考える

世の中には「○○が言っているから正しい」とおもわせてしまうトリックがたくさんある。(210頁)

自身を省みると、非常に洗脳をうけやすいと考えている。このノートで書いているのは、本音だが、ある種の空気を読んでという部分も無いわけではない。

さて、友人の何人かの推薦書の村本大輔『おれは無関心なあなたを傷つけたい』を読んだ。

ツイッターでの発言を見たり、マスコミで流れる発言は時に酷い、呆れるものもあり、好意的に捉えることができないと感じていて、読むまでは「?」だったが…

朝鮮学校での講演会の話で…のっけから凄いと感じてしまった。

途中、「普通」って何だ?という話や経験する大切さも示唆に富んでいる。自分の感覚やバイアスに振り回されることを的確に表現している。

民主主義のあり方も

黙る空気は民主主義の木を枯れさせる。民主主義は放置されて腐り、取り上げられて、独裁政権は完成する。黙れというやつもそれで黙るやつも、腐らせることに参加している。独裁国家がお似合いだ。この国に足りないもの、それは自分の意見の主張だ。発言することから考えが始まる。(150頁)

本人は偏差値の世界では、決して頭が良いとは言えないだろう。でも、痛みがある現場に赴き、そこにある事実を目を背けないで見、それをたとえ相手が強者であっても伝えること。

メディアとは、いま苦しんでいる人たちが「ここにいるよ」ということを教えてくれる存在なんだと。彼女のSOSを新聞が載せると、それが広がり、たくさんの人たちがそれを知り、行動を起し、それが解決するかもしれない。              そんな出来事を見てから、僕がいままで情報だと思っていた新聞の文字が、誰かの「助けてほしい」の声になった。ただの文字からただの情報へ、そして情報から声になった。僕にとって文字は風景だったが、その風景はリアルになった。(264頁)

個人的には、彼の考え方すべてが正しいとは、到底思わない。ツイッターでの発言内容や行動も必ずしも良いとは言えないものも多い。選挙には行くべきだと思うし…

一方で、それだけでものを見るべきでないことを本書は教えてくれている。日常にかくれている無知であるが故の暴力的発言や行動。ステレオタイプな考えの恐ろしさを…

テンプルモーニングラジオで話したが、日蓮聖人がもし今日本に生まれたら何をしているだろうか?と松本紹圭さんに問われて「世間にものをいうジャーナリスト」と答えた。個人的には、表現や使う言葉は異なるだろうが、村本大輔さんの姿勢そのものは、その姿勢に近いと感じる。

当人に対しても、内容に関しても断片的なイメージでもの見る危険性を教えられているように感じた衝撃的な一冊!


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