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【ピッチャー必見】トップレベルになるために知っておきたいピッチングのメカニズム


こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

野球をしているのであれば、誰でも一度は「ピッチャーをやってみたい」と思うのではないでしょうか?

あなたは、どのように投げれば大谷翔平選手のように、160キロを超える投球ができると思いますか?
そして、コントロールよく投球するには、どんなフォームで投げればいいと思いますか?


大谷翔平選手を目指すなら、ピッチングのメカニズムを知ろう

野球の試合を左右するピッチャーですから、もちろん、ただボールを投げるだけでは不十分です。
ピッチングには技術と戦略が必要なんです。

優れたピッチャーになるためには、ピッチングのメカニズムを理解することが必要です
そして、それが技術向上のカギになります。

さらに、頭で理解するだけでなく、体が無意識に理想的なピッチングを再現できるようになる必要がありますね。
そのためのトレーニング法についても、次回以降で順次ご紹介していきます。


メカニズムを理解するとどんな効果があるのか

ピッチャーとしてトップレベルを目指のであれば、早い段階でピッチングのメカニズムを知ることが効果的です。

当然ですが、メジャーリーガーや日本のプロ野球選手も、自分の投球スタイルを磨くために、投球フォームをフェイズごとにチェックしています。

では、なぜピッチングの各フェイズを理解することが重要なのでしょうか?

正確なメカニズムの知識は、投球の効率的な動きにつながりますから、パフォーマンスの改善に直結します。
また、理想的なフォームを身につけることで、ケガの予防にもつながります。

たとえば、小学生の場合には、次のような効果が期待できます。

基本の習得
早い段階で基本的なピッチングの技術を身につけることができます。それが、より高度なスキルへの基礎を築くことになります。

コーディネーション能力の向上
ピッチングの各フェイズを通じて、体の動きの調整とコーディネーション能力を身につけることができます。

ケガの予防
正しいフォームの習得により、肩やヒジなどのケガのリスクを減らすことができます。

自信がつく
理想的な技術を身につけることで結果を出しやすくなり、自信が高まります。

そして、中学生であれば、習得した基本スキルが基盤となって、運動能力の向上とともに、さらに高度なテクニックに挑戦できるでしょう。

もちろん、技術の向上は、パフォーマンスに直結します。
ピッチングの各フェイズを理解することで、投球フォームが安定しますから、コントロールの安定にもつながります。
また、フォームが安定すると、ストレートと変化球を使い分けて打者を翻弄することも可能になります。

このように、ピッチングのメカニズムを理解することで、より戦略的なプレースタイルを身に付けることができるわけです。

それでは、次にピッチャーとしての能力を最大限に発揮するために必要な、ピッチングのメカニズムを具体的に見ていきましょう。


ピッチングには6つのフェイズがあります


ピッチングのプロセスは、次の6つの主要なフェイズに分けられます。

  • ワインドアップフェイズ

  • アーリーコッキングフェイズ

  • レイトコッキングフェイズ

  • アクセレーションフェイズ

  • アーリーフォロースルーフェイズ

  • レイトフォロースルーフェイズ

これらのフェイズを理解して適切に実行することで、技術が向上し効果的なピッチングが可能になるのです。

また、フェイズごとの正しい動きを身につけることで、エネルギーを効率的に使用したピッチングが可能になります。
さらに練習を積み重ねて、各フェイズの動きを最適化することができれば、全体的なピッチングパフォーマンスが向上します。

そして、正しいフォームの理解と実践は、ケガのリスクを減らします。

ピッチングの各フェイズを理解して身につけることで、自分のピッチングスタイルをつくることができます。
それは、フェイズごとにチェックポイントをつくるとも言い換えられますね。

つまり、ピッチングフォームを分析し、改善するための具体的な方法を見つけることにもなります。

では、それぞれのフェイズについて詳しく見ていきましょう。


ワインドアップフェイズ

投球動作を始動し、ボールがグローブから出るまでの間をワインドアップフェイズといいます。

このとき軸足の股関節は内側に捻られます。
この捻りがピークに達したとき、一瞬のタメをつくることになり、それから次のフェイズへとつながります。

このフェイズのポイント
投球動作は、上半身と下半身の加速と減速のバランスで成り立っています。
投球動作の始めであるワインドアップウェイズでは、上半身、下半身ともに、まだ加速を始めていません。
加速の準備をしている段階といえます。

上半身と下半身の加速・減速の「バランス」
上半身:加速の準備期
下半身:加速の準備期

位置エネルギーとバランス
踏み出し足を高く上げることで、体にエネルギーをためます。
このエネルギーを、位置エネルギーといいます
踏み出し足を高く上げるほど、位置エネルギーは高まりますが、高く上げるほどバランスも取りづらくなります。
踏み出し足を高く上げた状態でバランスをとるために、体幹や下半身の柔軟性や筋力が重要になります。


