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映画『エリック・クラプトン~12小節の人生~』感想

①劣等感こそ、人間を強くする。

幼少期は絵が得意で内向的だった。
学校の友達と仲良くなく、一人でいた。
劣等感が強かった。
母は出て行って、代わりに祖父母が育てた。
歳を重ねていくうちに、ギターに取り憑かれた。

幼少期の「愛情の歪み」があったエリック。

自分のアイデンティティを獲得するうえで
それより前に抱いていた感情についての分析は必須。

学校があってもなくても、エリックは才能を開花させた。
興味のあることをやらずにはいられないんだ。
誰も言わなくても自然と手が勝手に動き出す。
社会が作った人間像に近づくことを強いられるのが学校。
逆説的に捉えれば、劣等感を作り出す学校こそ必要なのだ。

②真の価値を追求できた「純粋さ」

ビートルズのライブは観客が歓声をあげてほとんど聞くことができなかった。みんなビートルズの「像」を追っていたんだと思う。世の中の消費主義的と自身の価値観が食い違った時、苦悩する。


世を捨てて変人になるか、迎合して常識人になるか。

表現する技術や魂が備わっていた。彼はブラックミュージックを尊敬していたし、魂の部分を理解していたと皆はいう。
ソウルもないし、苦労もしてない。

③どこにでも転がっているありふれた人生

当時、ドラッグやアルコールに依存して、子供が事故で死ぬなんて不幸話は特殊すぎて映画のテーマになった。しかし、令和になった現代人には響かない。情報が多すぎて残酷な事件が一分でニュースとして「消費」されるからだ。

実際、「トレインスポッティング」は今観るとつまらん。

時代の価値観がずれている。

当時の価値観から若者を観ると、「劣化した」「感情が死んでいる」「スマホに操られている」とか思うのだろう。しかし、今の価値観からエリックの人生を観ると「かわいそうだけど、同情はできない」「薬や酒に逃げるの草」と思うのだろう。アナーキーがかっこいい時代はひとまず終わったのだ。

④それでもすげえエリック・クラプトン。

ギター界に影響を与えたとかどうでもよくて、とにかく表現方法がすごい。素人が思うのだから、プロなんかなおさらだろう。

社会科で言う、高橋是清的な凄さ。

人生を音楽に包んで叫んでいる感じがしてたまらない。人間としてとても愛すべき人なんだと思う。エリックを救ったのは「音楽」「娘」だったりする。

僕らも何かを愛そう。恋人でも、夢でも、子供でも、音楽でも、絵でも、教育でも、学校でも、家族でも、仕事でも、なんでもいい。


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