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赤ちゃんを"可愛い"と感じる理由知っていますか?

赤ちゃんは「可愛い」。これは多くの人が持ち合わせている感情です。しかし、この「可愛い」はその先を考えていくと、もっと深い「赤ちゃんの能力」に繋がります。

「子どもには自分で育つ力がある」このことを説明するのは保育士の役割です。赤ちゃんが持つ能力を知り、「可愛い」のその先へ行きましょう!

園長コマツ
とある私立認可保育所の園長です。 子どもや保護者、職員みんなが活き活きと暮らせる保育園へ向けて悩みながら改革中。 自分の取り組みや学びをNoteを通して発信します。 プライベートでは二児の父。 好物はハンバーグ。

赤ちゃんを可愛いと思うのは「ベビースキーマ」の特徴があるから

赤ちゃんは無能?有能?

多くの人が赤ちゃんを見ると「可愛い~!」という気持ちになるでしょう。自分の子どもだけではなく、他人の子どもでも「可愛い~!」と思ってしまいます。

なぜ、人間は赤ちゃんを見ると「可愛い」と思うのでしょう?実は私たちは赤ちゃんによって「可愛い」という感情を引き出されているのです。

「赤ちゃんは何もできない、守られる存在」と昔は考えられていました。しかし、最近の研究では赤ちゃんには様々な能力が備わっている、という事が判明しています。その能力の1つが「ベビースキーマ」と呼ばれるものです。

“可愛い”は作れる??

以下の画像は研究用に使用された肖像権のない赤ちゃんの合成写真です。皆さんはAの顔とBの顔、どちらの顔の方が可愛いと感じますか?

A
B

(画像元:OSF | Japanese Cute Infant Face (JCIF) dataset)

この画像をもとにアンケート調査を行ったところ、ほとんどの人がAの顔にかわいらしさを感じたそうです。それは一体なぜでしょうか?

理由はある特定の条件を満たすことで、人間は無意識にそのものを「可愛い」と感じる本能があるのです。そのある特徴が「ベビースキーマ」と呼ばれるものです。

”可愛い”の源はベビースキーマという特徴。その特徴とは?

ある特定の条件を満たすと、人間は可愛いと思ってしまう、この特徴を発見したのはコンラード・ローレンツという動物行動学者でした。彼はこの特徴のことをベビースキーマと名付けました。コンラード・ローレンツによると、人間は主に以下の特徴があると「可愛い」と思うそうです。

可愛いと感じる特徴
・突き出たおでこ
・顔の下にある大きな目
・弾力のある肌
・膨らんだ頬
・短い手足

子どもや大人に大人気のキャラクターも大体この特徴を押さえています。

ちなみにベビースキーマは人間だけに限らず、動物の赤ちゃんにも適用されます。

それぞれ、ベビースキーマの特徴が備わっているのがわかりますね。


なぜ赤ちゃんにはベビースキーマが備わっているの?

ご存じの通り、人間や動物は大人になるにつれて、顔が変わっていきます。ベビースキーマの特徴が見られるのは、主には生まれたてや赤ちゃんの時期であると言えます。なぜこのような特徴があるのでしょうか?

ベビースキーマを備えている理由

生まれたての人間の赤ちゃんは自分で動いたり、食事をすることができません。哺乳類の中でも、ここまで何もできない動物は類を見ません。なので、人間の赤ちゃんには人間の赤ちゃんなりの生存戦略を立てる必要があるのです。それがベビースキーマなのです。

ベビースキーマは赤ちゃんの生存戦略

ベビースキーマを持って生まれてくることで、人間の大人の多くは赤ちゃんの事を保護したくなる気持ちになります。自分の事が自分で出来ない代わりに、他の誰かに保護してもらう能力に特化した、というわけです。ある程度、自分のことが自分でできるようになると、ベビースキーマの特徴が消えていくのも象徴的です。

大人が赤ちゃんのお世話していると思っていましたが…実は赤ちゃんからお世話したくなる気持ちを大人は引き出されていたのですね!

ベビースキーマについても、まだ研究が続けられている…。

ベビースキーマについても、まだまだわかっていない事が多く、研究が続けられています。最近、大阪大学での研究結果によると、以下のような事もわかってきているようです。

・赤ちゃんの顔の「かわいさ」判断は、個人の好みではなく、多くの人で判断が一致する。
・若い男性は「かわいさ」の高低を認識するのが苦手な傾向にある。
・客観的な「かわいさ」は存在する。しかし、個人が抱く主観的な「かわいい感情」もある。

『日本人赤ちゃんの顔で明らかになった 客観的な「かわいさ」次元の存在』大阪大学入戸野宏教授

まとめ

  • 赤ちゃんの可愛さは「ベビースキーマ」という特徴があるから。

  • 生まれたての赤ちゃんは、自分で自分のことをするのは難しい。

  • なので周りの大人に保護してもらえるように、ベビースキーマの特徴を使い、周りの大人の”保護したい欲”を引き出している。

いかがだったでしょうか?赤ちゃんの能力に関する研究はどんどん進み、色々なことがわかってきました。赤ちゃんの能力を知ることは、子どもの力を信じる保育!として重要な知識になります。

  • 保育者が「子どもの育とうとする力」を信じる根拠になる。

  • 保護者へ「子どもの育とうとする力」を説明する根拠になる。

この2つをするためには、知識を学び、自分で説明できるようになる必要があります。少しずつ学んで、保育士としての質を高めていきましょう!


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