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保苅実とつながる会ニュースレター:Dec/Jan 2021-22

親愛なる皆様

 デルタとオミクロンが荒れ狂うアメリカから年末年始のご挨拶です。

コロナ禍も3年目に入りましたが、皆さんご無事でおられるでしょうか。コロナ禍は私たちの生活のさまざまな側面や考え方に影響を与えています。アメリカ人の「個人主義」が、「自分は自分、他人は他人。それぞれに尊重されるべき」ではなく、「自分さえ良ければ他人はどうでもいい」傾向になっています。陽性の可能性があっても、検査をしたら自粛しなければならなくなるから検査をしない、という思考や、この後に及んでもまだインフルエンザと同じ扱いをするなど、事態によっては個よりも国や人類全体を優先しなければならないことがある、という基本的なことを忘れています。周囲でも次々と陽性反応が出ていて、念の為検査しましたが、私たちは大丈夫です。あれほど出足が遅れていた日本があっという間にワクチン接種を進め、アメリカの接種率を追い抜き、低い感染率を維持しているが、オミクロンの感染スピードに対応できるか、と世界が注目しています。みなさん、くれぐれも気をつけてくださいね。

 さて、お知らせです。

 1. ノート/Noteを始めました。#毎月8日はミノルの日、として月に一度のペースで思い出話などを書いていこうかと思っています。Noteは無料登録できます。が、登録していなくても「スキ」ができるので、読んだら「スキ」でお知らせいただけると嬉しいです。

 2. Being Connected with HOKARI MINORUhokariminoru.org)が、オーストラリア国立図書館のデジタルアーカイブに永久保存されたことを、前回お知らせしました。(https://webarchive.nla.gov.au/tep/187236) それとは別に、これからも更新するコンテンツ、重要なコンテンツのいくつかを、新しく始めるサイト(ブログ)に移す準備をしています。

 3. 「ラディカル・オーラル・ヒストリー:オーストラリア先住民アボリジニの歴史実践」の岩波現代文庫の第二刷(800部)が2021年1月に出ました。御茶ノ水書房からでた4500部と、岩波の第一刷4800部と合わせて、総合計が9300部となりました。いつか近い将来1万部を達成することを期待しましょう。

4. 2020年の奈良女子大学の試験問題に使われた「ラディカル」ですが、この度旺文社の「入試正解デジタル」に掲載されることとなりました。また、東京外国語大学の、帰国生入試の課題図書に「ラディカル」が指定されました。

5. オーストラリア国立大学の保苅実記念奨学基金の残高が、2020年12月時点A$167,457から大幅に増え、A$193,029.82となりました。みなさんの寄付で成り立つこの基金残高が運用され成長していくと、奨学金と基金の運用費用を賄う利息も増えていきます。弟が亡くなった年に設立されてから17年間運用され成長してきた今、授与者を二人に増やすか、5000ドルの奨学金額を増やすか、もしくはこのまま過剰利息はそのまま基金に組み込み、残高増加を最大限に目指すか、の決断をする時期が来たと、私は感じています。私の両親は、オーストラリア先住民史に限らず、対象をオーストラリア史もしくは「歴史」研究にまで広げることを提案、私は世界の先住民史研究を対象とするのはどうかと考えています。奨学金を二つにし、二つ目を「歴史」もしくは「世界の先住民史」研究を対象にすることもできます。いずれにせよ、「フィールドワーク」は保苅実の真髄ですから、この条件はそのままにすべきでしょう。寄付者であるみなさんからも、率直なご意見を聞かせていただければと思います。

もう一つの問題は、奨学金への応募者数が少ないまま増えない点です。これはコロナ禍だから、ということではありません。ミノルがそうだったように、学生や研究者は常に助成金や奨学金を探していますよね。五千ドルもの奨学金に興味がないとは思えません。みなさんにお願いします。どうぞ保苅実記念奨学金の宣伝にご協力ください。

6. 2021年の受賞者は、ANUの歴史学博士課程のJessica Urwinさんです。研究タイトルは、“Chain Reactions: Nuclear Colonialism in South Australia”

彼女は、アボリジニの人々を重要な鍵となるエージェントとみなす保苅実の「クロスカルチュアライジングヒストリー」と似た手法で、オーストラリアの核関連の歴史を、アボリジニの人々の植民地経験と平行に位置するものではなく、むしろ深く関わり合っているとみなすことを試みます。

この奨学金で、何世代にもわたってオーストラリア南部の核による「植民地化」に抵抗し続けるPort Augustaの先住民コミュニティへのフィールドワークが実現します。

7.  最後に。2月に編み物関連で集まったUS$1700を基金に寄付し、10月に、第9回目の編み物イベント”Nimara & Japarta: Knit-A-Thon”を開催しました。新月から満月、そしてまた新月から満月へと二回のサイクルの間、12人のニッターが4715メートルの毛糸で、14作品を編み上げました。Ravelryという編み物サイトに、各作品が登録されることで、保苅実の人生が多くの人々に触れる仕組みです。

 長くなりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございます。どうぞ良いお年をお迎えください。7月のミノルの51歳の誕生日にまたお便りします。

 保苅由紀

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