パエリアは柑橘で

スペインはバレンシアの

郷土料理と言えばパエリア。

パエリア鍋に野菜や魚介、

肉などをたっぷり入れて炒め、

米と水とサフランで炊きあげる。


本場バレンシアのパエリアは

オレンジの木の炭を使い、

柑橘の灰を燻した薫り高い

パエリアが本物とされ、

地元では男が作る父親の味だ。


パエリアは日本の米を

炊くのとは根本的に違う。

米は洗わないし炒めない。

蓋をせず水分を蒸発させながら

スープを煮詰めて炊きあげる。


バレンシアに思いを馳せ、

イイダコ、イカ、エビを入れ、

オレンジの炭がない代わりに、

切ったオレンジをぶち込んで

じっくりと炊きあげていく。


あつあつをスプーンですくって

そのまま食べるのがオヤジ流。

固有品種ボバルの高級赤ワイン、

カサドンアンヘルで酔いしれたい。

鍋の底に貼り付いたお焦げ、

ソコカを削り取りながら。