竜の肝、リンドウ

小さなリンドウが
山道に咲いていた。
可愛い紫の花が
熊笹からひっそりと
顔を出していた。

リンドウは竜胆と書く。
根は薬になるが、
熊の肝、熊胆よりも
さらに苦いと
竜肝の名がついた。

竜の肝とは、
可憐なリンドウの
花からすると
凄い名前である。
熊以上なのだから。

リンドウを見ると
秋が来たなと思う。
木々が紅葉してきて
寒さが増してくる。
ぽつりと咲く
りんどうの花に
寂しさを感じてしまうのだ。