オアズマン物語

1984年ロスオリンピック、
そこに賭けるレガッタ競技選手、
オアズマンたちを描いた作品、
『栄光と狂気』を読んだ。

「オリンピックに憑かれた男たち」が
副題としてついている。
作者はデイビッド・ハルバースタム、
原作の題名は『THE AMATURES』だ。

ボートこそアマチュリズムの権化であり、
純粋に漕艇に打ち込む男たちの
痛みと苦しみ、希望と不安など、
様々な努力と心模様が描かれている。

ハーバード大のティフ・ウッド、
イエール大のジョン・ビグロウ、
ブラッド・ルイスやポール・エンクイストなど
オアズマンは誰もが狂気を孕んでいた。

狂気の中で栄光を掴む。
それは過酷な猛練習の果ての
偶然と幸運によってもたらされる。
魂を込めたレースによって。

日本のスポーツ界においても
ボートは長い歴史があり、
プロスポーツになり得ない環境が
今尚名門大学の誇りとなっている。

純粋なアマチュアリズムが
あらゆるスポーツから消滅している今、
レガッタ競技は貴重なスポーツだ。
今もオアズマンたちに流れる
清廉な精神をこの本で再認識でき、
彼らを尊び崇めたいと思う。