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涙のインド旅行

20世紀後半、世界中の若者たちが、どっとインドを目指したのは、ビートルズの影響もあったのだろうと思います。

我々が新婚旅行の後半に、インドを組み入れたのは、精神世界全般が大好きだった若き日のオットの強い希望だったからです。わたしはオットと結婚してなかったら、たぶん生涯インドの土を踏むことはなかったでしょう。 

インドでわたしは、いろんなことがつらくて何度も泣きましたが、それでも人生を振り返る時、印象に残った国のベストテンにはいつもインドが堂々の上位ランクインで、我ながら「なんでやねん!」って感じです。

インドの旅行記は、すでに数多く書かれていますし、noteの中にもたくさんみつかることでしょう。

わたしの思い出は、宝石にまつわる小さなお話です。そう、インドは宝石の国、マハラジャの国。タージマハルで有名な町アグラで、ガイドに連れてゆかれた宝石店で、わたしの指輪と義母にブローチを買いました。610ルピー払ったと、のちに電車で乗り合わせた日本人の宝石の買い付けに来てる人に告げると「あ〜」と言われました。その「あ〜」の微妙な調子で、ん?なんかまずい状況?と思いましたが、彼らは情け容赦なく「それ、むっちゃぼられてますよ」と断言するのでした。

いや、うすうす感じてはいたけれど、そうですか…やっぱり「ボラーレ」でしたか… 

その時は、こんちくしょーと思いました。思ったけど、今一番わたしが手に取る頻度が高いジュエリーが、そのアグラで買った「スター オブ インド」と呼ばれていたスタールビーの指輪なのです。宝石店主は、ベリーベリーとベリーを二度言いながら「これは、とってもいい石でリングの部分はプラチナなんだよ」と言いましたが、40年経ってすっかり黒ずんでいる様から どう見ても銀ですね…いえ、いいのいいの。わたしは銀細工が好きだから。そして今、あらためて思うんだけど、世間的にスタールビーってまったく 流行ってないです。そこも気に入ってるんだけどね。わたしは、いつだってナンバーワンよりオンリーワンが好きだから。

あとね、あの過酷なインド・ネパール・スリランカの旅を安全に終えることができたのは、その指輪のおかげなんじゃないかと思えて。今でも今日は なにかお守りが必要だなと思う日は、その指輪をはめています。

お若いかたもコロナがいつかおさまって、チャンスがあればインドに行ってみてくださいね。そこで「自分」が みつかるのかどうかは、おばさん知らないけど、いやというほど「いろんな自分」と向き合うことになるのは間違いないです。



残念な後日談…
あれは、世間がコロナウイルスに振り回されていた頃でしょうか。
電車に乗って、おでかけをした時、いつものようにお守りアイテムのインドの指輪をつけていました。それを、なぜか外してしまい、リュックのポケットに入れたのですが、どこかで落としたみたいで失くしてしまいました。
そのことに気づいた時は、悲しくて、悔しくて。
ああ、あの指輪、わたしを何かの災いから守ってくれて、消えてしまったんだなという納得の仕方をしまして「指輪よありがとう、さようなら」と、心の中で、お別れを告げました。
それにしても、悲しい!

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