春小鯛

阿佐ヶ谷の小料理屋
「燗酒屋」のこの日の
お勧めは春小鯛の酢〆。
春小鯛は鯛の稚魚で、
「かすこだい」と読む。

桜の花のような色から
「桜鯛」とも呼ばれる。
手の平サイズだけど
小さくとも鱗や骨は硬い。
下ごしらえが大変である。

女将ののりさんは
丁寧に下ろして酢で〆め、
上品な一品に仕上げている。
春のそよ風が吹くような
旬の味わいに下鼓を打った。

白鶴の燗酒にもよくあう。
ちびりちびりと口に含み
春小鯛を味わうひととき。
女将の満足そうな笑みが
一層の味わいを深める。

旬香る 桜の花の 春小鯛  京太郎