし、痛い想いをしたときには「ママぁ～～抱っこぉぉ～～」と甘えてくるので、こんな泣き方をする息子を見るのは初めてだった。

夫婦に謝罪をし、自分たちの席に戻った後で息子に
「パパじゃなくてびっくりしちゃったの？恥ずかしかった？」
と聞くと、まだ半べそをかきながら
「の～～～（そうなの、の意）」
と答えてくれたので、本人なりにも思うところがあったのだろう。

その後は窓の外の景色を見つつ、ごはんを食べ、すっかりご機嫌になったのであった。

初めて見た息子のすすり泣き。
「かなしい」にも色々あると感情を理解したのかな。
もちろんそんな感情になる状況を作ってしまったことには反省しているけれど、情緒の発達を感じられた出来事だった。