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魅惑の4-4-2 ~ビジャレアルが4-4-2を使う3つの理由~

2022年10月17日ラリーガ第9節 ビジャレアル 2ー0 オサスナ。PKを含むダンジュマのドブレーテによりビジャレアルが勝利した。この日もビジャレアルは鉄板の1-4-4-2フォーメーションを採用していた。

ビジャレアルの基本フォーメーションは4-4-2だ。基本というより、むしろ4-4-2しか使わない。ボール保持に不向きと言われるこのシステムを使い続けるのはなぜなのだろうか?

1つ目 豊富な可変オプション

ビジャレアル4-4-2の最大の特徴は、可変システムが豊富に用意されているという点だ。具体例をいくつか挙げていこう。
① →4-2-3-1
2トップの内1人が低いポジション取りをすることで、トップ下のような役割を果たす。
② →4-2-3-1 →4-3-3
①の4-2-3-1の状態からさらにトップ下が下がり3ボランチを形成する。同時に両サイドハーフがあがり3トップ化する。
③ →6-2-2
昨年のチャンピオンズリーグ準決勝vsリバプール戦で見せた、かなり守備的な形。サイドハーフをバックラインに組み込み6バックを形成し、その前を2ボランチ+2トップで固める。表記上は2トップだが、局面により4ボランチ+0トップ化した。

このようにビジャレアルの4-4-2には豊富な可変バリエーションがあり、相手を見てそれに最も相性の良い形をつくることができるのだ。そして、それぞれのフォーメーションに移行するのに最も流動的で効率がいい初期配置が4-4-2なのではないか。

2つ目 ソリッドな守備組織

ビジャレアルは、4-4-2の可変を活かしながらも、4-4-2そのものの持ち味も活かしている。
4-4-2の強みはソリッドな守備組織を形成できる点である。
ゴール前でリトリートした時にミッドフィルダーとディフェンダーで創る4-4ブロックは、かなり強固でありゾーンディフェンスの基礎ともいえる形だ。
相手陣でハイプレスをかけるときは3トップを使い、自陣へ引くにつれて4-4-2を形成するのがビジャレアルの常套手段だ。

3つ目 ラリーガを闘うために

最後になぜ、ビジャレアルが4-4-2を使うのか?に対する最も簡潔な返答をしたい。それは、ビジャレアルがレアル・マドリードやバルセロナ、アトレティコ・マドリードではなく、「ビジャレアル」だからだ。
ラリーガは3強+その他(オト・ラリーガ)という構造になっている。3強は自分たちのスタイルを崩さず試合をすることができる。他方、オト・ラリーガ勢は強者に勝つためにそれに適した対策を講じ、適宜自分たちのスタイルを変えなければならない。時に、引いてカウンターが有効だと考えればボール保持をあきらめてゴール前にドン引きもいとわない。
勝利を収めるために、したたかに、周到にビジャレアルは4-4-2を選び続けるのだ。

最後に

ビジャレアルの魅力は、本当のサッカーのうまさだと思う。相手をみて、対応する。選手一人一人が状況を判断し、チームとして一体感を持った振る舞いをする。巧みなパス回しも、強烈なカウンターも両方できる。さまざまなサッカーを高レベルで見られるのがビジャレアルなのだ。

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