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《夏の思い出》気が散る海辺のシラス丼。

この地域に引っ越してくる前に、私はシュノーケリングに出掛けた。

コロナウイルスのせいで、海の家のアルバイトが出勤してこられないと言う話を聞いたりしていたが『むしろ人がいなけりゃ潜り放題』と私は魚を追いかけまくっていた。

しかし、お昼にはさすがにお腹が空いたので何か食べようと陸に上がり、シラス丼を注文した。



その小屋では若い女の子がやや気だるい感じで数人で寄り集まり、話をしていた。
盗み聞きは良くないと思いつつ小屋は狭いし、シラス丼も来たので私は黙々と食べていた。


『あ、この前❝そろりそろり❞の人来たよ、ガッコウ』
『えーっ!』
『❝そろりそろり❞見れた?』
『ううん、ダメだった。
モノマネじゃないって言われちゃった〜』
『え〜っ?』
『あれモノマネじゃないんだ〜』
『デントウ…ナントカ?らしいよ。
なんか若い頃かなりイケメンで人気すごかったんだって。
今もカッコよかったけど。
あ、なんかすっごいマザコンらしい』
『へー』
『んとね、むかし〜、タイガ?
なんかすっごい有名なドラマに出てたらしい』
『へー!』
『❝そろりそろり❞見れなかったの残念だったね〜』
『うん』



おいおいおい…。
❝そろりそろり❞がモノマネじゃなくて、
デントウナントカで、
マザコンで、
昔、大河ドラマ出てて、
今もカッコいい…って

それ、和泉元彌だろ!?

ってか、このお嬢さん、和泉元彌に
❝そろりそろり❞リクエストしたんかいっっ!!

シラスが鼻の方に入っていくのがわかった。

ブフッ


複数の瞳が、一瞬でコチラを向いた。

ムセないほうが難しかった。




そうか、お笑い芸人さんの影響で『本家』がデントウナントカ扱いになってしまってるのか、この娘たちは。

めちゃくちゃ笑えたけど、ここで口を開けて笑うわけにはいかなかった。

せっかくのシラスが…


すぐに別のおしゃべりを始めた女の子たち。


私にはこんな『いかにも若者』な感じの時代はなかった。
それまではこういった若い娘を羨ましいを通り越して疎ましいとさえと感じていたが、若者特有の『昔を知らない会話』が面白すぎて疎ましさは吹き飛んだ。
そもそも、この会話が笑える時点で私は『おねえさま』大確定だった(苦笑)。






生まれてはじめてのシュノーケリングは大爆笑のオマケ付でとても楽しかったなぁ。



お嬢さんたち、ありがとっ☆

読んでくださった方、ありがとっ♪


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