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ヒメヒナ物語『Refrain』

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記事一覧

ヒメヒナ物語『Refrain』 | 第七話

◆ 目次

第七話
残響
†††

まるで、ぜんぶ死んだみたい。

病室の中で看護師さんが動き回っているのに、なぜかそう思った。

空気を入れ替えるために開け放たれた窓から、冬の朝の冷たい空気が吹き込んで、カーテンがバサバサと揺れている。

「あれ?おかしいですね。親方さんから何も聞いていませんか?」

慣れた手つきでシーツを引きはがしながら、顔なじみの看護師さんは言った。

「ヒメちゃんの転院の

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ヒメヒナ物語『Refrain』 | 第六話

第六話
田中?ヒナヒナにしてやんよ!
†††

「このまま容態が安定するようなら、一週間ぐらいを目処に一般病棟へ移れるでしょう」

緊張に張りつめていた親方の背中から、ほっと力が抜けたのが分かる。

「あの…ヒメちゃんの意識は…」

「正直なところ、まだわかりません。大きな事故でしたから…」

「そうですか…」

親方との気詰まりな空気をふっと変えるみたいに、医師はヒナに視線を向けた。

「ところ

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ヒメヒナ物語『Refrain』 | 第五話

第五話
みとらじSS @病院の屋上
†††

「ヒナ…寝ちゃって……ねえ美兎ちゃん!ヒメ!ヒメのところ、行かないと!」

「まあまあ。さきほど親方さんにお会いしましたが、峠はこえたと」

「ほんと……?」

「ええ。鈴木の歌が届いたんじゃないですか?」

「ぅ………ぇええええ……良かった……良かったよぉ…………」

「よしよし。鈴木、頑張っていましたもんね」

「ぐすっ……そんなこと……ないよ」

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ヒメヒナ物語『Refrain』 | 目次

プロローグ「星空の狭間」

第一話 『鈴木フロ』

第二話 『消えない赤色』

第三話 『命』

第四話 『星に願いを』

第五話 『みとらじSS @病院の屋上』

第六話『田中?ヒナヒナにしてやんよ!』

第七話『残響』

ヒメヒナ物語『Refrain』 | 第四話

第四話
星に願いを
†††

まぶしい……

まぶたの奥に赤色はもう見えない。
夢に出てきたナースさんの処置が効いたのかもしれない。

バタバタと、何人もの人が慌ただしく廊下を行き交う音がする。

「ヒメ!」

跳ねるみたいに飛び起きると、瞳のなかで、像がかたちを結んだ。

声を飲む。

その姿を見たら、息ができなくなってしまった。

ベッドにのせられ、目の前を運ばれて行く真っ白なヒメの顔。体にか

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ヒメヒナ物語『Refrain』 | 第三話

第三話


†††

「ヒメならなれるよ、太陽に」

夕暮れの河原でそんな風に言ったのは、いつだったろう。

もうずいぶん昔のことみたいに思える。

−−−−寒い

まだそんな季節でもないはずなのに、ぶるりと寒気がして目が覚めた。

(いけない!!ヒナ、眠って……)

慌てて廊下の奥、手術室を確認する。

手術灯は−−−−

「あれ?」

手術室がない。

手術室どころか廊下も壁もない。
顔をあ

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ヒメヒナ物語『Refrain』 | 第二話

第二話
消えない赤色
†††

気付けば、壁の前に立っていた。
壁は、顔のすぐ目の前にあった。

ぎょっとして少し後ずさると、
壁だと思っていたものは扉だと分かった。
真っ赤な電光掲示板には「手術中」の文字。

(……パジャマだ)

自分の格好に気付く。
スマホがない。
財布もない。

(……痛っ)

ぎゅっと握り込んだ拳の爪が、てのひらに突き刺さって痛い。真っ白になった指を、ほどくようにゆっくり

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ヒメヒナ物語『Refrain』 | 第一話

第一話
鈴木フロ
†††

(ヒメになんて言おう……)

ブクブクと、顔半分をお風呂につけて思案する。

きっかけは、ささいなことだった。

ほんの少しのすれちがい。ケンカなんて呼べるものではないと思う。だけど、ヒメに悪いことをしてしまったような気がして、ジップロックに入れたスマホに手を伸ばす気にもなれない。

ヒメはきっと、怒っていない。
こんな風に、ヒナが気にしているなんて、思ってもいない。

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ヒメヒナ物語『Refrain』 | プロローグ

ヒメヒナ物語『Refrain』 | プロローグ

プロローグ
星空の狭間

†††

「いいんですか?本当に」

ここまで導(みちび)いてくれたのは彼なのに、
取り返しのつかない罪を犯したみたいに『親方』は言った。

「うん。だってこれは、ヒナにしかできない−−−−ううん。ヒナが、絶対にやらなきゃいけないことだから」

「……ヒナちゃん」

真っ黒に日焼けした親方の顔。
笑ってできるはずの目尻のシワが、今は辛そうにゆがんでいた。

−−−−本当に

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