アーリーコッキングフェイズ


利き腕がグローブから離れると、腕は上方に上がります。
同時に、体幹はホームベース方向へ並進運動を行います。
この動きは、踏み出し足が地面に着地するまで続きます。

踏み出し足が地面に着地したとき、ボールを握っている手の甲は、まだホームベース方向に向いています。

このフェイズのポイント
上半身は、ほとんど回転していませんが、下半身は回転の加速を始めます。

上半身と下半身の加速・減速の「バランス」
上半身:加速の準備期
下半身:加速期

並進運動とバランス
踏み出し足が地面に着地するまで、重心は並進運動を行います。
真上から重心の軌跡をみると真っすぐに直線になっていることが理想です。


レイトコッキングフェイズ


一連の投球動作の中で、体幹が最も大きく回転する間をいいます。

この間、投球側の上腕、前腕は肩よりも後方に位置したまま回転運動を行っています。
肩は肩甲骨の表面の延長線上まで戻ってきます。 

このとき肩は、外側に向かって90度〜160度へと回旋されますが、ボールの前方への移動はほとんどありません。

このフェイズのポイント
下半身からの加速(回転)が上半身へつながって、上半身も急加速(回転)を始めます。

上半身と下半身の加速・減速の「バランス」
上半身:加速期
下半身:加速期

回転運動とバランス
体幹が回転軸となってバランス良く回転運動を行うことで、肩は外側に大きく反ります。
このとき前腕が地面と平行に近くなるほど、コントロールも良くなります。


アクセレーションフェイズ


レイトコッキングフェイズからボールのリリースまで、腕が加速している間のことをいいます。

ほとんどのピッチャーが、ストレートを投げるとき、ボールをリリースする0.1秒前に手首を内側に捻り始めます。
そして、ボールリリース時には90度内側にまわっています。
メジャーリーガーの、このフェイズに要する時間は平均0.5秒です。

このフェイズのポイント
上半身はボールリリースまで加速を続けますが、下半身は減速を始めます。

上半身と下半身の加速・減速の「バランス」
上半身:加速期
下半身:減速期

腕の急加速とバランス
腕は肩→肘→手首→指先へとエネルギーを伝達させながら、リリースポイントまで加速していきます。
下半身と上半身の回転運動が、球の速さに影響を与えます。
腕は振るのではなく、振られるのです。


アーリーフォロースルーフェイズ

ボールのリリースから、ボールを投げた腕が急減速して地面と水平になるまでの間をいいます。

このフェイズの最後には、投球側の手のひらが外を向いています。
このとき肩には、体重の1.5倍にもなる牽引力がかかっています。
この引っ張られる力に対して、肩のインナーマッスルがブレーキの役割を果たします。

このフェイズのポイント
上半身はボールのリリース後に急減速します。
下半身は減速しています。

上半身と下半身の加速・減速の「バランス」
上半身:減速期
下半身:減速期

腕の急減速とバランス
ボールのリリース直後には、肩には後方に大きく外側に引っ張られる力、牽引力が加わります。
そのため外に引っ張って行かれないように、急ブレーキをかける力、求心力が必要になります。


レイトフォロースルーフェイズ

アーリーフォロースルーから、腕の振りが減速されるまでの間をいいます。

その時、肩が下がりながらやや外側に回旋し、上肢が体幹と交差します。
この体幹と上肢の交差が、減速する際の力学的なストレスを軽減し、肩を痛めないようにする役割を果たしています。

このフェイズのポイント
投球動作の終わりであるこのフェイズでは、上半身、下半身ともに減速期になります。

上半身と下半身の加速・減速の「バランス」
上半身:減速期
下半身:減速期

力学的な負荷とバランス
体幹と肩から先の腕全体である上肢とが交わることで、特に肩関節の中の力学的な負荷が少なくなります。
そのためリリース後に腕の振りの反動で、腕が上へ跳ね返るように急に戻ることは、良いことではありません。


以上が、ピッチングの6つのフェイズになります。
少し、専門的で難しいところがあったかもしれませんね。

わからないことがあれば、いつでもメールでご連絡ください。

ただ、メールの回答を待つ時間がもったいないという場合は、チームの指導者に聞いてみてください。
投球のメカニズムを正しく理解している指導者であれば、わかり易く技術指導してくれるはずです。


いかがでしたか?

今回は、ピッチングのメカニズムについて解説しました。

ピッチングのメカニズムを理解して、各フェイズを適切に実行することで、技術が向上します。
また、フェイズごとの正しい動きを身につけることで、エネルギーを効率的に使用したピッチングが可能になります。

さらに、各フェイズの動きを最適化する練習をすることで、全体的なピッチングパフォーマンスが向上します。

もちろん、正しいフォームの理解と実践は、ケガのリスクを減らします。
ですから、まずはピッチングのフェイズを意識したキャッチボールからはじめてみてください。
そうすれば、誰でもピッチャーを目指すことができます。

今回は、以上です。

次回もまた、野球の上達に必要な情報を、エビデンスに基づいてお伝えします。

それでは、またお会いしましょう。


参考文献
・「平成の怪物」松坂大輔 再生なるか、Wedge ONLINE、2018
 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/12400
・石橋秀幸、マー君をめざす最新トレーニング、廣済堂出版、2014
・楽天・田中将大投手25連勝 強さの秘密、Wedge ONLINE、2013
 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/3270
・石橋秀幸、耳より野球講座:剛速球は運動連鎖から、読売新聞、2005


【石橋秀幸プロフィール】

広島県出身 日本体育大学卒。
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修卒。 1987年から2002年まで15年間、広島東洋カープの一軍トレーニングコーチ。
1997年ボストンレッドソックスへコーチ留学。

現在は、神奈川大学人間科学部非常勤講師、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。
また、2022年11月からホロス・ベースボールクリニック代表として、球児の成長のサポート事業をスタート。
これまでも、プライベートコーチとして、小学生から大人まで、アスリートはもちろん、プロの演奏家へもトレーニングとコンディショニング指導を行う。
著書多数。

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