見出し画像

過去の自分へ

27歳の時、初めて勤めた会社を辞めた。
いわゆる大手企業だった。

頑張れ頑張れとたくさんの人に応援されて
寝る間も惜しんで働いた。

最終的に取れた称号は
「全国1位」

私の上司はトップセールスマンだった。

1番の部下と言ってもらっていた私は
恥をかかせてはいけないと

すでにランキングから外れた上司の次は私がとる
ここまで育ててくれた上司に恩を返さなくては

ただそれだけだった。

だけど1番を取ったあと
私の世界は一変した。

会社で無視されるようになった。
それも上司がいない時だけ。

「1番は上司に媚びを売って取った」
「サボってるくせに取れるわけない」
「仕事できないくせに」
「クズ、ノロマ」

驚いた。
応援してくれてたはずの人たちから聞く
罵詈雑言。

私は仕事に誇りがあったし
自分は大丈夫、きっと皆分かってくれる
そう思っていた。
私だけが辛いのなら耐えられたが
顧客に迷惑をかけ、会社に迷惑をかけ
なぜ皆がそういった態度に出たのかが
全くわからなかった。

ある日突然机の上にゴミが置いてあって
私の席だけパーテーションで囲われ
皆から見えないようにされていた。

私が甘かった。
皆私が結果出そうが出さまいが
ただただ目障りになっていたのだ。

何かがプツンと切れ
手足が震え眠れなくなり
気づいた時には『うつ病』と診断されていた。

そこからは正直あまり記憶が無い。
薬を飲んで眠る、そんな日々を過ごした。
起きている時間は恐らく通常の眠る時間ほど。

仕事を辞め、実家に帰らせてもらった。
情けなくて恥ずかしくて
何より親に申し訳なった。
1番を取った時、私以上に喜んでくれていたのに。
今でもあの時の情けなさだけは覚えている。

半年ほど経った時
元上司から連絡があった。

「起業するから一緒にやらないか」

自分の身体や親の気持ち
いろんなことを考えなければいけなったのに
二言目には「やらせてください」そう言っていた。

今私は新しい会社の中枢で仕事をしている。
業界は変わらず忙しい日々だが
最近は辛い涙など一度も流していない。

お金はないし
企業の名前もしれてない
それでも心が充実している。

たくさんの人から言われる
「頑張れ!」は逃げることができなかったあの時と
歩み続けている今とでは全く感じ取り方が違う。

きっと完治はしていない。
嫌な事や落ち込むことがあると
尋常じゃないと自分で思う時もある。
これから先「うつ病になった自分」は受け止めて歩くしかない。

それでも
たくさんの人に支えられて
今生きている。

元上司、現社長に言われた。

「君が人に助けられるのは君の能力だし
人にちゃんと接しているからだ。
それは君の強さでしょ。」

この言葉を一生忘れない。

塞ぎ込んでいたあの頃の自分。

君にはこんなに煌びやかな未来が待っているよ。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?