トンビが鳴いている

「ピーヒョロヒョロロ、
ピーヒョロヒョロロ」
トンビが鳴いている。
山の上をくるくると
輪を描いて飛んでいたのは
何度も見たことがあるが、
こうはっきりと鳴き声を間近で
聞いたことはなかったかもしれない。

「ピーヒョロヒョロロ、
ピーヒョロヒョロロ」
家の近くの高い木にでも
止まっているのだろうか。
かなり大きな鳴き声だ。
高くよく響き渡る。
トンビがこの声で鳴くときは
縄張りを主張しているらしい。

トンビは猛禽類でネズミでも
ウサギでも食べるだろうが、
体はさほど大きくない。
ハトより少し大きいくらい。
タカとかワシがそばにいるのか、
それともサルやクマなのか。
縄張りに侵入者がいるときに
トンビは甲高く声を発するのだ。

トンビは漢字で鳶と書くが、
トビではなくトンビが馴染む。
渡りをしない留鳥なので
年がら年中見ることができる。
獰猛そうな顔をしているが、
なぜか親しみが湧く鳥である。
青空にゆったりと大きな輪を
描いているトンビが好きだ。