短編小説 【真っ白部屋】

 いつもはあの忌々しい灯台がよく見える私の部屋は、雨が降ると真っ白で何も見えなくなってしまう。だから私は雨が好き。
 今日は雪の日だった。灯台の明かりがぼんやりと優しく窓から入ってきて私の手帳を照らした。捨てることも開くことも出来ぬままで放置している去年の手帳には、十二月三十一日に大きなバツ印。そう、 私が、灯台近くの海に私を捨てる、と決めた日。 
 今日は私の四十九日。

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