フランク・ロイド・ライト

フランク・ロイド・ライトが設計した
1923開業の帝国ホテルをなぜに壊したのか?
関東大震災でも大きな損傷がなかった
革新的な耐震設計を持った御殿のようなホテル。
浮世絵を愛したライトは平等院鳳凰堂を模し、
日本建築史上最高傑作「東洋の宝石」と讃えられた。

老朽化という名目のもと帝国ホテル・ライト館は
1967年に壊されて亡き物になってしまった。
歴史的な建築家による名ホテルを消滅させる愚行は
どんな大馬鹿者たちによって決定されたのだろうか。
パナソニック美術館で催されているライト展、
「世界を結ぶ建築」に行ってもわからなかった。

展覧会であったものはライト館の写真と
石膏でできたミニチュアと煉瓦のかけらだけ。
縦縞の入った黄土色の煉瓦はライトの特注で
その製作完成は苦労の連続だったと言われている。
今や帝国ホテル内のオールドインペリアルバーの
大谷石の残骸と壁のテラコッタで偲ぶほかはない。

ライト展では彼のプレイリースタイルの家、
落水荘や自由学園やグッゲンハイム美術館、
未来画のような柱を持つジョンソンワックスビル、
テキスタイルにしたコンクリートブロックハウス、
螺旋の駐車場のプラネタリウムのドローイングや、
尖塔のような1600mの超高層ビル図に驚かされた。

しかし消滅したライト文明を追いかけても詮無い。
幻となった帝国ホテルは夢見るだけである。
自由学園明日館はおとずれたことがあるので、
こうなればアメリカに行って落水荘を見てみたい。
ワシントンDCから日帰りツアーもあるので、
テラスから滝の音を聞いてライトを思いたい。