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子どもを保育園に預けることに否定的な保育士

今年の仕事始めの日に、お休みでも預ける保護者の方と、それに不満げな同僚について呟きました。

保育士の方なら共感いただけると思うのですが、保育士の中には小さな(特に0~2歳クラスまでの)子どもを保育園に預けること自体それほど好意的でない(何なら否定的な)人もいます。

また、私の勤める保育所は東京都認証保育所で、専業主婦のご家庭でも預けることができるので、なおさら風当たりが強くなります。

「まだ首も座ってない子を預けるなんて」
「お父さんお休みなら家で見ればいいのに」
「家より保育園にいる時間が長いなんてかわいそう」
「こんなに体調悪そうなのにね」等々。


なんだか共働きの妻が復職に当たって両親から浴びせられる理解のない言葉の代名詞のようですが、これらは他でもない保育士から発された言葉です。

なぜ保育園で働いていながら、子どもを預ける保護者に否定的なのか?
理由を考えてみました。

①単純に仕事が大変だから
登園する子どもの人数が減ったり時間が短くなると、当然ですが仕事はその分楽になります。
毎日急がしい中で、「一人でも休んでくれれば」という心理が働きやすくなります。

②独身、または元専業主婦の保育士が多い
これは私の職場で顕著なのですが、今勤務している保育園の同僚の保育士の子育て経験の内訳は2パターンです。
・専門の学校を卒業して新卒で保育士になり、出産経験なし
・子育てを終えて資格を取ったが、それ以前はパートか専業主婦で、子どもは幼稚園に通わせていた

なんと、私以外の保育士は子どもを保育園に預けた経験がなく、また自分自身も幼児期は保育園ではなく幼稚園に通っていたということでした。

では、「0~2歳の子どもを保育園に通わせる」ことはどれだけ珍しいのか?または当たり前なのか?
調べてみました。

令和3年保育を取り巻く状況について

厚生労働省の「令和3年 保育を取り巻く状況について」に、保育所利用率の推移がありました。

1,2歳児の保育所等利用率
1997年 約17.5%(グラフから読み取りました)
       ↓
2019年 48.1%

18年間で約2.7倍と大きく伸びています。

1クラス35人の小学校で考えると、クラスに6人程度しかいなかったところ、16人と約半数まで増えたことになります。

1997年に1,2歳だった子どもは、(2024年の)今28,9歳です。その親の世代にとって、「1,2歳で子どもを保育所に預ける」ことは、圧倒的少数派であり、「3歳まで家庭で育てて幼稚園に通わせる」保護者の方が遥かに多かったことが分かります。

人間は誰しも自分の経験してきた道しか分からず、他人のことを自分の物差しで考えてしまいます。

3歳まで家庭で育てた親は「小さい頃から保育園に預けるなんてかわいそう」と考え、0歳や1歳から保育園に通わせた親は「自分もそうして育てた」と考えます。

子どもを保育園に預けることの価値観は多種多様で、どれがいいという結論はありません。(三歳児神話すらまだ否定され切っていないと感じます)

保育士は、個人的にどんな価値観を持っていようと、保育園の目的に合致したニーズが保護者にある限り、感情を態度に出すことなく受け入れることが職業倫理であると感じました。

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