見出し画像

PBP(Paris Brest Paris) 2023 ⑦ 復路


Etape 8 Brest-Carhaix … PC6→PC7 (604-697km)

8/22 11:00 ブレスト出発。休憩込みで 行きが 41時間、帰りが 49時間のペース配分となる。
612km ムーラン・ブラン湾(Anse du Moulin Blanc)を望むビーチにて記念撮影 11:06

Anse du Moulin Blanc

614km プルガステル橋(Pont Albert Louppe アルバート・ルーペ橋)より ムーラン・ブラン湾を望む。橋のあちこちで記念撮影大会 11:17

Pont Albert Louppe

615km 橋を渡ると 出口付近で PBP参加者へ 苺(Frase)の無料ふるまい、美味しいうえにホントに応援が温かくて泣けてくる 11:31

Frase

631km 何やら地元客が列をなしているお店を発見! 通りがかりの ブーランジェリー Boulangerie Le Goff 

Boulangerie Le Goff

ガラスケースを覗くと 形はリングタイプではなくストレートタイプではあるが パリ・ブレスト 。そして 残り2個、、もう一人の日本人のお方と1個ずつ平和的に入手成功!
これが本場の味!?  ナッツの練り込み具合が最高で 今回のPBPを通じて個人的には このお店の パリ・ブレスト がナンバーワンでした!!

Paris Brest

しばらく進むと AJたまがわ の Guranさん と合流。
649km Pont-de-Buis駅の踏み切りが閉まったので何が来るかと思ってたら TGV ! 13:43

TGV @ Pont-de-Buis

650km Casino Supermarché スーパーにて30分ほど補給と休憩 with Guranさん、日本人の方数名と ボトル大の水を分け合う。この区間では私設エイドを見かけず。 13:50-14:20

660km プレバン (Pleyben)  14:50-15:00
復路のシークレットコントロール (Contrôle secret retour) 
誘導に従って自転車を止める。カトリック教会に隣接。

ブレストでトイレ問題を解決したかったのだが、数少ないトイレに並ぶ行列に辟易し前に進むことに。さすがにお腹も張ってきて、飲み物や食べ物を受け付けなくなってきた。口内炎も気になり始める。次のPCまではまだ距離もあり、このあたりで解決しておきたいところ。Guranさんと協力して ガソリンスタンドなどの公衆トイレ探しが始まる。

681km ランドロー (Landeleau) の街にて
 Où sont les toilettes ? トイレはどこですか?
Total ガソリンスタンド の店主:Mairie! (ここじゃない、メリーに行け)
教会にいたおじさんたち:Après la Mairie!(メリーの裏にあるぞ、すぐそこだから案内してやる)
Mairie ってなんだ? → 市庁舎 でした、、、

Mairie De Landeleau

トイレットペーパーなくて持参したウェットティッシュが活躍。ふう~。
PCの混雑トイレは後続プレッシャーも感じるのでここは落ち着けてナイスプレイス、完走に向けて大きなターニングポイントともいえる。一緒に解決してくれた Guran さんに感謝!

681km Landeleau のカトリック教会 
トイレ問題を無事解決し、正規ルートに戻る 16:27 

Église Saint-Théleau

Etape 9 Carhaix-Loudéac … PC7→PC8 (697-782km)

697km PC7 カレ=プルゲール(Carhaix-Plouguer)
次のWPまで34kmほどしかなく、せっかく体が身軽になったこともあり、ここでは簡単な補給で済ます。 17:21-17:50

713km 農業大国フランス。牧草を食む牛たち。ところどころこのような景色が現れる。 18:34

放し飼いの牛たち

730km 農業大国フランス。これもよく見かける小麦畑の景色。 19:20

麦稈(ばっかん)ロール

731km WP4 グアレック(Gouarec)with Guranさんと
日本人女性の方が「GARMIN のバッテリーが切れそうで、次のルデアックまで行けばドロップバッグでつなげるので少しだけ充電させてほしい」とのこと。お安い御用。ここではしっかりめに補給。 19:25-20:20

WP4 Gouarec

742km もうじき陽が沈む、3回目の日没。Guranさんとはこのあたりから別ペースにて。 21:00

3回目の日没

750km クレゲレック (Cléguérec) の手前にて 仮眠 15分 21:20-21:35
のちに Strava Flyby をたどって、道路際の奥まったところにエマージェンシーシートを広げて 15分ほどの仮眠をとっていたことが突き合わせできた。
眠気を感じ始めたら無理せず寝る、ただしダラダラ寝ないでなるべく短時間で済ませて前に進むことを優先、という基本スタンスでした。

