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今後のインフレと過去のインフレ

だいぶアメリカのインフレが落ち着いてきて、市場がディスインフレを見始めていますが、今後はインフレ率が落ち着くのでしょうか

過去のCPIを見てみるとちょっと違うと思います
下図は1975年付近からのCPIと、インフレに敏感な原油とゴールド、そしてドルインデックスの複合チャートです

CPI(青) 原油(黄) ゴールド(オレンジ) ドルインデックス(水色)

現在はCPIが9%をつけてから急落し、3%台で推移しています
この数値で落ち着いてくれれば、相場もそれほどインフレに対しての反応は少なくなると思います

過去のCPIの動きから、第2のインフレの波の期間

こういった大きく動いた場合は、かなり過去と同じ動きをすることが多いため(当然100%ではありません)、過去の動きを頭の中に入れておくべきと思います

意識すべきは1975年付近のCPIです

CPI(青)

現在の位置としては赤丸と考えています
その前(1970年くらい)にもCPIが上昇していますが、今回の上昇は急ピッチでの上昇のため、それは含めません

1975年付近を拡大したチャートです

CPI(青)

最初のインフレのピークが1974年12月で、その底が1976年12月となり、ちょうど1年かけて下落しました

その後12月から上昇し、1980年3月までCPIが上昇します
4年3ヶ月の期間インフレ率が上昇しています
その後1983年7月まで下落し、インフレが落ち着く結果となっています

これを現在のインフレと合わせてみると
● 2023年6月 第1のCPI天井
● 2024年6月 第1のCPI底
● 2028年9月 第2のCPI天井
● 2032年1月 第2のCPI底

となります
あくまでも目安であり、第2のCPI上昇がくるとは限りません

CPIと政策金利

今度はCPIと政策金利を見てみます

CPI(青) 政策金利(アメリカ・オレンジ)

1970年から1980年はCPIの上昇に伴い、政策金利を引き上げ、CPIの下落に伴い、政策金利を引き下げていることがわかります
当時はCPIが政策金利に与える影響が大きかったのでしょう

ですが、今回はまったく引き下げてはいません

CPI(青) 政策金利(オレンジ)

政策の違いが明確で、これは第2のインフレの波を起こさないための施策とも思えます
FEDの方針はまったくわかりませんが、過去は少なからず意識していることでしょう
おそらく、これまでのCPI下落と同じように政策金利を引き下げていれば、第2のインフレの波がくることは間違いなかったでしょう
政策金利を高値で据え置くことにより、インフレの再燃がないようにしていると見えます
とはいえ、昨年6月の高値を抜かないにしろ、CPIは上昇する可能性が高いとは思いますが

パウエル議長や他の高官が都度発言しているように、「データ次第」というのは、第2のインフレの波が引き起こる可能性がないことが明確にならない限り、利下げは行わないということではないでしょうか
先日利下げについて記事を書きましたが、経済状況も悪くはないため、その点からも利下げする必要性があまりないです

先日の住宅指標に関して、高金利でもかなり良い数値がでたことは、利下げの必要性に乏しくなると思えます

1970年から80年代のように政策金利を上げたり下げたり頻繁に行えば、当時より大きくなった市場を混乱させる可能性が十分ありますから、慎重にならざる得ないでしょう
全世界に影響を及ぼしかねませんからね
むしろ下げるべきはECBのほうかなとも思いますが

CPIと原油

CPI(青) 原油(オレンジ)

当然のことながら、CPIの上昇は原油価格の上昇が起因になっています
一時$100を超えて推移していた原油価格ですが、いまは$75近辺をウロウロしています
$60台は買われる傾向にあるようです
戦略備蓄を放出したため、買っていかなければいけないし、地政学リスクやOPECなど様々な要因もあり、また、採算割れともなってしまうことからそれほど下がらないようです(数年前は$50くらいで動いていたのですけどね)

採算割れになって採掘会社が倒産したりしては元も子もありませんしね

CPIとゴールド

今回のCPI上昇はゴールドにとって逆風となりました

CPI(青) ゴールド(オレンジ)

1970年台から1980年代はCPIの上昇に伴って上昇したゴールドですが、今回は全く逆の動きを見せているのが面白いです
前回のインフレ時はドルの代替資産としての意味合いをみせていたようです
今回は全く逆なのです

ドルも合わせたチャートを見てみるとそれがわかります

CPI(青) ゴールド(オレンジ) ドルインデックス(水色)

1970年から1980年はCPIの上昇に伴いドルが売られ、CPIの下落に対してドルが買われていたことから、CPIの上昇によりゴールドの価値が上がっていました
ですが今回は全くの逆ですね
インフレによりドルの価値が高まり、ゴールドの価値が減る結果となりました
こちらに関しては前回のインフレは参考になりません
インフレによりドルが買われたのですから、ゴールドの価値もそれは下落しますよね(とはいうものの強いですけどね)

さいごに

いろいろ書きましたが、こういった予想的なものはそれほど当たるわけでもありませんので参考まで
過去起こったことは再度起こるとういことが多いため、過去と比べてみました
利下げ論もかなり多い点ですが、いろいろ見ると利下げする必要もないよなぁって思ったのもあります(むしろ日本はよ利上げしろです)

今回のドルとゴールドの動きは全く逆なのが面白いですね(円建てゴールドは円の弱さで代替資産となっていますね)
時代によって動きが変わるというのはなにかの兆候なのでしょうかね???

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