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介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる 連載第46回 「就業規則の効果」

こんにちは。ラボ事務局の杉田です。
今週もラボ代表及川による「介護新聞」連載企画(第46回)をお届けしてまいります。
第46回のテーマは「就業規則の効果」です。

 ビジネスの世界では、明確なルールと規則が成功への鍵となります。特に、従業員との関係においてはこれがさらに重要です。
 連載46回目となる今回は、企業運営における「就業規則の効果」という核心に迫ります。就業規則がなぜ必要なのか、そしてその適切な運用がビジネスに及ぼすポジティブな影響について、分かりやすく解説します。

 本記事は初心者でも理解しやすいように、就業規則の基本から、その法的拘束力、効果的な運用方法までを網羅。企業運営の質を高め、トラブルを未然に防ぐための知識を得る絶好の機会ですので、ぜひ最後までお付き合いください。

介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる
連載第46回「就業規則の効果」

 就業規則とは、企業が従業員に対して適用する労働条件や職場のルールを定めた規程です。日本の労働基準法に基づき作成し、従業員10人以上(正社員、パート問わず)の事業所では労働基準監督署届け出が義務付けられています。10人未満の場合は就業規則を作成しなくてもよいと考える事業主がいますが、注意してください。
 就業規則の主な内容には労働時間、休憩、休日、賃金、福利厚生、退職に関する規程などが含まれます。これにより、労働者と使用者の権利と義務が明確になり、職場の秩序維持やトラブル防止に役立つため、作成が推奨されています。

 就業規則に必ず記載しなければならない項目は、
▶ 労働時間
▶ 賃金
▶ 退職
▶ 安全衛生
▶ 職業訓練
▶ 福利厚生
▶ 表彰及び制裁

これらの項目は必要に応じて更新し、都度、労働基準監督署に届け出する必要があります。

 就業規則における「相対的記載事項」は、特定の条件や状況に応じて記載が必要となる項目を指します。主な相対的記載事項は次の通りです。
▶ 時間外及び休日労働に関する事項
▶ 短時間労働者の労働条件
▶ アルバイト等臨時労働者の労働条件
▶ 転勤や出向に関する事項
▶ 退職金制度

これらの項目は、全ての事業所に共通する必須項目ではなく、事業所の実情や運営形態によって異なります。

 就業規則の法律的拘束力は、労働基準法に基づき作成され、従業員への周知、意見を確認の後、労働者と使用者の双方に対して法的拘束力を持ちます。就業規則が労働契約の一部と見なされるためです。したがって、就業規則に記載された内容は、労働者と使用者双方が遵(じゅん)守しなければならないルールとなります。
 労働基準監督署への届け出が効力の発揮ではなく、従業員への周知意見の確認となります。定めた規則に対して、従業員側から否定的な意見が出たとしても、法律拘束力は発揮されます。

 労働関連の紛争が発生した場合、就業規則は解決の重要な基準となります。裁判所は、就業規則の内容を基に判断します。安全衛生や福利厚生などの労働環境に関する規程も含まれるため、就業規則は労働環境の改善にも寄与します。

 就業規則は、労働基準法その他の関連法令に違反してはなりません。法令に反する内容は無効とされ、法令が優先されます。既存の労働者に不利益な変更を就業規則で行う場合、一定の手続きが必要です。
 労働者の同意労働組合との協議が求められることがあります。就業規則は、労働者と使用者の間の権利と義務を定める重要文書であり、適切な運用が求められます。

 異動、配置転換の際にトラブルが発生するケースがあります。就業規則に異動、配置転換、職務変更が規定されている場合、労働者がこれらを拒否することは、一般的には難しいですが、状況によっては可能な場合もあります。就業規則に動や職務変更の権限が使用者に与えられている場合、これは労働契約の一部と見なされるため、原則として労働者はこれに従う必要があります。

 ただし、異動や職務変更が合理的かつ妥当な範囲内である必要があります。使用者の指示が労働者の健康、能力、生活状況などを無視した不合理なものである場合、労働者は拒否する権利があります。
 労働契約で特定の職務や勤務地が明確に定められている場合、それを超える異動や職務変更は、労働契約の変更にあたる可能性があり、労働者の同意が必要です。労働者の健康上の理由や家族の事情など、個別の事情により異動や職務変更が困難な場合、これを拒否することができる場合があります。

 異動や職務変更に関しては、使用者と労働者間で十分な協議が行われることが望ましいです。不明瞭(りょう)な点や不安な点は、事前に話し合いを通じて解決を図るべきです。最終的には、具体的なケースによって異なりますので、労働法の専門家ほか労働組合や労働基準監督署などの公的機関に相談することをお勧めします。

介護新聞1/17付「介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!」
http://wwu.phoenix-c.or.jp/~medim/kaigo/2024/202401kaigo/kaigo20240119.html

今週もご訪問いただきありがとうございました!
また次回、第47回の記事でお会いしましょう!

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