保苅実。遺された、あるE-mailから。
彼らしい章を最後にもってきたと思う。この本が出る頃には自分がもうこの世にはいないことを想定して、著者である保苅実という後ろ盾のいないこの本が受ける賞賛と批判に備えて、彼らしく万全な準備をしたと思う。
数多くの書評が出て、わかったようなことを言いやがって、と思うこともあった。著者が死んでるからって反論がこないってわかってて、勝手なことを言うなんて卑怯な、と思うこともあった。
姉である私が、彼が遺した「ラディカル」を見守りサポートするしかない、と思って活動してきた。彼の死から20年。「ラディカル」が多くの人に読まれ、彼が「ラディカル」を通じて説いてきたことが、若い人たちに刺激を与え、彼らによってさらに若い世代へと続いていっている。
私は、若い世代へつなぐ、というコンセプトに弱い。「保苅実写真展〜カントリーに呼ばれて: ラディカル・オーラル・ヒストリーとオーストラリア・アボリジニ」に中学生が来た、なんて話を聞くと、新潟から東京へ、そしてオーストラリアへ飛び立っていった保苅実の人生から何を感じ取ってくれたのだろうか、と想像するだけでワクワクする。
そんな若い人たちへ。彼が遺したメールを紹介したい。
これは、「ラディカル」の第八章の最後にある、〇〇書店K氏宛のメールであろうと、思われる。
つまらない批判を恐れて小さな枠にはまることなく、自信をもって堂々と世界を変える研究を。
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