国枝慎吾のバックハンド

車いすテニスの絶対王者、
国枝慎吾の強さは
動きの鋭く速い、
世界一のチェアワークだ。

車いすに乗っているため
サイドステップができない。
このため左右に動くためには
車いすを回転する必要がある。

つまり相手に背中を向け、
目線を切る瞬間がある。
自分が打ったら即座に
相手の弾道を予想する。

頭の良さと豊富な経験で
瞬時に判断して動き、
強烈なトップスピンを
相手にお見舞いする。

必殺技はバックハンドの
ダウン・ザ・ライン。
クロスに飛ぶように思わせ、
ライン上に叩き込む。

この強烈なトップスピンは
フォアと同じ面で打っている。
車いすを操作するため、
グリップチェンジはしにくい。

フォアと同じ厚い握りで
バックハンドもそのまま打つ。
普通のテニスでは滅多にない
車いすでの独特の打法だ。

しかし考えて見れば
これは日本の軟式テニス打法。
明治時代から脈々と続く、
日本のトップスピン打法だ。

この日本式バックハンドで
世界の辣腕たちを薙ぎ倒す
国枝慎吾に大和魂を思う。
日本が誇るテニス侍である。