マガジンのカバー画像

本条寺京太郎 即興詩集 2020シーズン

365
毎日1つ即興詩を書いている本条寺京太郎氏の2020年4月14日〜2021年4月13日までの365日すべての詩を集めた2020年シーズン詩集。本条寺氏が日々感じた心模様や音楽、絵画… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

野にひとり

人がひとりもいないところにいたい 遠くに山脈が見え、川のようなものが見え 森や畑やたんぼ…

21

朝のコーヒー

焙煎が行き届いた豆を細かく挽く。 濾紙を入れたドリッパーに挽いた豆を入れる。 小口のポッ…

15

友は酒を飲み

バーのカウンターに腰掛ける。 友は酒を飲み、僕は水を飲む。 酒好きの僕が堪えられないかと…

26

初春の霙

雨が突然、霙に変わった。 3月半ばの土曜日。 昨日は5月の暖かさだった。 それが一変、今日…

6

ショパンの屍と魂

ルーマニア人が弾くショパンを聴いた。 彼は鼻が尖っていてとても似ていた。 ノクターンの2…

13

何もしないことって?

何もしないことが 自分のためになり 人の役に立つなんて 不思議なことだし 違和感が湧き上…

14

昼間に見える月

真っ昼間、 ふと空を見上げたときに 月が見えることがある 碧い空に 白く透かした 上弦の月が上がっている 夜ではないのに 白い月が見えることの 気持ち悪さにぞくっとする 透明な月 幻想的で怪しげで 世界が吸い込まれるような 何か狂気のような 恐ろしいことが起きるような 時間が数秒止まったような 肌寒さを感じてしまうのだ

拍手しかできない

僕は拍手しかできない。 お医者さんや看護師さんが 死を覚悟しながら 病人を診ているときに…

22

朝の目覚めが怖い

朝、眠りから覚めたとき、 目を開けるのが怖い。 この世でなかったらどうしよう。 そう思っ…

22

テレワークオーケストラ

ヴァイオリンの奏でる音に ヴィオラの音が加わり、 チェロ、コントラバスと 音が重なってい…

19

ワインが愛おしい

リーデルのグラスに入った赤ワイン。 ポッジョ・スカレッティ。 「スターエノロゴ」の先駆者…

10

死んでも寂しい

寂しさのあまり、死ぬってことあるのでしょうか? 自らの意志で死ぬのではなく、 ただ寂しく…

11

そうして僕は詩人になった

「何の本を読んでいらっしゃるの?」 隣の上品なおばあさまが聞いてきた。 僕も彼女が読んで…

39

白百合の絵

白い百合が綺麗に咲いていた。 朝日に花の陰影が美しかった。 百合の香りが部屋中を満たす。 絵を描いてみたくなった。 白い厚紙はあったのだけど、 それでは花の白が表せない。 黄土色のボール紙がみつかり それに描くことにした。 鉛筆で下書きし、 それに絵の具を載せていく。 色を何度も重ねるけれど みな吸い込んでしまう。 白の光と影は難しい。 透明感も欲しいし、 強いホワイトも欲しいし、 グレーも濃淡がある。 それでも何とか描けた。 右下隅に落款を