ルビークイーン酒

森の家にやってきた。

すっかり世界は黄に染まり、

その中でガマズミだけが

赤い実を鈴なりにつけている。


「もうそんな季節なのか」と

感慨に耽りながら

今年はこの実を摘んで

ガマズミ酒を浸けよう。


森に実をつけたガマズミを

ひとつひとつ採っていく。

この前に採ってお酒にしたのは

2年前のことだった。


トイプードルを抱えながら

ガマズミを採っていった。

もう随分前にような気もするし、

昨日のことのようにも思える。


摘み取ったガマズミを洗い、

ウオッカと氷砂糖とで漬ける。

半年後には飲めるかなと

大きめの広口瓶を眺める。


ガマズミ酒は赤ワインと同じ

ポリフェノールを含み、

ビタミンCはレモンの2倍。

美肌にいいお酒になるのだ。


僕は2年前のガマズミ酒を

シャンパングラスに少し注ぎ、

炭酸水を入れてカクテルにする。

綺麗な透明のルビー色。


こんな素敵な色のお酒を

ガマズミ酒などと呼ぶのは失礼。

そこで僕は新しい名前を

このお酒に付けることにした。


ルビー色なのでそれを入れ、

しかもルビーが「宝石の女王」と

呼ばれているのでそれも拝借。

「ルビークイーン」と命名した。


いつかバーに行ったら

誇らしげな顔で

バーテンダーに注文しよう!

「ルビークイーンを」と。