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オレ達、ただモーレツに生きてるだけさ

先日、親知らずを抜いた。人生2回目の抜歯。

前々からタマネギやら何やらがよく挟まるため、絶対いつか消してやると思って早数年。
いよいよ痛み始めてきたため、今がチャンスとばかりに朝イチで抜いてもらった。
長いこと鬱陶しい存在だった親知らずくん(左下)も、いざいなくなるとぽっかりと穴が開いてしまったようだ(物理)。

「30分はガーゼを噛んで、食事は2時間後に。いま10時半なので、お昼は12時半以降にお願いしますね」
うーん、長いな…。でも、朝にファミマのプリンパフェ食べて胸焼けして食欲失せててよかった。

鎮痛剤と抗生物質(3日間食後にきっちり飲む)をもらい、そのまま家に帰るのもアレなのでとりあえず電車に乗った。
良い機会なので、行ったことのないところへでも行ってみようかな。美術館とかアカデミックでお洒落な休日じゃね?

* * *

ノリでやって来たのは、神戸市のいわゆる六甲アイランドにある「神戸ゆかりの美術館」。
その名の通り、神戸で育まれた芸術文化に触れるを目的とした美術館で、隣には「神戸ファッション美術館」もあるという一石二鳥スポットだった。
六甲アイランドにも行ったことがなかったし、ちょうどいいやとばかりにやってきたら素敵な企画が開催されていた。

題して「さくらももこ展」。言わずもがな、「ちびまる子ちゃん」の作者さんである。私でも知ってる方でよかった。

撮影OKの場所も少しあります

アニメは今でも見てしまうのだが、漫画のほうは恥ずかしながら読んだことはなく…今回たくさん原画なども展示されていて非常に楽しい企画展だった。
ちびまる子ちゃんしか知らなかった私だが、今回「コジコジ」を知れたことはとてもよかったと感じている。

コジコジ新装版、絶対近々買います

人間を楽しませるという使命を帯びたメルヘンでファンタジーな世界に住む主人公・コジコジが、仲間たちとゆるく暮らしていくシュールな物語。一話完結タイプのギャクコメディだが、つかみどころのない謎の存在である主人公の言動が時に真理を追究しており、哲学的な一面も垣間見える作品となっている。

マンガペディアより

ビジュアルは見たことがあるような感じだったのだが、ストーリーや設定はこの日初めて知った。なるほどよくわからん状態である。

コジコジも原画が様々展示されていたのだが、読んでいくとこれは深い。思わず「あー」と声が出るほどズキュンと来てしまったのが、「カエルの生き方の巻」だ。

田んぼでカエルが楽しい楽しいとただ跳んで遊んでいる光景を見て、登場人物の一人が「君たちって何の役にも立たないけど、自分もそうなんだ」と落ち込みながらカエルに話しかける場面。
そこでのカエルの返答がすごい。

「役に立つかどうか?どうでもいいじゃん、そんなこと。オレ達、ただモーレツに生きてるだけさ」

「役に立つかどうかなんてさ、後から誰かが言うことだろ。俺達ゃ、誰かが言うことより自分のことは自分で決めるさ」

生きてる意味なんて考えてるほうが馬鹿馬鹿しいよな。モーレツに生きてるだけなんだもんな。それでいいじゃんな。
役に立っているかどうかは、自分主体でモーレツに生きた結果でしかないんだよな。

実際、周りのことを気にしていたらモーレツになんて生きられないと思う。自分のことを決められるのも守れるのも結局は自分だけ。
とにかく全力で生きて、評価されるならそれでいいだろうし、何も評価されなかったとしても生きたいように生きられたという事実は、いずれ達成感や誇りにつながっていく。

周りを気にしている時間は無駄でしかない。自分の気持ちのままにモーレツに生きて、悔いのない人生を送ってやるんだ!と決意を新たにした瞬間だった。

* * *

土曜日の14時過ぎでこの静けさである

素敵な言葉に出会えた日は気分がいい。
また一つ柔軟な考え方ができるようになることで、人間的にも深くなったような気がしてくる。

降り立った時には閑散として寂しさと哀愁すら感じていた六甲アイランドの景色が、帰りは夕陽に照らされてキラキラと輝いていた。
この言葉に出会ったことで、六甲アイランドの印象は抜群に良くなった。定期的にでも来ようとすら思っている。

痛み止めを飲んだおかげで影を潜めていた親知らずの穴だが、夜にはまた少し痛み出した。
鬱陶しくてしょうがなかった親知らずも、私の口の中でモーレツに生きていたんだよな。何だかんだ、今までありがとう。


#エッセイ #今こそ読みたい神マンガ #神戸 #スキしてみて


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