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UBASUTE(2005年07月28日)

2005年07月28日 記

 また不審者が出た。子どもはこれで4度目の遭遇となる。さすがに心配になってきた。白いミニバンタイプの車に乗った男で、道端で遊んでいる子どもたちを睨みつけていくのだそうだ。わざわざ車のスピードを緩めて、である。平日の昼間ということで、どうもやはりマトモな大人ではないようだ。てっぺんハゲの白髪交じり。40代から50代ぐらいということであるが、もうすこし年は上かもしれない。なにか訳のわからないことを叫んだり、舌打ちしたりして、去っていくのだという。冗談ではなく、こわい。学校には通報してあるが、いかんせん、夏休み中なので自己防衛をするしかない。畢竟、部屋で遊ばせることが多くなってしまって、あまり健康的ではない。まったく。

 そういえば2、3年前にもこうした「不良老人」に出くわしたことがある。子どもと二人で川沿いの小道を散歩していたら、前から軽四トラックがやってきた。せまい道だったので、二人で堤防に乗ってやりすごそうとすると、ちっともその車は動こうとしない。よくよく見ると、運転手の老人が何か叫んでいる。不審に思って近づいてみると、「ここは俺の道なんだ!勝手に通りやがって!」などと言いがかりをつけられた。あまりにバカらしいことを言うので、思わず「アホか、おっさん」と言い返したら、急にぶち切れて「やるかっ!」などと威勢のいいことを言ってくる。赤ら顔のところを見ると、どうやら酔っ払っているようだ。

 こういう老人を相手にするのは、ほとほと疲れる。僕は腕っ節の強いほうではないけれど、いくらなんでも酔っ払い老人相手に負けるわけはない。このときもやたら降りたがる(そのくせほんとに降りようとはしない)オヤジを車に引き止めておくのにずいぶんと手間取った。おかげで子どもも泣き出すし、よっぽど一発ぶん殴ってやろうかと思ったけど、なんとか自制した。下手に殴ってあの世にでも逝かれてはたまらない。こちらは手を出すわけにはいかないのである。

 考えるに、こうした暇を持て余した老人の犯罪とか喧嘩とか、これから必ず増えると思う。不良老人というのは、ある意味、非常に厄介だ。こちらが手を出せないということを熟知しているから、やりたい放題である。「どうせ老い先短いんだっ!」などと居直られたら怖いものなしだ。村上龍の『希望の国のエクソダス』に「UBASUTE」という老人収容施設が登場したけど(案だけだったかな?)、あながちそうした施設も必要になってくるかもしれない。子供に恐怖を与えるような大人は、たとえ老人であっても北海道の山の中にでも放り込んでしまえばいい。

2024年03月28日 付記

 高齢者はもちろん社会的弱者(という言葉はあまり好きではないが)ではある。しかし母数が大きくなれば、それだけいろいろな人間もいる。近年では、高齢者が引き起こす事件や事故もよく見かける。自動車免許の返還云々といった話は、二十年前には聞いたことがなかったが、その兆しのようなものは、やはりあったのだ。不良老人は、ある意味「無敵のひと」なので、けっこう怖い。いっぽうで「老害」を叫ぶひとなども出てきたりしていて、それはそれでちょっと極端だなとも思う。年齢はあまり関係ないのではないか。

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