782km PC8 ルデアック (Loudeac) 8/22 23:18 - 8/23 01:15
PC の手前 20km ほど? U2 BIKES ジャージ発見!多田さんともう一人の日本人の方と並走。国内ブルべは600kmが最長でこの距離は未知という(Q組ということはスタートが2時間くらい違うのだが、なかなかよいペースで走られてる、、)
距離感がバグってきて これまで走ってきた距離と次のPCまでの距離とでギャップを感じてくる、あと20kmはわずかな距離に思えるがそれでも1時間近くかかるわけで。「次のPCまで近そうでいて、なかなか着かないね、、」多国籍パックに混ざってナイトライド集団移動。
集団のペースがやや遅いようにも感じるが、前に出てしまうと補助ライトを足さないと路面が見づらく、バンプやちょっとしたカーブに神経を使う。もう一踏みして前に出たところで次のPC休憩で5分と変わらないであろうし、集中力も落ちかけているので集団後方にて体力とライトのバッテリー節約温存に努める。
PC到着後はコントロール、ドロップバッグよりバッテリー整理、シャワー、仮眠所にて仮眠を1時間ほど。

Etape 10 Loudéac-Tinténiac … PC8→PC9 (782-867km)

日付が変わって 8/23 01:15 再スタート。この時間は走行している人が少ない、、前後にランドヌールをまったく見かけず単独走行になることもしばしば。暗くて周囲の景色もよくわからず、館山とか伊豆とか、はたまたアフリカのどこかの街と言われれば、そんな気もしなくもない。
暗闇を一人で走り続けていると、起きているのか夢の中なのか、だんだん区別がつかなくなってくる。時間内に完走することも大事な目標ではあるが、送り出してくれた家族のことを想うと、ただ無事に帰ってくるということも、それ以上に大事なことであったりする。

822km  イフォー (Illifaut)  の有料カフェ 03:15
走行しているライダーはまばらだが、私設エイドやカフェで立ち止まるライダーは多数。眠気覚ましに コーヒー (Café) いただく。

Illifaut

842km WP5 ケディヤック (Quédillac) 04:25-05:00
ここは No Control コントロールなし。シークレットもすでにスタンプ済のため、スルーして行く人も。

WP5 Quédillac-1
WP5 Quédillac-2

各国語(フランス語 / 英語 / ドイツ語 / スペイン語)で書かれたメニュー。記憶が曖昧だが 残ってる写真から Galette saucisse を食べたはず?

WP5 Quédillac-3

WPで見かけた充電ステーション。持参したモバイルバッテリーの容量で足りそうなため、今回は利用せず、、

WP5 Quédillac-4

Etape 11 Tinténiac-Fougères … PC9→PC10 (867-928km)

867km PC9 タンテニアック (Tinténiac)  06:25-07:10

PC9 Tinténiac-1
PC9 Tinténiac-2

タンテニアック出発する際に くらさん と再会、しばらく並走。
892km サン=トーバン=ドビニェ (Saint-Aubin-d'Aubigné)  08:17

Saint-Aubin-d'Aubigné

896km ラ・クタンシエール (La Coutancière) 夜明け 08:22

La Coutancière

陽が昇り始めたので暑くなると予想し、このあと長袖アンダーシャツ、ショーツを脱いで半袖ジャージで走るが、薄曇りのためか午前中は気温があまり上がらず少し肌寒く感じた。このあたりから風邪気味になりかける。
初日から調子を取り戻してきたという くらさん はもともと登りが自分よりも速いので、スイスイとやがて視界から消えていった。お気をつけて!

Etape 12 Fougères-Villaines … PC10→PC11 (928-1017km)

928km PC10 フジェール (Fougères) 
コントロール、ドロップバッグにてモバイルバッテリー交換、シャワー、軽食、芝生にて1時間ほど仮眠。 10:05-11:50

再スタート、初日に見かけた青ジャージ、イタリア人カップルと走行ペースが近そうなのでしばらく並走。彼らもタフだ、油断すると千切れそうになる。

Fougères

951km ラ・タニエール (La Tannière) の私設エイド。クレープ、水の補給 12:55-13:05

La Tannière

962km エルセ (Hercé) の私設エイド 13:35
気温が上がってきてエイドを見かけたら即休憩。ここでは水に味付けシロップを混ぜていただく。

Hercé

964km ゴロン(Gorron)  わずか 2km ほど進んだところにまたしても私設エイド。ここはデザート系が充実。 13:45

Gorron-1

はじめはパウンドケーキをいただいていたが、しばらくしてクーラーボックスから何やらタッパーを取り出し、これはどうか?と勧めてくる。
後で調べたら、リオレ (Riz au lait) といって バニラで香りづけした牛乳で米を煮た冷たいデザート、フランスでは有名な家庭料理とのこと。これはもう忘れられない、アタリのデザート!

