毒蛇と彼女と彼と

ドライフラワーが
店内を彩るカフェバー。
Hのバーテンダーは
穏やかな好青年だが、
趣味は蛇を飼うこと。

「最近、飼い始めた
模様の綺麗な毒蛇は
僕を威嚇するんです。
シュシュッーと
息を吐いて睨むんです」

「それが楽しくて
毒蛇を飼っているの?」
「そうなんです」
彼は顔を上げて笑った。
「彼女も蛇好きなんです」

僕はショットグラスから
ウッドフォードリザーブの
バーボンをグッと煽った。
「彼女と暮らしてるの?」
「はい、一緒です」

僕は毒蛇をとりだし、
首に巻いている彼女と、
傍らで喜んで見ている
彼の嬉しそうな顔を
想像してしまった。

「蛇、可愛いですよ」
彼は女性客から呼ばれ
オーダーを取りに行った。