アルチンボルド

美しい花々で肖像画を描く。
野菜や果物、魚屋や鳥、
動物たちで目や鼻や口を描く。
その精密さと奇抜さに
驚愕を覚えざるをえない。

ジュゼッペ・アルチンボルド。
16世紀イタリア。ミラノを
代表する天才画家である。
ひと目見ただけで忘れられない
マニエリスムを代表する一人だ。

凄いのが「四季」である。
「春」は上半身を花に覆われた男、
「夏」は野菜で顔を作られた女、
「秋」は実りある果物による男、
「冬」は悲哀に包まれた枯れ枝の老人。

「四大元素」も驚きだ。
「大地」は様々な動物による男、
「水」あらゆる魚で顔が描かれ、
「火」は蝋燭や焚き火などで人となり、
「大気」は孔雀や鳩などで男となる。

他に「逆さ絵」も見事。
料理の絵だと思えば「料理人」、
野菜の絵だと思えば「庭師」
籠に果物と思えば「人の頭」だ。
逆さにすればあっと驚く騙し絵なのだ。

最も好きなのが「フローラ」。
綺麗な花で覆われた笑顔の女性、
美しいを通り越した女神のよう。
星形の白い花々は生きる喜びと
復活を表現している。