Gorron-2

冷たいデザートだから、暑いときには表には出しておけないのだね、少年にさりげなく Audax Japan の缶バッジ を手渡し Merci, garçon ! と伝えると、少年は「ニコッ」とほほ笑んだ。

Gorron-3

ほどよく休憩もできたところで、インターナショナルな集団がよい感じのペースで追い抜いていったので、追いかけて集団についていくことにした。
10人ほどの集団だが 車がほとんど通らないため 横2、3列の塊になって進む。 14:00

インターナショナルトレイン

979km ビストロ・デ・ヴァレンヌ (Bistro de la Varenne)  14:30-14:40
インターナショナルな男女混成トレインで およそ 15km を 30分ほどで駆け抜け、ヴァレンヌ川の橋のたもとにあるビストロにてジェラート休憩。
このビストロは往路でも、PC間 90km のちょうど中間 45km 地点で立ち寄ったのを覚えている。明け方で寒くて温かいコーヒーに助けられたが、復路はこんなに暑くなるとは思わなかった。

Bistro de la Varenne-1
Bistro de la Varenne-2
Bistro de la Varenne-3

979km ビストロのすぐ隣 ヴァレンヌのノートルダム教区 (Paroisse Notre-Dame sur la Varenne)  さりげなく圧巻 14:40

Paroisse Notre-Dame sur la Varenne

Etape 13 Villaines-Mortagne … PC11→PC12 (1017-1099km)

1017km PC11 ヴィレンヌ=ラ=ジュエル (Villaines-la-Juhel)  17:07-20:15
往路 PC1 同様 コントロールにてスタンプもらうと医務室に直行。マッサージ施術を受ける。例によって二人のマダムに両脚をもみしだいていただく。が、ベッドに横たわると速攻で寝落ちしてしまい、まったく記憶がないままマッサージ終了を告げられ起こされる。食事はガッツリめに肉、野菜、果物、スープなど。仮眠が足りないので仮眠所へ行き、さらに2時間ほど寝た。正確には一度起こされたが二度寝してしまい、もうちょっと寝た。
 再スタートする前にメカニックに立ち寄り、チェーンオイルないか尋ねたらスプレーを吹きかけてくれた。無料でいいよ、とのこと。サドルバッグにチェーンオイルを入れてあるが、ここまで雨がないのでとくに不具合は無し。

PC11 Villaines-la-Juhel

1034km サン=ポール=ル=ゴルティエ (Saint-Paul-le-Gaultier) の私設エイド。フルーツが充実、メロン、スイカ、ミニトマトなど。そして4回目の日が暮れる。 20:55-21:00

Saint-Paul-le-Gaultier

1071km ヴィルヌーヴ=アン=ペルセーニュ(Villeneuve-en-Perseigne) 
パリ・ブレストは 1個 1ユーロで販売。コーヒーは無料。トイレも使わせていただいた。後で調べたらここは自転車ミュージアム。 22:40-22:50

Villeneuve-en-Perseigne

1076km ルレ (Roullée) 日も暮れて肌寒さを感じてきた。街灯のない十字路で自転車を止めてアンダーウェアを着込む。300mほど走り出してアイウェアがないことに気付き、引き返す。暗がりに落ちていた OAKLEY を確認し無事に回収(我ながらよく気が付いたものだ)。出走前にツールケース一式を丸ごと失くしていただけに、ここは早めに違和感を察知して踏み止まった感あり。 23:00-23:20

Roullée

Etape 14 Mortagne-Dreux … PC12→PC13 (1099-1176km)

1099km PC12 モルターニュ=オー=ペルシュ (Mortagne-au-Perche) 
お腹が空いたのでここはガッツリめに。パティスリー、サラダ2品、ヨーグルト、バナナなど。食事中、ついテーブルでウトウト、、オレンジジュースのグラスを倒してしまい、ふと眠りから覚める。どうやら1時間以上も気を失っていたことになる、なぜ仮眠所を使わなかったのか??? 
8/24 00:31-02:30 

Mortagne-au-Perche

仮眠所であれば指定時間に起こしてくれるが、食堂での突っ伏しは危うく予定外の寝過ごしにつながるところであった、、

再スタート後は、暗闇でアップダウンの多いルートだった。
全体的に緩やかな勾配が多いルートだが、ヒルクライム練習で習得した呼吸法が役立った。減量効果と相まって それほど踏まずに「スッ、スッ、ハ、ハ、…」一定の呼吸リズム、ケイデンスで回すだけで登っていくことができる。欧米勢は体重があるからか平坦は速いが勾配に差し掛かると自然と遅れていく。
登りでは「ヒルクライムの呼吸」によって自然と前に出てしまうので、下りで先頭を牽いていたところ、後ろから「Hey!」と呼び止められる。どうやらコースアウトしたらしい。確かに iPhone の Openrunner も GARMIN もルートから色が消えており、700m ほど戻る必要がある。集中力が落ちている、5-6人引き連れてしまい、ホントすまない。
1123km ラ・バルビニエール (La Barbinière)  03:55

