hollyetty

読書レビューを綴っていきます。

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最近の記事

筒井康隆「旅のラゴス」のレビュー(925字)

筒井康隆の「旅のラゴス」を読んだ。最初に読んだのは10年ほど前、社会人になってしばらくの頃だったが、改めて読み直してのレビューを残しておく。 ストーリーは、ある文明社会が一度滅んで、ラゴスが残された書物から再び社会を発展させるという、漫画のDr. Stone のような話である。 80年台のSF作品であるが、瞬間移動の表現方法が興味深い。 単に別の場所に意識を集中させて移動することは誰でも思いつくが、集団の意識統一や所持品の条件など、かなりのページを割いている。 今でこそ「

    • 村上春樹「海辺のカフカ」レビュー(1,054字)

      村上春樹の「海辺のカフカ」を読んだ。読了後は、良い感情と悪い感情が入り混じった感覚がある。 物語の最初は特に何事も起きないが、家出する「僕」とどう繋がるか分からない人物が徐々に距離を詰めてきて、どんどん読み進めたくなった。 一番好感を持ったのはナカタさんだ。猫と話せて、黙々と家具作りをしていた姿が印象的で、そのまま平和に過ごしてほしいと思うけれど、主人公の「僕」と佐伯さんに関わる方向に進んでしまい、何度もナカタさんを止めたくなった。 作中にガルシーア・ロルカが引用され

    筒井康隆「旅のラゴス」のレビュー(925字)