「アデルの恋の物語」

ヌーヴェルヴァーグの旗手、
フランソワ・トリュフォーの
「アデルの恋の物語」。
多くの賞を獲得しただけに
観たかった映画だった。

主人公アデル役の
イザベル・アジャーニは
若く美しかった。
片思いの恋に狂う女性を
痛ましいほどに演じた。

アデルがかの文豪
ヴィクトル・ユゴーの
次女だとは映画を観るまで
まったく知らなかった。
実際にあった話を映画にした。

アデルは失恋で気が狂い、
乞食同然となり、
良き人の付き添いで
フランスに戻った後は
精神病院に収容された。

半世紀近く前の映画だったが、
今観ても新鮮だった。
愛する男に手紙を書き続け、
執拗に追い続ける狂女の話は
どこの国にもあったものだろう。

あまりにアデルが可哀想だった。
ユーゴーの娘として
何不自由なく育ったお嬢様が
悲惨の生涯を送るとは。
男があまりに冷たいと思った。