ちなみに蛇足かもしれないが、ヒルクライム練で習得した呼吸法には「壱の型」「弐の型」「参の型」まである(スッは鼻から吸い、ハッは口から吐く。リズムと強度の違い)。
壱の型:スッスッハッハッ
… ウォーミングアップ、永久持続型
弐の型:スッハッハッ
… ややペースアップ
参の型:ハッハッ
… 全力走、オールアウト
要は呼吸のリズムとケイデンスのリズムとがバラバラで不安定だとムダに体力を消耗するので、両者を一致させ 安定したリズムでペダリングを刻むことで乱れをなくし、ムダな体力の消耗を抑えて効率よく登ろうということである。

PBP中の登坂はほぼ「壱の型」。稀に眠気覚まし遊び感覚で「弐の型」を発動。
富士ヒルのシルバー狙いでは「参の型」を多用(かなり消耗を伴うので発動時間は限定される)。「参の型」は最終手段であってPBPでは発動せずに済んでよかった。

PBP直前の6月まで ハルヒル〜富士ヒル出走もあり、糖質制限と併せて ヒルクライム練習を中心に取り入れていたことで 日本橋1000kmを走破した時点よりも 体重が10kg 減っていた。登坂ではPWR(パワーウェイトレシオ、体重あたりのパワー値)がモノを言う。振り返ると体重減の効果は凄まじく、登坂が軽く感じるようになり疲れにくくなったのに加えて、ペダルを踏んだ時にお尻を浮かせやすくなり、長距離でのお尻の痛さがかなり軽減された(日本橋1000ではサドルにどっしりベタ座り、初日からお尻が痛くて最終日は激痛だったが、今回はシャワー汗拭き入念にしたことと合わせて、お尻の痛みはそれほど気にならなかった。持参してきたシャモワクリームは一切使用せずだった)。
ヒルクライム始めた頃は滅茶苦茶登れなかったのと、まだまだ未熟な領域ではあるが、試行錯誤しながら取り組んできたことが思わぬ効果をもたらすという、これまた経験値を積むことができた。

Etape 15 Dreux-Rambouillet … PC13→Goal (1176-1222km)

1176km PC13 ドルー (Dreux)  06:37-07:05
いよいよ最終PCになるが夜が明け切ってないせいか写真なし?(たくさんの屍がごろごろと横たわっているのを見かけた、、)
トイレ休憩と歯磨きを済ませ 残り40kmほどとなったゴールを目指して出発。
途中、日の丸をつけた自転車が。AJたまがわ キルハさん と べいさん である。お二人からエールをいただき、ラストスパート的な励みになった。ゴールまであと少し!

1191km メジエール=アン=ドルエ (Mézières-en-Drouais)  07:35
朝陽が昇ってきた。ライトのバッテリー残について心配する必要はもうなくなった。
このまま朝陽の方角に向かって 残り30kmほど 突き進めば いよいよ ランブイエ、ゴールまでのカウントダウンが始まる!!

ゴールを目指して朝陽が昇る

1222km Goal ランブイエ (Rambouillet)
ついにゴール、大勢の観客に見守られ祝福の歓声を受けながら歓喜の瞬間を迎える!
「おめでとう、写真撮るぞ!」ほんの少し前にゴールした外国人が駆け寄ってきて お互い写真撮影、Merci beaucoup!  8/24 09:10

Rambouillet

これまで準備してきたことは全て出し切った。
のべ 5日間に渡るサドル上での生活もこうして終焉、なんだか名残り惜しくて寂しささえ感じてしまう。素晴らしき PBP !!!

後に聞いた話になるが、深夜早朝のゴール周辺はひっそりしていたそうである。最終日の朝9時から11時台の時間帯でのゴールは、会場の盛り上がり度といった点においては理想的だったかもしれない。

ゴール受付にて最後のスタンプを押してもらい 記念メダルをゲット 、Bravo !!

PBP ブルべカード-1
PBP ブルべカード-2
PBP ブルべカード-3
記念メダル
Stravaログ

Strava ログも最長ライド記録を更新!!


完走後の感想

走り終えて何が嬉しかったか、自問自答。
夢に向かって4年間、一歩づつステップアップし続け、最高の結果を手に入れたことはもちろんではあるが、ブルべの本場フランスで、地元の方々の温かい声援や拍手喝采を受けながら、4年に1度しか開催されない歴史由緒あるこの盛大なイベントに集った世界中のサイクリストと同じ時間、同じ空間を共有しながら困難を乗り越えたことが一番かもしれない。
リピーターが多いことに驚いたが、それも頷けるほどのステージ舞台が用意されていた。

直接間接問わず、このイベントに関わったすべての人々に感謝!
ありがとうございました!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?